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≪The future starts here≫大谷安宏さん(三菱UFJ信託銀行)Episode 03
知らない世界を知る喜び 学び続けることを楽しむ
※関西外大通信「THE GAIDAI」321号の特集を基にまとめています
先行きが不透明で予測が困難な時代に正解はありません。急速な変化や複雑な世界に対応するため、求められるのは「次代を切り拓く、学びの力」です。関西外大で得た学びを活かして、卒業から10年経った今、社会で活躍する卒業生に〝これからの時代に必要な力〟を聞きました。

おおたに・やすひろ/愛知高校(愛知県)出身。外国語学部英米語学科2015年卒業。学生時代は野球に打ち込んだ。留学経験から、日本の価値を向上させることに貢献したいとの思いが高まった。幅広いサービスを提供できる信託の魅力に引かれて三菱UFJ信託銀行に入行した。
現在、三菱UFJ信託銀行で資産承継を支援する業務に当たっています。就職活動を始めた当初、留学経験を通して、海外で日本の魅力が十分に認知されていない現実に直面しました。そうした経験から「日本の価値を正しく発信し、向上させたい」という志を抱くようになり、旅行会社や航空会社などのホスピタリティ産業にも関心を持っていました。しかし「挑戦を求め、自己成長を遂げるため、あえて困難な道を選びたい」との思いが強く、金融業界で自力を試すことを決意しました。
常に挑戦し苦労する道を選ぶ
金融業界は日々が学びです。経済動向や投資戦略、法規制など幅広い知識が求められます。それでも「知らないことを知るのが楽しい」と思えたのは「大学時代の海外留学中に、自分の知らない世界を知ることに喜びを感じた経験があったからだ」といいます。
現在は、個人資産や法人の経営戦略に関わる6人のチームの一員です。顧客は主に大手企業のオーナー。「忙しい方ばかりですから本業に専念いただけるよう、個人資産の運用は安心して任せてもらい、資産管理をサポートしたいと思っています」と日々奮闘しています。
受け身から積極的な学びへ
大学2年のときに受講したマーケティングの授業が大きな転機となりました。担当の教授は、サントリーで数々のヒット商品を手がけた元宣伝部長で、実際の広告事例をもとにマーケティングの考え方を学びました。「広告は単なる情報発信ではなく、戦略的に構築されたものだと知りました」と振り返ります。

「もっと知りたい」と思い、友人と教授の研究室を訪れて個別に課題を出してもらうようにお願いしました。「沖縄・波照間島の特産物を商品化し、マーケットを拡大するには」が出されたテーマでした。友人と企画を練り、教授からフィードバックを受けるなかで、実践的な学びの面白さを知りました。大谷さんは「ただ受け身で授業を受けるのではなく、積極的に学ぶことの大切さを知ることができました」と当時を振り返ります。
大学3年のときに、アメリカに留学し、エコツーリズムを学びました。留学先では寮生活を送り、ある日、ルームメイトに「英語で上手く自分の考えを話せなくて…」と打ち明けたときのことです。彼は思わぬ答えを返してきました。「十分伝わっているよ」。さらに自信満々にこう続けました。「僕も日本語できるよ」。大谷さんは「彼が実際に知っていた日本語は〝ありがとう〟だけだったんですよ」と笑いながら振り返ります。
物事をより深く探求したい
大谷さんは、日本人が語学に完璧を求めすぎることと、アメリカ人の物事に対するとらえ方が日本人と違うことに気付きました。「異なる価値観に触れて〝なぜこのように文化や考え方に違いが生まれるのか〟と疑問を持ちました。この経験で知的好奇心がさらに刺激され〝物事をより深く探求したい〟という思いが強くなりました」と語ります。
先を見通すのが難しい時代だからこそ、好奇心と主体性がこれまで以上に重要になります。変化のスピードも速い時代、学び続けなければすぐに時代に取り残されてしまいます。
大谷さんは、「知らないことを知る楽しさ」や「異文化への関心」はこれからの時代を生きるうえで、どの業界でも大きな価値を持つと考えています。そして何よりも、「人や物事に関心を持ち続けること」が社会での成功へとつながると信じています。
世界は変化を続け、人間に求められるスキルも常に変化しています。大谷さんは「学び続けることを楽しめる人が、どの業界でも求められる人材」と考えます。そして「好奇心と主体性を持ち、自ら学ぶ姿勢を忘れないこと。それがグローバル社会を生き抜く力だと思います」と話し「金融の世界から日本の価値を高めたいと思っています」と力強く語りました。
