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国際共生学部の福田和生准教授の論文が米コロンビア大学の学術誌「Columbia Journal of Transnational Law」に掲載されました
国際共生学部の福田和生准教授が違憲審査制度について論じた論文が、米コロンビア大学の学術誌「Columbia Journal of Transnational Law」に掲載されました。グローバルな法や法制度を扱うジャーナルとしては全米でも有数で、国際共生学部の授業でその一部が使われています。
違憲審査制度とは、その国の法令や処分、立法行為が憲法に違反していないかどうかを審査する制度です。福田准教授は「Towards an Institution-Independent Concept of Constitutional Review」のタイトルで、現在。世界の多くの国で裁判所が担っている違憲審査について論じました。
世界に存在する憲法の8割強では、裁判所が違憲審査を担うことが定められています。一方で、違憲審査制度自体がない国があるのも事実です。また、違憲審査の機能を備えた委員会を議会に持つ国や、行政や立法から独立した審査機関を持つ国もあります。「フィンランドやオランダといった主要な民主主義国家でも、裁判所ではない機関で違憲審査が行われていることは注目に値するのではないか」と福田准教授は言います。
福田准教授は、現実的・統計的にそうだからといって、違憲審査を自動的に裁判所および裁判官に結び付けることに異論を唱えています。そもそも違憲審査制度を考える際、審査機関から切り離して、まず制度の役割や機能を考える必要があるのではないかとし、違憲審査制度の意義とそのあり方について深く踏み込んで論考しました。こうした視点を持ち、そのうえでさまざまな審査機関の可能性を比較憲法の観点から探る憲法学者が少ないため、それがこの論文の価値を高めています。
国際共生学部の2年生は「Foundation for Global Engagement」のカリキュラムで、「Constitution's Impact on State Governance in the World」「Turning Points in Japanese History」「Pilgrimage: Journeys in Search of Meaning」から2つを履修します。「Constitution's Impact on State Governance in the World」では、国際共生を考えていくうえで憲法は中心的な役割を果たしているとし、履修生はグループで選択した国を対象に「現在はどのような違憲審査制度を採用しているのか。その問題点や課題点は何か。その国の実情にあった審査機関、審査方法は何か。グループによる提案が社会にどのような影響をもたらすか」といったことを考えます。
福田准教授はこの授業の中で、違憲審査制度を考えるための資料として論文の一部を使っています。「国際共生学部が進めているActive Learning、そしてExperiential Learningでは正解を求めているわけではありません。国の社会問題に関して、いかに憲法が貢献できるのかについてさまざまな視点から自ら提案してもらっています」とし「憲法というと敬遠されがちですが、遠い存在ではなく、身近なものとして考えてほしいと思います」と話しています。