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概要

外大通信デジタルブック

THE GAIDAI 2016年(平成28年)10月14日 第286号[ 4]関西外大の最新ニュースはホームページにも掲載しています http://www.kansaigaidai.ac.jp/ The 50th Anniversary 1966年に開設された外国語学部が今年、50周年を迎えた。設置申請時から関わってきた谷本榮子理事長に、4年制「関西外大」の半世紀を振り返り、未来を語ってもらった。 大学の50歳は「成長期から成熟期へ」、そんな年ごろでしょうか。半世紀が過ぎ、多くの人に支えられ評価も高まってきました。そして、「御殿山キャンパス・グローバルタウン」が開学する2018年は短期大学65周年と国際交流50周年の節目の年。創立70周年以来、大きな区切りを相次いで迎えることになりました。 終戦直後の小さな英学校が、8年後の53年に短期大学を開設。その存在が社会に認められるようになってきたのは、高度経済成長期のまっただ中、団塊の世代が大学に入る時期を迎え、4年制大学増設を社会全体が求めていたころでした。めざしたのは、既存の国公私立外国語大学、外国語学部にはない、特色ある個性的な大学づくり。「外国語大学」というより、言ってみれば言語と文化を探究する「外国学大学」です。学科は英米語とスペイン語だけ。言語はコミュニケーションの手段であり、それを仲立ちに、文化を理解し比較研究して相互の親善と繁栄をめざしていこうという、建学の理念に沿った大学が立ち上がりました。 国際交流は、この道筋を進むうえで重要なプログラムでした。一人でも二人でも学生たちを海外へ送り出したい。そんな思いで、ジャパノロジーのコースを開設している米国の大学に、交流呼びかけの手紙を計600通も送りました。1968年、返事を寄せてくれたアーカンソー大学の学生や教員を招いたのが本格的な国際交流の始まりです。学部の特徴を生かすためにも、欧米系の留学生が大勢来てくれたらという思いがありました。本学の国際交流には50年の蓄積があります。これに孔子学院を加え、地球全体を覆うネットワークに広げていきたいものです。 大学院は、73年に修士課程(現博士前期課程)を開設。そして、博士課程(同後期課程)を全国の外国語大学に先駆けて開設しようとしたのですが、世間は冷ややかでした。「国公立大学にもないドクターコースなんて……」というわけです。それでも、言語を通して「外国学」「国際学」を究める教学体系確立を掲げ、79年に認可されました。大学院が整備され、高等教育機関として完全な形が出来上がりました。 国際言語学部を開設した96年前後は、大学新設の抑制時期でした。看護、介護など特定の分野以外、大学や学部の新設は困難。文部省(当時)の担当官から申請の度に押し戻されながら、「海外とコミュニケーションし、世界へ発信できる若者を育てたい。そのために日本語、日本文化を知ったうえで、外国語の力をつけさせる」と何度も説明し、納得してもらいました。 21世紀を迎え、2011年に英語キャリア学部を新設、14年には国際言語学部を改組転換して英語国際学部を立ち上げました。国際交流では、地球規模のグローバル化が、社会全体の流れになってきた中で、「本学にしかできない成熟した取り組みを」という思いを込め、留学生対象の国内インターンシップを昨年から実施し、留学生や協定校に好評です。受け入れ企業も増え、経済界からも高い評価を得ています。 2年後の新キャンパス完成は、短大65周年と合わせて盛大に祝いたい。大学には厳しい未来が待ち受けていますが、本学に関わるすべての方々の協力を得て、さらなる成熟をめざします。「成長期」から「成熟期」へ国際交流50年の蓄積博士課程で完成形に歴史振り返り谷本理事長「さらなる成熟を」 故谷本貞人総長の著書「関西外大づくり三十八年」によると、本学が4年制大学の用地探しを始めたのは1962(昭和37)年春。当時短大助教授兼学監だった総長らが率先して動いた。翌年、後に片鉾キャンパスとなる枚方市内の土地を確保。64(昭和39)年5月、故谷本多加子理事長・学長が2年後の大学開設を発表した。文部省(当時)の設置認可は開学を3カ月後に控えた66(昭和41)年1月だった。 4月20日、外国語学部のみ、英米語学科150人、スペイン語学科50人(いずれも入学定員)の単科大学が産声を上げた。講堂が未完成で広場にテントを張っての青空入学式は、後々までの語り草となった。 その後の外国語学部の発展は、国際交流の歩みと軌を一にしている。大学院も設置され、外国語大学として初めてドクターコースを設けるなど充実の一途をたどった。 谷本貞人理事長・学長(当時)の提唱で1986年にスタートした「関西外大ニューイアラ整備計画」は、21世紀の大学づくりをめざし、教育、研究、施設の充実が3本柱。1994年7月に設置申請した「国際学部国際言語コミュニケーション学科」は、その第9期事業だった。新学部は84年に万代学舎を移転させた穂谷学舎(現学研都市キャンパス)に置き、大学開設30周年の96年開学をめざす計画だった。 94年9月発行の「関西外大通信」154号には、「名実ともに新構想の学部、学科である。長年培ってきた『国際学』『外国学』をさらに発展させ、二十一世紀の新しい教育研究領域に挑戦、地球化社会の要請に応えていきたい」という谷本貞人理事長・学長の談話が載っている。学部名は国際言語学部となったが計画は順調に進み、96年4月には新入生207人を迎えて、2 学部体制がスタートした。 国際言語学部開設から15年、21世紀も10年が過ぎた2011年、英語キャリア学部が中宮キャンパスに新設された。地球全体を覆うグローバル化を背景に、英語力を国際舞台で活用し、職場で駆使する英語のプロフェッショナル養成。新学部開設はこうした観点から、谷本義高大学学長が中心となって検討を重ねた。 2 0 1 3年には、英語キャリア学科小学校教員コースが新設された。11年に小学校5、6年生に外国語活動(英語)が必修となり、「小学校でも英語を使える先生が必要になる」と、本学の英語教員養成の実績とノウハウを生かした学びがスタート。1期生は来春、卒業を迎える。2014年には学研都市キャンパスの国際言語学部が英語国際学部に改組転換され、新たなスタートを切った。18年春、御殿山キャンパス・グローバルタウンに移転。中宮キャンパスとの一体的運用が始まる。1966新天地・枚方に外国語学部創設201121世紀の大学をめざして1996国際言語学部は「地球社会」に対応? 左の写真=1完成間もない外国語学部の枚方キャンパス(当時)2国際交流が始まり枚方キャンパスに翻る各国の国旗3国際言語学部開設を伝える関西外大通信163号4英語国際学部入学予定者のガイダンス(2014年3月)5英語キャリア学部新設を記念して開かれた開学記念セミナー(2011年7月)6小学校教員コース1期生の初合宿(2013年4月)1966年4月 外国語学部創設1968年8月 米アーカンソー大学の教員・学生を招き本格的な国際交流がスタート1973年4月 大学院修士課程(現博士前期課程)開設1979年4月 大学院博士課程(同後期課程)開設=国内の外国語大学で初1996年4月 国際言語学部開設2011年4月 英語キャリア学部開設2013年4月 英語キャリア学部に小学校教員コース新設2014年4月 英語国際学部開設=国際言語学部を改組転換大学の歩み大学50年123456次の節目は2018年