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≪輝く外大生≫ 国際共生学部2年 ファム・グエン・ハンさん/ベトナム国籍の女児の日本語学習をサポート
日本で生活する外国から来た子どもたちに対して、どのように日本語を指導するかが学校現場の大きな課題になっています。国際共生学部2年のファム・グエン・ハンさんは2024年9月から、枚方市内の小学校で週2回、ベトナム国籍の小学4年の児童に対して、日本語学習のサポートをしています。
■独学で高レベルの日本語を習得
ファムさんはベトナム中部の出身で、日本の高校に留学しました。日本語はほとんど独学ですが、今では日常生活にほぼ支障がないレベルに達しています。現在、日本語能力試験のN2を取得しており、今年は最も難度が高いN1に挑戦する予定です。
2024年に国際共生学部に入学しました。「高校の授業は英語だったので英語は心配していませんでした。心配だったのは日本語でした」と言います。1年次は基本的な英語のスキルを学び、SDGsなどのグローバルな課題にも取り組みました。2年生になった今年は、さまざまな国や地域の文化の違いを学びながら、興味のある日本画も勉強したいといいます。
枚方市教育委員会では、日本語の習得が不十分な帰国児童らに対して、英語以外の外国語の学習支援ができる教育指導員を募集しています。募集を知ったファムさんは「先生は日本語で授業をするので少し不安でした」と言いながらも、ベトナム語を話せる指導員がなかなか見つからないと知り、応募しました。
■週2回、小4の日本語学習をサポート
ファムさんが学習をサポートしているのは、枚方市内の小学4年生の女の子です。7月に日本に来たばかりで、当初は簡単な日本語の会話ができる程度でした。授業中の先生の日本語をベトナム語に訳して女児に伝えるほか、別室で1対1で日本語を教えることもあります。週2回、1回当たり2時間にわたって女児の学習をサポートしています。
「最初は話すことに自信がなかったようですが、理科のテストで100点をとってから、自信をもって話せるようになりました。漢字もたくさん覚えて使えるようになってきました」と女児の成長を喜びます。今ではファムさんがサポートに来るのを心待ちにしているといいます。
ファムさんは学習サポート以外に、女児の相談にも積極的に応じてあげるようにしています。日本人の友だちとけんかしてしまったときには「早く謝って仲良くなろうね」と励ましてあげたといいます。
■「役に立つことができてとてもうれしい」
ファムさんは「女児の顔がどんどん明るくなってきました。役に立つことができてとてもうれしいです」と日本語を教えることに大きな意義を見出しています。同時に日本語の学習をサポートすることで、日本語の表現方法の難しさも分かってきました。「日本語には〝イライラする〟とか〝ペコペコする〟とかいうオノマトペ(擬音・擬態語)がたくさんありますが、ベトナム語にはありません。教えるのがとても難しいです」と話します。
ファムさんは、日本の着物や日本の季節の移り変わりが大好きだといいます。「高校の修学旅行で北海道に行って雪を見ました。とてもきれいでした」と日本の自然の美しさにも心引かれています。
3月5日には「日本語が話せない児童に対する学習支援活動に従事し、学業の傍ら地域社会への奉仕活動に熱心に取り組んだ」として、関西外国語大学総長からオナーバッジを授与されました。ファムさんは外大でのこれからの生活について「3年になったら留学もしたいです。将来についてはまだはっきりと決めたものはありませんが、いろいろと経験してみたいと思っています」と話しています。
▲「学業の傍ら地域社会への奉仕活動に熱心に取り組んだ」としてオナーバッジを授与されました