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概要

外大通信デジタルブック

THE GAIDAI 2015年(平成27年)12月11日第281号[12]Kansai Gaidai×JAL関西外大の最新ニュースはホームページにも掲載していますhttp://www.kansaigaidai.ac.jp/私は四年制大学の理系出身でしたが、当時は理系女子学生の就職は困難な時でした。そんな中、就職活動中に「日本航空客室乗務員500名募集」という新聞の求人広告が目にとまりました。成田空港が開港する年でもあり、日本航空が客室乗務員を大量に採用するというのです。これが私が入社したきっかけであり、あまり自慢できる動機ではありませんでした。入社後は、まず北海道の千歳空港のカウンターで4カ月間の地上研修を受けました。接客の仕事は初めてでしたが、幸せなことに、この仕事が好きな自分に気がつきました。当時は採用試験で「花嫁修業という気持ちではないですか?」などと聞かれたものでしたが、当時から私は、「定年まで働きます」と言っていたのをはっきりと覚えています。飛行機一機の客室の責任者(チーフキャビンアテンダント)になった後も、管理職となりフライトを続けることになります。プライベートでは息子がおりますが、出産前後には休職し、復帰訓練を経て、国内線の時間限定の乗務に就きました。半年後には国際線に戻りましたが、子育てに関しても、サッカーママや、塾通い、お受験を経験し、100%フルコースの人生を歩んできたように思います。そして2010年。客室乗務から地上に降りて、客室品質企画部長をしていた時でした。日本航空は経営破綻し、経営の神様といわれる京セラ創立者の稲盛和夫氏を会長に迎え、再建の道をあゆむことになります。役員は交代。私は客室乗務員出身者として初の客室本部長となり、執行役員として経営陣に加わりました。昨年11月には、新設されたコーポレートブランド推進部の担当となり、今に至ります。日本航空がどういう会社を目指すのかを考え、お客さまをはじめとした社会の皆さまにJALブランドを感じていただけるようにしていくことがコーポレートブランド推進部の役割です。会社のイメージやブランドは、最終的には「人」がつくると考えています。社員一人ひとりの心が色々な場面で発信され、社会におけるイメージが作られていきます。心の大切さについては経営破綻の際に稲盛さんから教えていただいたことでした。稲盛さんからは二つの財産をいただきました。ひとつは「JALフィロソフィー」です。これは社員がもつべき意識・価値観・考え方であり、これを全員で共有し、ベースとして行動するものといったところでしょうか。もうひとつは「部門別採算」というのですが、世で言われているアメーバ経営です。稲盛さんには、倒産したのは財務的な神経が鈍っていたからだとご指摘を受けました。JALフィロソフィーには40の項目がありますが、当たり前のことばかりです。でも、当たり前のことが、はたして本当に当たり前にできているか?私たちにはどこか、格好つけたり、形に頼っていたところがあったのではないかと、遅ればせながら振り返り、気づかされることが多くありました。今はつくりものでない本物を目指して、教育はもちろんのこと、「企業のブランドは人が創る」という言葉を、日本航空の翼を支える35000人に説いて回っています。「企業理念」をご紹介します。JALグループは全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客様に最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。というものです。また、2012年に策定した中期経営計画では、「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される航空会社になる」という目標を掲げています。今私たちはこれらを形だけでなく本気で実行する会社になる、そして、一人ひとりがそれぞれの役割を果たすことで、必ず実現できると確信し取り組んでいます。