関西外大広報サイト

NEWS ニュース

「『外交官』という職業」もテーマに外交講座  講師は外務省の髙田真里課長

 最前線の外交官を講師に招き、日本の外交政策や国際情勢などを語ってもらう「外交講座」が114日、中宮キャンパスのマルチメディアホールで開かれた。今回の講師は、外務省文化交流・海外広報課の髙田真里課長。テーマは「日本のソフトパワーと広報文化外交」と、事前に提出された受講希望者の質問で多かった内容に答える「『外交官』という職業」の2本立てで、盛りだくさんの内容を語った。遠隔授業システムで結ばれた学研都市キャンパスと合わせ、約170人の学生が参加。質疑応答が終了した後も、髙田課長は個別に学生の質問に対応していた。

▲ ソフトパワーと文化について語った外務省の髙田真里課長

 

 髙田課長はまず、ラーメンの画像を映し出し、「麺は中国から伝わったが、ラーメンは日本独自の料理で中国にはない」と日本文化についての入り口を語った。さらに絵画の分野で、ジャポニズムとしてフランスの印象派に大きな影響を与えた浮世絵など日本画の海外伝播についてに触れた。さらに、「文化は『伝播』し、『影響』するものだ」として、現代日本文化を代表するゴスロリ(ゴシック&ロリータ)のファッションやマンガの世界的な影響力を挙げた。また、ソフトパワーと文化は「政治や外交を超越し、心や暮らし、国のあり方に大きく関わる分野だ」と話し、広報文化外交(パブリック・ディプロマシー)はその伝播力、影響力に大きく依存すると説き、その目的について「日本ファンを増やすこと」と話した。

▲ 日本文化の特徴について持論を展開

 

 さらに、国際関係史における「戦争」について考察し、力を競う「軍事戦争」から「経済戦争」まではハードパワーだが、現代はソフトパワーによる見えない戦い「イメージウォー」の時代に突入していると述べた。その具体例として、韓流ドラマを政府主導で海外発信した韓国、日本ではテレビドラマの「おしん」や自動車、ロボット、マンガなどがあることを示した。
 

 また、ソフトパワー戦略の一端として、外務省の政策などを紹介。その中で、国際交流基金が海外の日本語教育推進の一環として取り組んでいる「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」を取り上げ、「東南アジアでは日本語を学ぶ人たちが増えている。世代を超えた人々を派遣し、現地の先生たちと一緒に授業を進めるシステムです」と話した。さらに、「国際漫画賞」や「世界コスプレサミット」などを例示したほか、日本の在外公館での取り組みについても言及した。


▲ 講演終了後も個別の質問に応じる髙田課長(左から2人目)
 

 学生のリクエストに応える形となった「『外交官』という職業」では、外務省で関西外大出身者が専門職として活躍していることを紹介し、外交官としてのキャリアパス、仕事内容、通訳の仕事などについて紹介した。最後に髙田課長本人の信条として、最善を尽くすことや出会いを大切にすることなどに加え、「『人生はATM』。つまり、明るく、楽しく、前向きに、です」と締めくくった。

PAGE TOP