NEWS ニュース
米国・ロチェスター工科大学で「漫画実践」を履修する18人の学生が、6年前に留学生別科を修了した教授とともに関西外大を訪れ、本格的に漫画を学んでいます
米国ニューヨーク州のロチェスター工科大学で「漫画実践」の授業を受講する18人の学生が、6月21日から10日間、「Faculty-led Program」の一環で関西外大に滞在しています。外大では、特別講義を受けたほか、外大生との交流などを通じて、日本の文化や漫画について理解を深めています。

学生たちを引率しているバゼルスミス・コフィ教授は、2019年に交換留学生として来日し、関西外大の留学生別科で学びました。現在、ロチェスター工科大学美術学部で漫画実践を教えています。米国で「漫画」を教える教員はバゼルスミス教授が初めてで、漫画の描き方やコマ割り、イラストなどを指導しています。バゼルスミス教授の授業を履修している学生が外大を訪れています。

特別講義は、留学生別科で Manga Drawingの授業を担当するデビッド・ヤマト講師が「漫画の人脈に誘う/漫画産業と漫画読者を理解しよう」をテーマに行いました。
ヤマト講師は、江戸時代末期から明治時代にかけての漫画の源流をたどったうえで、現在の日本の漫画文化に至るまでの変遷をさまざまな視点と観点から語りました。

作者・編集者・出版社から読者に至るまでの漫画をめぐる人間関係のネットワークを解説したほか、漫画が音楽やイラスト、アニメ、映画、小説などさまざまなコンテンツを生み出し、そこからストーリーやキャラクターが創り出され、新たな市場・消費の方法が誕生してメディアミックスが進展していく現在の漫画産業についても述べました。
そして「Where am I in this human network of manga? and where do I want to be?」と受講生に投げ掛け、日本の戦前から戦後の漫画雑誌の変遷について話したうえで、現在は第4の〝場〟としてインターネットでのフィールドワークにも触れました。

18人は日本での滞在中、京都国際マンガミュージアムを訪ねたり、イラストの特別授業を受けるほか、スケッチブックを片手に大阪や京都などをめぐりました。
また、東京の大手出版社を訪問する予定を立てています。学生たちは4カ月かけて16ページの読み切りマンガを制作し、日本語に翻訳した作品を持ってきています。出版社で披露して、トップ8作品を選び講評してもらうことにしています。

このほか、外大生との交流を通じて日本文化にも触れています。日本語を学んでいる学生が多くおり、6月25日には日本語と英語を交えて折り紙を体験しました。鶴やカエルを折るだけでなく、レベルの高い船を作ったり、折り紙を複数枚使った立体作品にも挑戦しました。
また、バゼルスミス教授が発案した「国作りゲーム」を外大生とともに楽しみました。グループごとに、「国の名前」「国の代表的な食べ物」「その国だけの法律や伝統」「文化について面白いこと」「国旗」を考えてオリジナルの国をつくり最後に発表しました。

国旗の制作はロチェスター工科大学の学生がアイデアからイメージして描きました。ネコの国を作ったグループでは、「代表的な食べ物、ツナ缶はどうですか。ネコの好物と言えば、日本では魚やツナ缶を連想します」と外大生も参加しました。他にも、睡眠を大切にする国や、水の中の国など、クリエイティブな国が誕生しました。

電気工学と日本語を専攻し、将来は漫画家を目指すディラン・マキューさんは「関西外大は、外国語だけではなく、さまざまな分野の先生が在籍していて驚きました。またアクセスもいいので、滞在期間中にいろいろな所を訪ねやすいです」と話していました。
また日本の漫画が大好きだというケイコ・タカハシさんは「外大生との国づくりはとても面白かったです。日本から見た視点やアイデアを学ぶきっかけになりました」と振り返りました。