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概要

外大通信デジタルブック

THE GAIDAI 2016年(平成28年)2月17日第282号[10]Gaidai News関西外大の最新ニュースはホームページにも掲載していますhttp://www.kansaigaidai.ac.jp/「学びが深化し、学ぶ意欲が高まる授業を目指して」をテーマに、第8回FDシンポジウムが2月3日、教員ら約60人が参加して中宮キャンパス・多目的ルームで開かれた。第1部は京都大学高等教育研究開発推進センターの溝上慎一教授が同じタイトルで基調講演。第2部は市原麻衣子・外国語学部准教授と西村孝彦・英語国際学部教授が、それぞれ授業の工夫などを発表し、質疑応答も行われた。最後に溝上教授が「アクティブ・ラーニングを取り入れると、授業だけでは時間が足りなくなる。学生たちの授業外学習をいかに増やすかが今後の課題だ」とコメントして総括した=写真。溝上教授はまず、択一問題に学生が数字を押して回答すると、瞬時に教員のパソコンで集計できる双方向授業の小道具「クリッカー」を紹介。「250人規模の授業でも使っている」と授業での活用について話した。アクティブ・ラーニングを取り入れた授業ではグループワークをさせ、大切なのは「必ず発表させること」。考え方を共有し、他グループの考えを知ることが成長につながると語った。また、学びの質にまで考えを進めたディープ・アクティブ・ラーニングの考え方も紹介した。第2部の市原准教授は「学修深化のための自己効力感向上に向けた取り組み」と題して発表。1ほめる2教員が勉強する3忍耐力をもって学生と接する――という3点を心がけていると話した。「国際関係論」の授業では、中間テスト、期末テストのほかグループ発表によって相互刺激を促しているといい、「活躍の機会を与える授業を意識している」と強調した。西村教授のテーマは「アクティブ・ランゲージ・ラーニング・ストラテジー意識と気づきによる内的動機づけを基礎としたアウトプット重視の言語学習戦略」。教職課程履修生への授業で心がけていることを語った。「教職履修学生の学びの基本3原則は、1Don’t afraid of making mistakes2Be3conscious of being in front of studentsBe conscious of Visualizingだ」と話した。国際文化研究所主催の創立70周年記念第2回IRI言語・文化コロキアムが1月9日、「言語と文化を豊かにする文字の働き」をテーマに中宮・多目的ルームで開かれた。インドやアジアの漢字文化圏で、文字が文化をどう導いてきたか、3人の専門家が1人ずつ発表し、続いてパネルディスカッションも行われた=写真。発表者(パネリスト)は本学の中谷英明・外国語学部教授▽金文京・鶴見大学教授▽沖森卓也・立教大学教授。まず、中谷教授が「インドの口頭伝承と文字」、金教授が「東アジア漢文訓読とその背景」、沖森教授が「日本語表記の黎明―文化の観点から―」をテーマに、約1時間ずつわかりやすく自説を発表した。本学教員ら約30人が参加し、熱心に聞き入った。中谷教授はインダス文明からバラモン教の成立、リグ・ヴェーダの口頭伝承について、時代を追って話を展開。インドは高温多湿の土地柄から、口頭伝承は写本よりもはるかに信頼性があり、4000年近くの間、極めて正確に情報が伝わってきたなどと説明した。時代が下り、ブッダの出現によって仏教が誕生。その後、中国、日本へ伝わった密教も口頭伝承だった。インドの文字は紀元前3世紀ごろ、アショーカ王の治世に成立し、胎蔵界曼荼羅で仏像をイメージするために用いられていることなども画像で紹介した。金教授は「東アジアの文化圏は宗教で括るのが難しく、中国から伝わった文字を仲立ちとした漢字文化圏の概念が生まれた」と前置き。「中国に仏教が伝わった際、訓読が用いられた」と述べ、訓読の起源はすべて仏典の漢訳、中国の書写習慣にあると説いた。中国、朝鮮半島、日本には独自の訓読による言語観があり、世界観の矛盾・対立もあったと指摘し、「東アジアの地域間対立は、近代になって出現したものではなく、仏教伝来当時から存在していたものであることを注視すべきだ」と語った。