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概要

外大通信デジタルブック

[11] THE GAIDAI 2015年(平成27年)10月9日 第280号Campus Life 関西外大の最新ニュースはホームページにも掲載しています http://www.kansaigaidai.ac.jp/ 英語国際学部の佐古和枝教授が9月4日、国立国会図書館関西館(京都府精華町)で開かれた関西文化学術研究都市8大学連携「市民公開講座」で、「考古学から探る出雲神話の謎?なぜ〝出雲?なのか?」と題して講演した=写真。約200人の市民に、佐古教授は出身地の鳥取を含む出雲文化圏の視点から、神話や古墳の話をわかりやすく解説した。 佐古教授は、中央集権の国づくりを進めるうえで、政権の正当性を世に示す必要があった天武天皇の命などにより古事記・日本書紀が編纂されたと説明。「文字は侵略の言い訳を書き残す」というアイルランドの考古学者の言葉を引いて、その意図を指摘した。さらに、出雲・伯耆・因幡が一つの文化圏を形成していた弥生時代の遺跡について紹介。全国最多の358本の銅剣を発掘した荒神谷遺跡や39個の銅鐸が見つかった加茂岩倉遺跡など、国の史跡クラスの遺跡の特色を語った。 また、玉造温泉にその名が残る、勾玉や管玉などの「玉作り」について、佐古教授は出雲製の玉が「山陰の特産品だった」と話した。鳥取県で鉄器が多く出土しているデータを図示し、自ら保存運動に関わった全国最大の弥生遺跡・妻木晩田遺跡などを例示。前方後円墳の築造が盛んになっていた古墳時代にも、出雲では四隅突出型墳丘墓が主流だったことにも言及した。むきばんだ イベロアメリカ研究センター主催の第8回スペイン語教授法研究会が7月11日、中宮キャンパスの多目的ルームで開かれた。早稲田大学文学学術院講師の四宮瑞枝さんが「異文化能力の育成について考えよう――スペイン語教育における文化リテラシーと異文化トレーニングのアイデア――」をテーマに、異文化を尊重し合う精神を外国語教育によってどれだけ育てることができるのか語った=写真。参加したのは、本学のスペイン語教員や学生、大学院生ら約20人。テーマごとに2?4人の少人数に分かれ、実践的なグループワークも行われた。 「文化リテラシー」について、四宮さんは「情報や知識を鵜呑みにせず、複数の視点から注意深く、論理的に分析するクリティカル・シンキングがそのベースにあり、情報や知識に行動力が伴って初めて実践される」と力説。また、2人1組のロールプレーで異文化トレーニングを実践したり、4人1組で、こうした実践が授業にどれだけ応用できるか話し合ったりした。学研都市8 大学が連携「出雲神話の謎」テーマに佐古教授が市民公開講座「スペイン語教授法」早大講師招き研究会問題が深刻化する前に早めのカウンセリングを│本学に来られる前は「言語聴覚士」として子どもの言語障がいと向き合ってこられたと聞いています。どんなお仕事だったのでしょうか。堅田 私は25年間、小児領域の外来診療部で勤務していました。大阪市の中核病院という性質から、2?5歳ぐらいのお子さんが6割を占め、続いて学童、そして18歳の方まで診療に携わってきました。2?5歳の相談は、言葉の遅れ、発音の不明瞭、吃音が中心です。その他、コミュニケーションがうまくいかない、集団行動が苦手、学習面に偏りがあるといった、子どもの暮らしに関連した内容です。学童以降に当初の問題が寛解(症状が好転または、ほぼ消失した状態)する場合がありますが、発達障がいの特徴が明らかになってくることもあります。入院患者さんは、新生児科や小児内科から「ミルクが飲めない」「離乳食が進まない」といった栄養摂取について、脳外科からは頭部外傷、脳腫瘍、脳症などによる後遺症で生じる哺乳・摂食嚥下機能障がい、言語やコミュニケーション、学習上の問題の評価や助言指導を目的に紹介されます。毎年600人以上の新患を迎え、再診患者さんと合わせて、延べ5000件を4人のスタッフで対応していました。│本学で取り組まれている研究は。堅田 何らかの障がいや課題がある子どもさんがいる家族の支援について研究しています。なかでも、親や兄弟姉妹に対するセルフヘルプグループ(問題を抱えた家族が互いに支え合い乗り越えようとする小集団)の機能やマネジメントについて、インタビューを交えながら定性的な分析を行っています。