NEWS ニュース
≪輝く外大生≫不安も期待も力に変えて/2カ国留学に挑む谷本典磨さん
国際共生学部3年の谷本典磨さんは、2025年秋から2年間、スウェーデンと米国の2カ国留学に挑みます。
オールイングリッシュのハイレベルな学びに「この選択は正しかったか」と悩んだこともありましたが、学業に加え学生プロジェクトなど自ら新しいことに挑戦し、積み上げた経験が成長につながっていると実感しています。不安と期待を力に変えてさらに飛躍します。

-プロフィール-
たにもと・てんま/大阪府立山田高校出身。2023年に国際共生学部1期生として入学。国際共生学部の魅力を高校生に伝えたり、外大生がイキイキとキャンパスライフを送れるよう企画を行う「学生プロジェクトW-CT」のマネージャーを務めています。
■今できることに全力を尽くす
留学先では、「ビジネス」と「持続可能な社会」をテーマに1年目はスウェーデン、2年目に米国で学びます。スウェーデンではサステナブルな社会づくりに向けたビジネスを、米国では世界経済を牽引するビジネスの最前線を学びたいと思っています。「留学までに、できる限りの準備をして臨みたい」と話す谷本さん。ビジネスなどの授業を履修し、留学生とのディスカッションに積極的に参加しています。

力を入れているのは授業だけではありません。「学生プロジェクトW-CT」のマネージャーとしてチームを統括し、企画・運営を通じて授業で得た知識を実践に移しています。「留学先でより深くビジネスを学ぶために、知識の面でも経験の面でも、できる限りの力を蓄えておきたい」と、2カ国留学という大きな挑戦に向け、ひたむきに準備を進めています。

■小さな経験がくれた小さな自信
国際共生学部の「オールイングリッシュ」「海外留学」に魅せられて入学したものの、高校時代に留学経験もなかった谷本さんにとっては、挑戦の連続でした。同級生たちは、帰国子女や留学経験がある学生が多く、明らかな実力の差がありました。どうにかして追いつきたいと、必死に英単語の勉強や外国人教員から勉強のアドバイスをもらったりと努力を重ねました。
しかし、思うような成果が出ず「この選択は正しかったのか」と悩む日々の中で、オープンキャンパスでの小さな経験は一筋の光となりました。

何気なく申し込んだオープンキャンパスの国際共生学部のブースのスタッフ業務では、「外大生と話そう」を担当し、高校生と受験や学部の学びについて話しました。質問に答える中で、高校生や保護者から「すごいね」「話を聞けて良かった」といった言葉をしばしばもらいます。「自分の経験や努力が誰かの役に立った」と実感した瞬間でした。
■プロジェクトで気づいた「ビジネス」の面白さ
この経験が、2年次から参加した「学生プロジェクトW-CT」へとつながりました。プロジェクトでは、オープンキャンパスやSNSを使って高校生に国際共生学部の魅力を伝えたり、国際共生学部生がイキイキとキャンパスライフを送るためのイベントなどを企画・運営をしたりしています。限られた時間や予算の中で、成果を出すために、仮説を立ててSNSやアンケートの数値をもとに論理的に改善策を立てていくプロセスを通して培ってきたのが「ビジネス」の視点でした。

長年続けてきたバスケットボールで得たものは「努力し続けること」。プロジェクトの活動にも活かされました。「自分の努力が結果につながる」ことを再び実感し、「ビジネスをもっと深く学びたい」と思うようになりました。持続可能な社会づくりに積極的なスウェーデンと、世界経済の中心である米国への2カ国留学を決意しました。
「少しずつ積み上げてきた経験が、成長の実感へとつながった」と話します。偶然始めたオープンキャンパスのスタッフが、プロジェクトへの参加につながり、自ら未来を切り拓く突破口となりました。
■Last JourneyではなくFirst Trip
留学への出発が近づくにつれ、谷本さんに大きなプレッシャーがのしかかってきました。「準備できているのかと不安ばかりです」と胸の内を語ります。授業料や住居費、生活費まで全て支給されるフルスカラシップでの留学という重責に加えて、成果を出さなければならないという使命感がありました。

その苦しさを信頼を寄せていたある先生に打ち明けたところ、こんな言葉をもらいました。
“You may be thinking of this study abroad as your ‘Last Journey’, but this is your ‘First Trip!’” (この留学を「Last Journey」思っているんじゃない?でもこれは「First Trip」なんだよ)
その一言が、張りつめていた心の糸をふっと緩めてくれました。「留学は大学生活の集大成だから完璧でなければ」という思いが強すぎて「少しでも準備が足りなければ失敗だ」と追い込んでいたことに気づいたのです。

留学は、ゴールではなくあくまでもスタート。目の前の準備だけに追われず、もっと広い視野で、留学後の進路や将来のキャリア、そしてこれから続く長い人生をどう歩むかに目を向けることが、今自分にとって本当に大切なのだと実感しました。谷本さんは再び、期待を抱きながら前に向かって走りだすことができました。