沖森教授は、漢字の伝来などについて、万葉集を中心に話を進めた。朝鮮半島の百済では4世紀に漢字の使用が始まったとする記録があることから、日本への漢字伝来は4世紀末から5世紀初頭と推定。万葉集には、発音されない漢字表記もあることを紹介した。また、草書体の万葉仮名として用いられる草仮名は、日本語をその音通りに書くために編み出された書体で、これがさらに簡略化されて平仮名が生まれ、文字体系として漢字と決別。物語や日記、説話などの王朝文学が花開く――といった道筋を語った。FD委員会主催の第5回授業実践研究フォーラムが1月6日、中宮キャンパスのICCで開かれた。ICCホールで開会式に続いて、尚絅学院大学の合田隆史学長が「結果を出すアクティブ・ラーニングの実現のために」と題して、基調講演を行った=写真。この後、5教室に分かれ、ネイティブ4人を含む本学教員20人が、授業での工夫などを盛り込んだ発表を行い、授業改善への意識を高めた。基調講演の合田氏は文部科学省出身。同省生涯学習政策局長などを経て2014年4月から現職。副題に「改めて、今なぜアクティブ・ラーニングなのかについて考える」とあるように、大学の社会的使命が変化してきたという角度で、歴史的見地から説き起こした。合田氏によると、11?12世紀に成立した大学は学者や学生の同業者組合的存在だった。時代は下り、中等教育が普及するにつれて大学の大衆化が進展。学生が大学を選ぶ時代に突入。今は各大学がそれぞれ、大学像を模索している時代という。問題は、高等教育が社会の必要とする人材育成の役割を果たしているのかどうか。その指針が必要となり、世界共通の評価システムとして生徒の学習到達度調査(PISA)や国際成人力調査(PIAAC)が登場した。グローバル化が進む中で、従来型の授業も転換を余儀なくされた。ルーティンの手作業や課題に取り組むよりも、ノンルーティンの課題を分析し、方向性を探る力が求められ、これがアクティブ・ラーニングと結びついた。そのうえで、合田氏はアクティブ・ラーニング(AL)への批判・課題も紹介。単なるALから結果を出す、DAL(ディープ・アクティブ・ラーニング)への進化が必要とされていると強調した。そのために必要とされることとしてFDを挙げ、教員力の開発や学内の研究授業の実践などの手法を挙げた。研究発表は、第1室(ネイティブ教員)=Teaching Practices▽第2室=言語学と言語教育▽第3室=授業の充実▽第4室=経済学・経営学・会計学と教育▽第5室=教養教育の充実――のテーマ別に行われ、各室4人ずつ1人約30分の持ち時間で発表した。和やかなムードの中で授業の話や学問談義を楽しむFDカフェ第8話が1月27日、中宮・多目的ルームで開かれた。この日は、短期大学部の明石一朗教授が「『笑育学』の一考察」と題して、ユーモアや小話などを随所に織り込む授業の様子を紹介。さまざまなネタやダジャレを連発し、笑いを通してコミュニケーション力や表現力が身に付くという持論を繰り広げた。元小学校教員で校長も務めた明石教授は、「先生の笑顔に勝る教育力はない」と話し、子どもたちとの愉快なエピソードを次々と語った。学生たちとは、なぞかけや漫才のような突っ込み、ギャグなどのやり取りをしているといい、その実例を次々と披露。その一つ、「バスの運転手さんはいつも帽子をかぶっているが、それはなぜ?」の答えは「無謀(無帽)運転をしないための危険防止(帽子)です」。会場も笑いに包まれた。笑いの目的は学生を集中させるため。また、「好感」「共感」「親近感」を高めるツールといい、「ためになる」「わかりやすい」「ユーモア」の3つを心がけていると強調して話を締めくくった。感想や質問にも丁寧に回答。ジャケットの裏に「笑えよ!」と書いた布が貼り付けてあり、「教室の雰囲気をなごませるために使います」と説明=写真。講演の合間に手品も披露し、参加者の要望で種明かしもしてくれた。FDカフェ明石教授の〝笑育学〟インド中谷教授万葉集沖森卓也氏漢字圏金文京氏国文研言語・文化コロキアム〝アジアの文化圏と文字の存在?をめぐってFD授業実践研究フォーラムシンポジウム基調講演と20件の発表「学びの深化、学ぶ意欲向上」テーマにアクティブ・ラーニングをめぐって歴史から探る実践例を中心に基調講演の溝上慎一氏――合田隆史氏5つのテーマで研究発表