│吃音に関する著書も多く出されていますね。堅田 言語障がいの中の「吃音」も専門領域のひとつです。吃音とは、「おおおおおはよう」のような繰り返し、「ああーーーりがとう」と引き伸ばした表現、言葉の最初が出しづらく力んでしまって「……○○といいます」のような話し方を指します。「あわてているから」「緊張するから」と思われがちですが、理由は違います。あわてていなくても、緊張していなくてもこのような表現になってしまうのです。周りから言葉の指摘を受けることで意識し、やがて症状は悪化していきます。自尊感情が揺らぎ、自己否定感を強めてしまう可能性もあります。我慢をせず、ひとりで悩まず、早めに相談をして欲しいのです。残念ながら専門的な相談ができる場所は意外と多くありません。吃音をよく知らないのに安易な助言やアドバイスをする人がいます。│どうすればよいのでしょうか。堅田 外大生の場合は学生相談室か研究室にお越しください。私は以前から、吃音の相談ができる窓口がもっと増えることを願い、多くの専門家の養成が必要であると強く感じてきました。今年度ようやく、日本吃音・流暢性障害学会で初めて「吃音臨床ガイドライン」の公示と講習会をファシリテートできました。│「対人援助とカウンセリング」という講義を担当されています。学生に学んでほしいことは。堅田 相手(支援を必要としている人)に対する専門職としてのかかわりが対人援助職です。相談・心理業務のほかに、看護師や教師など、究極にはモノやサービスを売る職種であっても、顧客に対する対人援助の精神を持ってかかわることでビジネスを成功に導く可能性を秘めています。「自分のことはさておき、人のためにできることを」「人を助けたい・救いたい・教え導きたい」という動機づけから医療・福祉・教育分野の職業を選択される方が多いといわれています。しかし、「私」を二の次にして、または顧みずに「他」に尽くし続けるとしたら、いつかは燃え尽き倒れてしまいます。自分を叱咤激励し続ける方も危険です。対人援助とは、実は自分自身へのまなざしを身につけることからなのです。自分の中にあるさまざまな感情のすべてに対し、優劣をつけることなく大切に扱うこと。カウンセリングはそのガイド役も担っています。目標に向かって持続し続けられるセルフコントロールの方法や他者への想像力を高められるように、体験学習を中心とした講義をおこなっています。問題が深刻化する前に、早めにカウンセリングを受けてもらうことの利益も伝えています。│一般教員は支援が必要な学生とはどう向き合えばよいのでしょうか。堅田 学生の想定外の行動や言動に戸惑われる先生がおられるでしょう。「どうしてそんなことをしたり言ったりするのだろうか」と。そこには必ず理由があります。直前の出来事の引きずりや思い出すことによって本人がそのことにとらわれ過ぎてしまい、自己コントロールを逸した行動や言動として現れることがあります。「恥ずかしい」「その出来事を打ち消したい」「人格攻撃をされた」のほかに「同じことを繰り返してしまう」「切り替えが難しい」「止めたくても止められない」問題もあります。誰もが多少はこうした部分を持ち合わせているものです。そうなってしまうのだという観点に立っていただき、できれば個別で「この時はこうすべきだよ」「こう言ったらいいよ」と教え導き、練習してもらうことが必要です。能力に偏り、想像力のなさ、人の気持ちがわからない、といった解釈で「適当に受け流す」ことはしないであげていただきたいと思います。問題が大きくなる前に①早めに止める②教え導き修正③練習によって定着④できたことを意味づけし称賛する―ことを私は基本としています。どうしたらより良い学びができるかを一緒に考えていただけたら嬉しいです。1987年、大阪教育大学特殊教育特別専攻科言語・聴覚障害児教育課程修了。通園施設、支援学校、大阪市立小児保健センター言語科を経て、1992年、大阪市立総合医療センター小児言語科。2015年4月から短期大学部准教授。プロフィル研究室から短期大学部堅田 利明 准教授Vol. 37べ5000件の小児の症状と向き合う延音は我慢せず、ひとりで悩まず相談してほしい吃援が必要な学生に対し「適当に受け流す」ことはやめよう支かただとしあきかんかい