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現職教員対象の関西外大オープンセミナー開催 武藤久慶・文部科学省教育課程課長と直山木綿子教授が対談しました

 小中高校の現職教員を対象にした関西外国語大学オープンセミナーが10月5日、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実のために―今、小中高等学校で起きていること―」をテーマに中宮キャンパスのICCホールで開催されました。文部科学省初等中等教育局教育課程課長の武藤久慶氏が講演したほか、武藤課長と、前文科省初等中等教育局視学官で英語キャリア学部小学校教員コースの直山木綿子教授による対談などが行われました。オンラインを含め約360人が参加しました。


▲ICCで開催された現職教員対象の関西外大オープンセミナー

武藤久慶・文部科学省教育課程課長が講演
 武藤氏は「なぜ令和の教育改革なのか 教育DXなのか」と題して講演しました。まず、教育改革の背景にある動きとして、人口減少・少子高齢化やデジタル化など「6つのトレンド」を挙げ、「現行の学習指導要領作成時に想定した2030年前後の社会が前倒しで到来している」と社会の変化の激しさを指摘ましました。


▲講演する武藤久慶・文科省初等中等教育局教育課程課長

 武藤氏は、児童・生徒1人に1台のコンピューターと通信ネットワークを整備する文科省の取り組み「GIGAスクール構想」の推進を担当。講演では、日本型学校教育の良さを受け継ぎ、課題を乗り越え、さらに発展させる新しい時代の教育として、「令和の日本型学校教育」の実現を訴え、GIGAスクール構想が、学習指導要領の掲げる主体的・対話的で深い学びや、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実に効果的であるとしました。

 そのうえで、学校現場でICT端末を活用している各地の事例を写真とともに取り上げました。病室で端末を見ながら授業に参加する例、毎朝の健康観察をタブレットにより養護教諭と共有される例、翻訳機能・読み上げ機能を利用する外国籍の子どもの例などが紹介され、学びの保障や心理的安全性の確保に有効と述べました。

 さらに、生成AIを用いた英語の音読の自動採点、無料スピーキングツールなどを活用することで、児童・生徒の興味や関心に応じた個別最適な授業モデルとして導入する動きが広がっている現状を紹介しました。

 また、主体的・対話的で深い学びに取り組む子どもほどICT機器を活用していること、ICT利用頻度が高い子ほど、その効果を実感していることが、調査データで示されました。

 各学校の教育課程編成において、教育委員会と学校の裁量拡大を検討すべきとし、その際、DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化が不可欠と指摘しました。

授業実践例を発表
 続いて、大阪府枚方市教育委員会教育指導課の髙橋瑞人主幹が「枚方市小学校外国語教育 ICT・学習者用デジタル教科書を活用した子ども主役の外国語授業づくり」をテーマに発表しました。


▲授業実践例を発表する枚方市教育員会の髙橋瑞人教育指導課主幹

 冒頭、本学と枚方市による取り組みとして、本学の外国人留学生が市内の学校を訪問し交流する「枚方英語村」の活動が紹介されました。

 小学校外国語の授業実践例では、児童が個別に何度も音声や動画に接し課題に取り組む「個別最適の学び×デジタル教科書」の取り組みが紹介されました。また、言語活動とのバランスをどう取るか不安に感じるといった課題も示されました。

対談 武藤久慶氏×直山木綿子教授
 この後、武藤久慶氏と直山木綿子教授が参加者の質問に答える形で対談しました。


▲対談する直山木綿子教授(左)と武藤久慶文科省教育課程課長

 学習指導要領の外国語活動や外国語科に関して言及される「言語活動」とは何かについて、直山教授は、「英語を使って自分の考えや気持ちを伝え合うこと。それを私たちははばかる傾向があるが、感情的にならず、論理的に根拠をもって、事例をあげながら、何かと比較しながら相手に伝えることが大切」と語りました。

 「デジタルだけでいいのか」という質問について、武藤氏は「デジタルかリアルかを選ぶ必要はない。例えば、理科の実験はリアルだが、それをクラウド上で可視化すれば共有できる。どちらかではなく、デジタルでリアルを充実させるということだと思う」と話しました。

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