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概要

外大通信デジタルブック

[15]THE GAIDAI 2015年(平成27年)4月1日第277号Campus Life関西外大の最新ニュースはホームページにも掲載していますhttp://www.kansaigaidai.ac.jp/「会話分析」と工学技術の融合で患者や家族に優しい医療を提供│「会話分析」の研究とは、どういうものでしょうか。川島社会学の質的研究手法の一つで、実際の現場で「生」の会話を録音・録画し、会話を構造的に分析することで、その現場特有のタスクやジレンマなどを明らかにする研究です。対象となる現場で起こっている問題に、どう対応するべきかという解決策を模索することを目指しています。│この研究の面白さは。川島「会話分析」の研究をしていると、社会を変える鍵が意外に身近な所にあると気付くことがあります。例えば、超高齢化社会における医療・介護の見直しは、現在の日本社会の喫緊の課題です。もちろん法制度や社会制度の整備は急務ですが、身近な医療者と患者コミュニケーションという視点に落とし込むと、医療者のひと言を少し違う方向に変えることで、両者が理解し合い、楽に関わり合える方法を見いだすことも可能だと考えています。│医療現場、119番通報の対応、テレビニュースの伝え方など、さまざまな場面での分析がなされていますね。川島会話分析は、様々な現場で応用され始めています。文系の研究としては意外かもしれませんが、最先端の工学技術ともコラボレーションしています。私の関わっている研究に関して言えば、介護スタッフと高齢者の会話を分析することで、自然に振る舞える介護ロボットの開発を始めています。また、救急医療の現場で、動線を抽出するステレオカメラという工学の技術と会話分析を融合して分析し、いかに迅速にかつ患者や家族に優しい医療を提供できるのかという研究開発も行っています。│先日、学内で「セールストークの会話分析」をテーマに発表されました。川島私の研究のテーマの一つに「合意形成」というものがあります。セールスでは、単に商品を売るだけでなく、お客とのやり取りを通じて納得してもらった上で、購入に結びつけることが鍵となります。その際に重要となってくるのが、言葉の選び方、質問のデザインやお客との知識共有などです。発表では、具体的な実例を使って紹介しました。│販売関係者から理想的セールストーク法の教授を求められるのでは。川島実は、セールストークの研究は、始めたばかりなのですが、企業の方々から新人の現場教育やカスタマー対応に関して助言を求められることもあります。ただ、単に理想的な会話のパターンをマニュアル化して覚えさせるというよりも、社員一人ひとりが自分のコミュニケーションを振り返って、改善する能力を身につけるべきだと考えています。ビジネスコミュニケーションの授業でも、学生さんに「自己分析・改善能力をもつ社会人になろう」と、いつも話しています。会話分析は、これからのビジネスパーソンにとっても役立つツールだと思います。│「医療現場と日常会話における問題解決」の研究で科研費を受けられました。医療現場での会話は深刻なテーマですね。川島特に救急医療では、命に関わる話し合いを初対面の医師と家族がしなければなりません。そんな時、どう言葉を選び、どんな順序で話を進めていくのかによって、その後家族がするかもしれない「あの時ああすればよかった」という後悔を少しでも減らすことができます。そうしたコミュニケーションの機微を、より客観的に、また体系的に明らかにするために会話分析を使っています。また震災後、防災訓練の研究を始め、災害時のトリアージ(重症度によって治療の順番を決める行為)に関する研究も進めています。│一刻を争うトリアージでは、重大な問題ですね。川島トリアージはまさに1分1秒をいかに縮めるかが課題です。つい先日の「集団災害医学会」でも発表したのですが、例えば最初の質問を通常の診療のように「どうされましたか?」と聞いてしまうと、患者さんの話を遮って次の質問をしなくてはならなくなります。それよりも最初にトリアージに必要な項目を確認した後に、患者さんの訴えを聞いた方がスムーズなのです。