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地域の子どもたちにSDGsについて考えてもらおうと、外大生と留学生が交野市立旭小学校の6年生とプロジェクトに取り組みました
地域の子どもたちにSDGsについて考え、行動するきっかけにしてもらおうと、国際共生学部の学生と留学生が5月30日、「貧困」をテーマに交野市立旭小学校の6年生と英語を交えたプロジェクトに取り組みました。
国際共生学部の福田和生准教授のゼミ(研究会)「Global Engagement Research Group」で、「SDGs Quest」プロジェクトを進めている西出あきさん(2年)らが、地域の小中学生、高校生にSDGsへの理解を深めてもらう取り組みを始めており、旭小学校への訪問はその第一弾です。

■「NO POVERTY(貧困をなくそう)」がテーマ
今回は、SDGsが設定する17の目標のうち、最初に掲げられている「NO POVERTY(貧困をなくそう)」をテーマにしました。
「アジアの最貧国の一つといわれているラオスで1人暮らしを始めます。必要なものを買いましょう」との想定で、英語を交えながらアクティビティーしました。児童たちを「貧困層」「中間層」「富裕層」の3つのグループに分けて、貧困層1、中間層3、富裕層5の割合で仮想通貨を渡します。

■貧困層、中間層、富裕層で実際に買い物
そして「食べ物」「服」「交通手段」「家」について、渡されたコインで買い物をします。例えば食べ物では、ラオスではとても高額な「スタバの飲食物」▽普段食べている「家庭料理」▽安く食べることができる「屋台料理」のカードがそれぞれ用意されています。グループの中で話し合いながら、それぞれの所持金の範囲で購入します。
買い物が済むと、それぞれのグループで何を買ったのかを英語で発表しました。「あっちのグループはスタバが2個も買えたのに、こちらのグループは何も買えなかった」「家を買うことができなかった」と意見が出ました。「なぜグループで買うものが違うの?」と問い掛けると、子どもたちからは「最初にもらったお金が違うから」「商品の金額が違うから」と返ってきました。

■相対的貧困と絶対的貧困をやさしく説明
そこで西出さんらは「絶対的貧困」と「相対的貧困」について、具体的にわかりやすく説明し、「今日皆さんが学んだのは絶対的貧困です」と伝えました。
相対的貧困については「おにぎりを4個買える人が、A国ではおにぎりが1個しか買えないけれど、B国に行けばピザもハンバーガーも食べることができる」という例を紹介しました。絶対的貧困については「1日当たり2.15ドル(約300円)未満で生活している人たちで、日本でならおにぎり2個しか買えません。病気をして薬を買おうとしても、教育を受けることができなかったので文字が読めず、薬を買うことができない」と説明しました。
さらに西出さんらは「日本をはじめ先進国でも貧困は問題になっていて、絶対的貧困で暮らしている人がいます。今の生活が当たり前ではないんです」と付け加えました。

■大学生側にも学ぶことがたくさんある
6年生からはさまざまな感想が寄せられています。
「日本にも貧困問題があるとわかって驚きました」
「同じ国の中で(経済的な格)”差〟があることが分かりました」
「自分たちが住んでいる家や食べていることが当たり前ではないことが分かりました」

西出さんは「子どもたちから〝ずっと貧困が続いたらどうなるんですか〟と質問されて、〝貧困を断ち切るためにSDGsがあるんだよ〟と答えることしかできませんでした。こういった Experiential Learning は、私たちにも学ぶことがたくさんあると実感しました」と話しています。また参加した留学生は「帰国する前にとても良い経験ができた」と話す一方で「貧困と富裕に焦点が当てられすぎていて、中間層の存在意義が薄かったのではないか」との反省点も出ました。
「SDGs Quest」プロジェクトでは、高校生を対象にもう少し難易度を挙げたり、SDGsの他の目標についても取り上げて、地域の子どもたちへの取り組みをシリーズ化したいとしています。
今回の訪問に参加したのは次の皆さんです。
▽西出あきさん (国際共生学部2年)
▽ヘンリー・セレッチさん(国際共生学部4年)
▽狩野桜子さん (国際共生学部3年)
▽佐々木美侑さん(外国語学部英米語学科3年)
▽岸田梨央さん (国際共生学部2年)
▽マクロスティー翠さん (国際共生学部2年)
▽パイラー・ニコルさん (ドイツ)
▽ダイアナ・バラウカさん(イタリア)
▽イザベラ・ビカースさん(米国)