日本航空が大切にするもの大川順子・日本航空取締役専務執行役員航空業界を目指した理由と経験談出雲瑛莉子・日本航空客室乗務員講演要旨講演要旨1号館エアライン演習室では「本学OG、現役のJAL客室乗務員(CA)と語ろう」と題する催しが行われ、学生が30人ずつに分かれ、講演を終えた本学OGのCA、出雲瑛莉子さんに次々と質問した=写真。出雲さんは「JALの強みは」との質問に、「外国人のお客さまから日本の伝統、奥ゆかしさを代表しているといわれることがある」と紹介。日本を代表するナショナルフラッグキャリアだけに、日本人としてあるべき姿を伝えられる立場にあることが強みではないかと話した。普段気を付けていることについては、「笑顔」と答え、職場の責任者を任されるようになり、周囲の人たちが楽しく働けるように笑顔でいることを心がけており、そのことで乗客にもいいフライトだったと感じ取ってもらえるようになるとし、周りに楽しく過ごしてもらうことが大切だと指摘した。また、乗客に対して細やかな気配りができることが日本人の魅力だとして、「お客様に声をかけ、何を求めているかを早い段階で気づくことが重要」と話した。就職活動については、自己分析が重要と語った。「自分と向き合い、自分の良さを見つけて、それを高める努力をするとともに、自分の言葉で表現できるようになってほしい」と励ました。入社後の心構えに関し、「私の最初の職場は外国人のほうが多く、周りから後輩というより、一緒に働く仲間として扱われた」として、教えられより自分から積極的に仕事を覚えることが大切だと強調。さらに、年数を重ねるにつれ、リーダーシップが大事になると説いた。出雲さんは、「一番印象に残っていること」として、お客さまへの対応に苦慮した経験談を語った。ある国際線の乗客がCAの呼び出しボタンを何度も押し続け、要求はエスカレートしたが、応じることは難しかったという。目的地に到着後、責任者と一緒にそのお客さまの話を1時間ほど聞いたところ、最後に「話を聞いてくれてありがとう」と理解を示してくれたといい、こうしたフライトがあった際には、反省点とし、改善する目標にしていると述べた。楽しく有意義に講演した出雲さんを質問攻めCAと語ろう日本航空グループのジャルウェイズに入社し、国際線を4年、ジャルウェイズが日本航空に統合後、国内線1年を経て、今年から再び国際線に乗務していますので、CA(客室乗務員)経験は9年ほどになります。まず、CAをめざした理由からお話しします。関西外大では、留学プログラムを利用してオーストラリアのブリスベンに留学しました。そこで、多国籍の方々と交流し、日本の奥ゆかしさや文化を再認識しました。旅をすることも多く、日本の良さを伝えていける職業ということで、CAを志望するようになったのです。CAに求められるものは何でしょう。まずは健康だと思います。日常の健康管理を第一に考え、これまで風邪などで休んだことは一度もありません。重い荷物を運ぶこともあり、腰痛にもなりがちです。そこで、日頃からストレッチや運動が欠かせません。フライト前のミーティングでは1分間の体操もしています。次に知識と技量。専門知識は新人時代に2カ月間、さらに国際線に移る際、ファーストクラス担当になる際に、それぞれ研修があります。また路線によってサービスが異なることもあるので、フライトにあたっては、念入りな事前学習が求められます。何より重要なのは、お客さまのお役に立ちたいという、おもてなしの心ではないでしょうか。接客の5原則は、1挨拶とお辞儀2身だしなみ3表情4話し方5態度――です。人が感じる印象は、視覚が60%を占めるという調査結果があります。表情、笑顔、視線が重要なのは、客室乗務員も同じです。また、身だしなみを整えるのはおもてなしの心を伝える第一ステップ。表情・笑顔も大切です。「ウイスキー」と発声して、笑顔を練習しましょう。笑顔はコミュニケーションの基本です。航空教室と並行して、マルチメディアホール入り口で行われた制服体験では、順番待ちの行列ができた。航空教室が終わると、学生たちに交じってちびっ子たちの姿も。子ども用の制服も用意され、だぶだぶの制服を着てポーズを取る姿に「かわいい」の声が上がった。航空機の写真の前には、学生たちが順番に記念撮影するなど、大人気のコーナーだった。また、フロアの一角には、JALの新しい座席が用意された。こちらも記念撮影のホットスポットに。学生や家族連れがクラスJシートに座ってくつろいだり、座り心地を味わったりしていた。大人気の制服体験大人気だった制服体験コーナー