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教員採用試験合格めざし 中宮の対策講座「夜スペ」スタート
中宮キャンパスの平成28年度(2016年度)教員採用試験一次対策講座「夜スペシャル(夜スペ)」が4月12日始まった。平成28年度試験(平成27年度実施)で本学の最終合格者が過去最高となったこともあり、参加した約50人の学生は「先輩に続け」と真剣なまなざしで取り組んでいる。
▲真剣な表情で講義を聞く学生
講座は、火曜、水曜、木曜の午後4時50分~同6時20分に開かれ、それぞれ、岡澤潤次・外国語学部教授、明石一朗・短大教授、角野茂樹・英語キャリア学部教授(教職教育センター長)が担当。第1ラウンド(4月12日~5月19日)15回、第2ラウンド(6月21日~7月14日)12回の計27回行われる。
▲講義をする角野教授
角野教授が担当した4月21日の講座は、ICCの6206教室で行われ、49人が出席した。冒頭、角野教授は、地震が続く熊本県で教員を務める本学卒業生とやりとりしたメールの内容を紹介した。卒業生は直接の被害は受けていないものの、学校の部活は中止となり、教員たちは被災地支援に行っているといい、「被災地を思いやり、日常生活が営めることの有り難さを実感できる教員になってほしい」と心構えを説いた。
この日の講義では、まず、各自が新聞記事を読んで気づいたことを書き出した後、4人ずつのグループに分かれてディスカッションをした。テーマは「いじめ」。角野教授はホワイトボードに「Critical thinking」と書き、子ども、教員、保護者、社会からの多角的な視点、批判的な読み方の重要性を強調した。
▲ハイタッチして仲間意識を高める学生たち
ディスカッションは、教室の後方で4人分ずつ分けられた机に移動して行った。まず、グループのメンバー同士がハイタッチ。仲間意識を高める効果があるようだ。「この講座では仲間がいないとできないことをする」と角野教授。教員をめざす学生同士が、徹底した討論をすることが講座の特色という。
「いじめは個人で対応するのではなく、クラス全体で取り組み、いじめはだめだという認識を定着させる必要がある」「記事に書かれている校長のコメントは、大人の見方でドライ過ぎる」――学生たちは真剣な表情で、活発な討論を繰り広げていた。
ホワイトボードには「いじめのない世界 PINK SHIRT DAY」とあった。ピンクのシャツ姿で登校したカナダの高校生がいじめに遭ったことがきっかけで広がった、いじめ反対キャンペーン「ピンクシャツデー」だ。講座は、教育問題に関する社会の動きにも目を向けている。
講義は目まぐるしくシーンが変わる。グループ討論を10分ほど行ったあと、学生たちは元の席に戻り、再度、新聞を読む。今回は「子どもの貧困格差 日本は先進41か国中34位」の記事。「子どもはいろいろな問題を出してくるが、必ず背景がある。『困ったやつやなあ』と決めつける教員にはなってほしくない。問題を読み解いて自分の言葉に置き換えてほしい」と教授のアドバイスが飛ぶ。
ホワイトボードで今度は「You Tube 『仁の物語』 もう1回見てほしい」の文字に注意が向けられる。「仁の物語」は、母子家庭で暮らし、不登校になった中学3年の男子生徒が、ボランティア活動をする教員志望の大学生らとの触れ合いを通じて立ち直り、定時制高校に合格する話。真剣に子どもと向き合える教員になってほしいとの思いが込められているようだ。
さらに講義のシーンは変わり、「教職教養」となった。配られたプリントには「夜スペシャル 地道に努力」と印字されている。中教審答申に関する問題を読み、各自が回答を書き入れた。
講義は願書の書き方、志望動機のアピールの仕方に移った。教員試験は面接の比重が高い。「志望動機をいかに自分の魂で語れるかが勝負」。エントリーシートを20枚も書いたOGの例が紹介された。「これだけ書けば、どんな質問にも答えられる」
▲活発に意見が交わされるグループ討論
さらに、教育関連法規の出題傾向などが説明された後、再び、グループ討論。テーマは「『使える英語』を身につけるには4技能をバランスよく学ぶ必要があるといわれるが、あなたの考えは」。同様に4人ずつのグループに分かれ、ハイタッチした後、学生たちは熱心に持論を展開、仲間の意見に耳を傾けていた。角野教授が言った。「こんな時に仲間の意見を聞くことは大事だ。自分にないものが聞ける」
講座参加者は5月の連休以降、長期留学から帰国する学生も加わり、70~80人規模に増える。5~6月に中学・高校で15日間の教育実習が行われ、7月初旬から一次試験が始まる。