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≪The future starts here≫長塚郁美さん(起業家、ビジネスコーチ)Episode 02
客室乗務員から起業家へ 自ら選択し行動する力を養う
※関西外大通信「THE GAIDAI」321号の特集を基にまとめています
先行きが不透明で予測が困難な時代に正解はありません。急速な変化や複雑な世界に対応するため、求められるのは「次代を切り拓く、学びの力」です。関西外大で得た学びを活かして、卒業から10年経った今、社会で活躍する卒業生に〝これからの時代に必要な力〟を聞きました。

ながつか・いくみ/兵庫県立豊岡高校出身。外国語学部英米語学科2015年卒。大学時代は学生プロジェクトやカナダへの留学を経験。卒業後、日本航空に入社。国内線・国際線の客室乗務員として乗務し、クラス責任者まで昇格した。現在は起業し、企業向けのコーチング研修を行うなど幅広く活躍している。
先が読めない世界で本当に必要なのは、自ら選択して行動する力だ。と長塚さんが痛感したのは、2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大でした。航空会社の客室乗務員としてキャリアをスタートして5年。フライトは激減し、「このままで本当にいいのか」と自問自答する日が続きました。
そこへ飛び込んできたのが、異業種の人材育成部門への出向の話です。航空業界とはまったく異なる世界で、戸惑いや迷いもありました。しかし長塚さんは「新しい挑戦をしてみよう」と決意します。この経験を通して「自分で選択して行動する以外にない道はない」ということを学んだのです。
コロナ禍で変わった私の生き方と価値観

客室乗務員をしていた当時から「子育てと仕事を両立しながら、自分らしく輝き続ける女性でありたい」との思いを持っていました。客室乗務員としてのキャリアを続けるかどうか悩んだ時期もありました。
そんな長塚さんに出向先で転機が訪れます。キャリア開発の仕事に携わる中でコーチングに出会い、強く引かれるようになりました。「家族を持ち、子育てを大切にしながら働きたい」という思いを実現するため、やがて独立を決意しました。
現在は女性起業家・キャリアコーチとして、個人や金融に向けてリーダーシップ研修を提供しています。第一子の出産を控えていますが「場所にとらわれない働き方を実現し、好きな仕事と子育ての両立ができています」と笑顔で語ります。
「キャリアコーチとして、私が関わることで人が活き活きと変わっていく様子を目の当たりにできることが、この仕事のやりがいです」と話し、何をするにも一歩を踏み出せなかった方が、自分と向き合い、心から自分のやりたいことに向き合えるようになるなど、相談者の人生そのものに関わっているという手ごたえを感じながら働いています。
そして、VUCAと呼ばれる予測困難な時代に求められるのは「正解」を探す力ではなく、自分の価値観を軸に選択できる力です。長塚さんは「自分の価値観を持ち、自ら選択できるようになるには、たくさん挑戦することが必要です」と繰り返します。
これからの時代は殻を破る経験が力になる
大学時代のカナダ留学で、世界を自分の目で見て、異なる価値観を持つ人たちと対話しながら学ぶことの大切さを実感しました。
長塚さんは「地方で育った私は、関西外大に進学し、多様なバックグラウンドを持つ仲間たちと出会い、当時持っていた自分の〝当たり前〟が大きく覆されました。カナダに留学して現地の学生と交流する中で、異なる価値観を理解し、互いに学び合う楽しさを知りました」と当時を思い起こします。そして「同時に、日本の文化やサービスの質の高さに気づき、日本の魅力をもっと世界に伝えたいと思いました」と航空業界をめざすきっかけになったと明かします。
今もつながっている大学の友人たちは、大学時代の挑戦を糧に、自らの価値観を大切にしながらキャリアを積んでいます。学歴にとらわれず、自らの手で道を切り拓いている人は、失敗を恐れずチャレンジしてきた人たちです。
長塚さんは「挑戦の形は人それぞれで〝自分の殻を破る経験〟を重ねることこそが、本当の自信と行動力につながります。自分のコンフォートゾーンから抜け出す。そのための一歩は大きな勇気がいります。その先にはまだ見たことのない世界が広がっています」と語ります。「関西外大には、多様な仲間と出会い、異文化を学び、語学やプロジェクトなどに挑戦するチャンスがあふれています。変化の時代を生き抜くカギは、自ら学んで、選び、動く力です」と力強く語ります。