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概要

外大通信デジタルブック

[3] THE GAIDAI 2017年(平成29年)2月21日 第288号Gaidai Newsグローバルタウン素描 新キャンパスの5つのゾーンのうち、西端の第5 ゾーンには図書館「Learning Commons」が配置される。西隣は豊かな自然の森が残り、北側は、図書館のテラス空間から続く階段状の「憩いの広場」が緑陰を形成する。イベント開催時には、広場がステージに、それを取り囲むステップが観覧席に変わる。まさに野外劇場だ。このゾーンは「自然と交わる思索の場」である。 図書館は南北方向に長いほぼ長方形の4階建て。北側のエントランスを入ると、1階に事務室と閉架書庫があり、階段を上がると、2階の全フロア2540平方㍍と3階の北半分560平方㍍が閲覧室となる。3階の南側にラーニング・コモンズ、4階にカフェが設けられる。階段部分は4階まで吹き抜けとなる。 全面フルハイトガラスに囲まれた開放的な閲覧室からはキャンパスが一望できる。開架書棚の間を通路がS字を描くように縫い、くつろいだ雰囲気の中で読書を楽しめる。各階の閲覧室からは屋外テラスに出ることができ、枚方市街をはじめ、淀川、遠く六甲山系を望める。 ラーニング・コモンズは3階の半分余りの630平方㍍を占める。学生が主体的に学んだり、課題解決型授業(PBL)に取り組んだりするための機器を備える。4階のカフェには、数人掛けから1人掛けのテーブルまで種々の席が用意される。お茶を楽しみながら、友人と語り合うグループや読書に集中する学生の姿が見られることだろう。 屋上は、緑に囲まれた屋上テラスが設置され、学生に集いと憩いの場を提供する。第5ゾーンは、どこまでも自然との融和がテーマである。御殿山キャンパス・グローバルタウン 5つのゾーン第5ゾーン自然と交わる思索の場図書館に屋上テラス 淀川、六甲山系望む(最終回)第5ゾーン 谷本榮子理事長、谷本義高大学学長らが1月13日、御殿山キャンパス・グローバルタウンの建設現場を視察し、学生と留学生の居住スペースとなる「Global Commons結―YUI―」の個室の内装状況を確認した=写真。視察には本学役員や担当職員らが同行した。 学生と留学生が学・住・食を共有し、国際交流の新たな拠点となる「GlobalCommons 結―YUI―」は新キャンパス北側で建設が進められており、約700室すべてが個室。この日は、個室の床、壁、天井などが決められた素材通りの仕様になっているかを確認するため、特別につくられた「先行ルーム」に入り、施工担当者から説明を受けた。 個室は広さ約12平方㍍。天井までの高さが2・7㍍と圧迫感がなく、壁は白色系で明るい雰囲気。窓側に机と書棚、中央にベッド、入口付近の壁に取り付けの収納棚があり、ドアはカード式のオートロック。全体として住みやすさに配慮したつくりとなっている。 これに先立ち、現地事務所では、新キャンパス事務室1階の家具のレイアウト、低層教室群「Villa」の内装や家具、正門近くの食堂「Cafe Commons」の家具の配置などについて担当者から説明があり、本学側と意見交換した。 建設現場では、西端に位置する図書館「Learning Commons」が最上階の4 階部分まで構造体が建ち上がり、キャンパス西側部分の外観が現れてきた。今後は東側部分の建設が本格化することになる。 国際言語学部の片岡修教授と英語国際学部の鵜島三壽教授の研究テーマを展示する写真展が1月から2月にかけて、いずれも奈良市の「ナラマチギャラリー2016」、東京・台東区の「HAGISO」で相次いで開催された。写真展は科学研究費補助金に基づく研究の成果公開の一環として企画された。 片岡教授の写真展は「世界遺産ナンマトル――太平洋の巨石文明の痕跡を求めて――」。ミクロネシア連邦のナンマトルは、巨大な玄武岩を用いて構築された大小約100の人工の島からなる古代の巨石文明の遺跡で、2016年7月にユネスコ(国連教育・科学・文科機関)の世界遺産に登録された。 遺跡は島を統一した王朝のもので、紀元1000年頃から石造建築が始まり、その後500年かけて人工島の建設が行われたとみられる。島ごとに墓、儀式の場、王の住居など様々な役割が伝えられてきた。王たちの墓として建設されたナントワス島には、直径50?60㌢の柱状の巨石が6万本以上も使われ、巨岩を4段に積み上げた人工島もあるらしい。これらがどのように運ばれ、積み上げられたのかはわかっていないという。 世界遺産登録に向けては、ミクロネシア政府の支援要請を受け、片岡教授ら日本チームによる現地調査が2011年に始まった。ワークショップや説明会、追加調査の後、審査を経て登録が確定した。この間、片岡教授は「ミクロネシアにおける巨石文化の成立と社会複雑化のプロセスを探る考古学的研究」の代表者として科研費補助金を得て研究に取り組んだ。 片岡教授は、今後の課題として、遺跡・周辺環境の保全と保護や、文化遺産保護などにあたる人材の育成などを挙げている。 鵜島教授の写真展は2005年にユネスコの無形文化遺産に登録された中央ユーラシアの伝統芸能を対象にした「シルクロードの楽器作り」。中国・新疆ウイグル自治区で伝承される伝統芸能「ムカーム」や中央アジアのウズベキスタンで伝承される「シャシュマカーム」の模様を展示した。 これらシルクロードに残る伝統芸能は、各地にあった音楽をもとにイスラムやペルシャ、アラブの影響を受けて完成されたとされる。多様な旋法による旋法音楽で、多彩な音楽、歌、踊りからなり、収穫祭や結婚式などの場で演じられる。特に、使われる楽器が10?20種類と多いのが特徴。 例えば、ウイグルやウズベキスタンの撥弦楽器「ドゥタール」は、ペルシャ語でドゥは「2」、タールは「弦」を表し、「2弦」の意味。全長135㌢の長棹に2本の絹の弦を張り、音量は小さく柔らかな音色で、5本の指でかき鳴らして演奏する。 鵜島教授が代表を務める科研費補助金による研究は「中央ユーラシアにおける探検隊考古資料を活用した無形文化遺産の保存伝承研究」(2013?16年)。欧州や日本の探検隊が発掘するなどした資料から芸能に関するものを調査し、現状との変化などを研究。日本の大谷探検隊が現在の中国新疆ウイグル自治区ホータンで体験した記録から音楽関係の研究も行っている。グローバルタウン居住スペース視察理事長・大学学長片岡教授鵜島教授ナンマトルの巨石文明調査シルクロード伝統芸能追求片岡教授の写真展で展示されたナントワス島の北外周壁憩いの広場から図書館を望む鵜島教授が展示した中国新疆ウイグル自治区の「ハミの踊り」文化遺産の研究成果奈良と東京で写真展5