それは、本当に些細なことですが、こうした工夫が、需要と供給のバランスが極端に崩れた大規模災害時に何人救えるか?という最大効率に繋がると考えています。│「会話分析」研究の課題は何でしょうか。川島主には2つあります。まずは、日常会話の構造解明です。医療やトリアージ、ビジネスなど様々な現場の課題を解決につなげている会話の微妙な部分は、日常会話でも使われている方法です。私たちが日常的に「交渉」や「合意形成」、「意思決定」をいかに成し遂げているのかを明らかにする必要があります。また、アメリカで生まれた「会話分析」は、英語の分析概念が基盤になっています。ヨーロッパやアジアなどでも展開され始めていますが、今後は、それぞれの社会・文化・言語特有の分析概念の確立が急務だと感じています。1994年、関西外大短期大学部に入学。外国語学部に編入学後、学位留学(GustavusAdolphus大学)を経て、2006年、カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会学部にてPh.D.取得。帰国後、埼玉大学理学部産学官連携研究員、日本学術振興会特別研究員、東京医科大学救急医学講座兼任助教、UCLA客員研究員を経て、2013年4月より現職。専門は、医療社会学、会話分析。プロフィル研究室から短期大学部短期大学部川島理恵講師川島理恵講師Vol. 34Vol. 34Vol. 34Vol. 34高齢化社会の医療・介護問題解決にも繋がる超来のビジネスパーソンに役立つツール未むトリアージでの研究大規模災害時の救出にも期待進なまかわしまみちえ短期大学部から指定校推薦で他大学への編入学が決まった学生を対象にした初めての「編入学前ワークショップ」が2月25日まで3回にわたって行われた。編入先大学での円滑な学びと、英語力の強化が狙い。講座では、対象となる学生が、各自の将来設計などを披露した。講座は、有本昌剛教授をファシリテーターに、谷本和子短大部副学長、浅田忠久教授、柊元弘文教授が指導担当を務めた。初日は、シンキングマップを用いて編入先大学での学び、授業にどう取り組むかをまとめ、小グループで話し合った。また、TOEICのスコアアップに向けたワークシートも作成した。2日目は「ライフプランニング」として、未来のキャリアについて話し合った。最終日は、参加者全員が自らのキャリアデザインについて、5分間のプレゼンテーションを行い=写真=、指導教員、学生が相互に評価し、数値化した。学生らは▽就活までに多くの社会人と接したい▽TOEIC700点をめざす。目標は銀行員▽ボランティア論がある大学を選んだ▽地元の公務員となって町を良くしたい―などと、将来設計を語った。学生の編入学先は、南山大6人、京都産大5人、龍谷大4人、関西学院大3人などとなっている。2015年度から、指定校推薦の編入学者は全員が「ワークショップ」を受講することを義務化する。短期大学部「K.G.C.ベーシックス」の第7回FD研修会が3月10日、中宮キャンパスで開かれ、クラスアドバイザーの教員約30人が出席。「能動的学修」の取り組みについて実技を交えて、教員の果たすべき役割を探った。まず、谷本和子・短大部副学長が「学生の能動的な活動を引き出す指導方法」について▽K.G.C.ベーシックスC・D(2年次履修)の活用▽学生の主体的な取り組みを促す▽未来(キャリア)を開拓する力の養成▽教員は「役割・教授法」の工夫を―などを説明した。引き続き「ファシリテーターとしての教員の役割」について学びの技法を模索した。「アイスブレーキング」で、手書きの名刺をもとに自己紹介。4月から着任する新任教員3人も加わり、コミュニケーションの糸口を探した。「バースデーチェーン」でグループ分けし、「ブレーンストーミング」に移った。「遅刻する学生への指導法とは」を例題に討論。出された多くのアイデアを付箋紙に書き並べ=写真=、遅刻防止へ効果的なアイデアをダイヤモンドランキングに示し、発表した。最後に、ワールドカフェを活用して「能動的学修」をテーマに話し合った。短大部では、中央教育審議会(中教審)の答申を受け、教員主導で知識を伝える受動的学修から、アクティブ・ラーニングによって学生が主体的、協働的に学修する仕組みをめざすとしている。短大生の「能動的学修」引き出す教員FDK.G.C.ベーシックスを研修編入学前ワークショップ開く