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GIGAスクール・生成AI時代の指導要領について考えるオープンセミナーが開かれ、現職教員ら340人が参加しました
学習指導要領の改訂に向けた審議が始まったことに合わせて、GIGAスクール・生成AI時代の指導要領について考えようと3月15日、中宮キャンパスで、小中高等学校の現職教員らを対象にしたオープンセミナーが開かれました。オンラインを含めて340人が参加しました。
現職教員らを対象にしたオープンセミナーの開催は2024年10月に続いて2回目になります。今回も文部科学省教育課程課の武藤久慶課長と、英語キャリア学部小学校教員コースの直山木綿子教授がそれぞれ講演し、対談しました。
小中高等学校の学習指導要領は約10年ごとに改訂されています。文科省は2024年12月に中央教育審議会に対し、次期改訂に向けた検討を諮問しました。今後提出される答申をもとに、文科省は改訂を行い、順次実施していく予定です。
今回のセミナーでは、待ったなしになっている教育現場でのICTの導入・活用の背景を押さえたうえで、見通しを持ちながら改善策を考えていくことがテーマでした。
最初に武藤課長が中教審への諮問を基に、GIGAスクール構想の実現に向けての取り組みや課題、懸念について講演しました。
武藤課長は、多様性が広がる学級で一斉に指導する足場が悪くなっている現実から「主体的に学びに向き合えていない子どもが増えている」と指摘し、諮問では教育課程上の特例の設置の検討を盛り込んでいることを紹介しました。また歴史や数学の関数、英単語などについて教育現場での具体的な事例を挙げながら、子どもたちの意味理解や見方・考え方の現状を指摘、「自分の考えを持っているか」「根拠に基づいて他者に明確に説明できるか」といった課題を提示しました。
そのうえで、日常的にICTの活用を実現している授業例を紹介しながら「GIGAスクールは緒についたばかりです」「〝デジタルかリアルか〟〝デジタルか紙か〟の2項対立に陥らず、〝デジタルの力でリアルな学びを支える〟との考えに立つバランス感覚が必要」との諮問の考え方について話しました。
このほか、GIGAスクール構想を進めていくうえでの〝前向きな〟懸念として「GIGAで力が付くのか」「教員は教えずに子どもに委ねる方が良いのか」「カリキュラムがオーバーロードになっているのではないか」を挙げました。また、質の向上に伴う効率化で教師に余裕が生まれ、教育の質の向上につながる可能性についても言及しました。
一方で直山教授は、2024年度の秋学期から端末を導入した関西外大での英語教育に関わる授業の実践例を紹介しました。直山教授は「端末への書き込みで学生と個々につながることができます。ICTが私の授業観を変えました」と話し「小中高等学校でも大学でも、授業づくりは学習者と指導者が授業を創るという点では同じだと思います。コーディネーターとしての教師の役割がより高くなっていると感じています」と述べました。
それぞれの講演に続いて対談を行いました。参加者からの「入試が変らないといけないのではないか」「分厚くなった教科書の使い方を考えなければならないのではないか」などという意見や質問に答える形で、お互いの見解を述べました。