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関西外大国際文化研究所の連続講座「流転の冒険者たち:アフリカの妖術と現代」の3回目の講座が開かれました

関西外国語大学国際文化研究所(所長・竹沢泰子教授)主催の連続公開講座「流転の冒険者たち:アフリカの妖術と現代」が12月20日、中宮キャンパス5号館で開かれました。3回目となる今回は連続講座の最終回で、アフリカ現代社会論などが専門の近藤英俊・外国語学部教授が「渦中の人々:都市化と妖術」をテーマに話しました。


▲アフリカの都市化について解説する近藤教授

近藤教授は冒頭、アフリカの都市化について、「現在、アフリカは世界最速で都市化が進んでいる」としたうえで、「都市の住民の大半は、他地域からの移住者や移民。多言語、多民族の人々が交差する中で、複数の文化や言語を身に着ける人が多いが、同時に自分が歩むべき道筋が見えにくくなる」と、都市化が抱える問題点を指摘。続いて、「彷徨(ほうこう)から転生」という、この日のもう一つのテーマで話を進めました。


▲ホワイトボードを使って講座を進める近藤教授

近藤教授は、研究のため滞在したナイジェリアで知り合った、イボ人(族)の女性から聞いた出来事をとり上げました。日本の短期大学にあたるカレッジで秘書学を学んでいたこの女性は、突然、発熱や頭痛の症状に襲われ、母の勧めで教会に通ったところ、高等教育を受ける彼女を妬んだ人から妖術をかけられているとされました。祈りの結果、一度は症状が消え、教会では「預言者」とされました。

しかし、その翌年には幻覚や幻聴が現れ、呪医からは、イボ人の間で神秘的な存在として信じられる「オバンジェ」(ogbanje)だといわれました。別の呪医も、他者からの妬みによる妖術がかけられたことが原因だといい、高額な費用を払って治療を受けさせたところ、症状は収まりました。その8年後には、再び幻覚や幻聴が現れ、時には異常行動も出はじめ、治癒と発症を繰り返すようになったといいます。


▲呪術に関する写真(スライド)も紹介されました

近藤教授はこの女性の症状について、日本であれば精神的な疾患として医学的な治療が行われるはずだとしながら、「この女性はさまよいながらも、預言者となり、オバンジェとなり、常に新しい自分になれる可能性があった。彼女は不幸そうには見えなかったし、不幸かどうかは私たちでは判断できない」としました。

3回連続で聴講した男性の参加者は、「呪術や妖術という、一見不思議な世界を冷静な科学的な視点でとらえていて、毎回、興味深く話を聞きました」と話していました。

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