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概要

外大通信デジタルブック

[7] THE GAIDAI 2017年(平成29年)2月21日 第288号Campus Life 関西外大の最新ニュースはホームページにも掲載しています http://www.kansaigaidai.ac.jp/追い求めても知り尽くせぬマンガの世界│日本学としての「Manga」学がご専門ですが、「Manga」に興味を持たれたきっかけは。具本媛 私は韓国生まれですが、育ちはドイツです。当時のドイツでは日本のマンガはあんまり浸透していなくて、わざわざ探さないと接することもなく、私もそんなに関心はなかったのです。しかし、高校生ぐらいの頃、イギリスで短期語学コースに参加した際に出会ったイタリアの友達を通じて、私が韓国で読んだ『Ranma 1/2』(の海賊版)というマンガが、実は日本のマンガだったと初めて知りました。また、同じコースにいた日本人の友達に『Akira』と『Ghost inthe Shell』のアニメを紹介してもらい、日本でのマンガやアニメ文化の幅広さ、奥深さに衝撃を受けました。その後は意識して日本のアニメやマンガを探すようになり、日本という国にも関心を持つようになりました。結果的にはドイツの大学で日本学を専攻するほどはまりましたね。│日本に留学後、大学院まで進み「Manga」の研究を続けさせたものは何ですか。具 まず、マンガというテーマの面白さが、続けられる原動力でしたね。また、マンガとアニメは日本社会に予想を遥かに超える強さで影響を及ぼしているのに、ここではそれが当たり前すぎてむしろ、認識されていないところも強烈でした。マンガやアニメは歴史的にも現在進行形でも、流通や形などにおける業界の動きや変化が激しく、いくら研究をし続けていても追いつけないのがもう一つの点です。こんなに面白いテーマを、恐らく死ぬまで追いかけても知り尽くせない。考えるだけでワクワクが止まりません。│学部の授業で、日本の学生に求めているものは何ですか。授業で重視しているところは何でしょう。具 もっと個性的に自己主張をしてほしいと思っています。私の授業評価の40%はプレゼンテーションが占めていて、そのうち20%が私の評価、他の20%はクラスの判定です。できるだけ知られてない作品を選び、紹介し、最終的には買わせるのがプレゼンの目的です。実際にプレゼンされた作品を購入した学生がレシートを提出すれば、その作品をプレゼンしたチームのプラス点になります。つまり、プレゼンというより宣伝です。しかし、どうしても形式的なプレゼンになりがちですね。目立ちすぎるのが恥ずかしいとか、プレゼンや授業という認識に縛られるのはよくあることですが、私が求めることはより自由な発想であり、目立ってなんぼ、印象に残してこそ成功したと言えるプレゼンです。クラスの評価はアンケート形式で行われ、最後に自由にコメントすることが可能ですが、コメントの内容だけではなく、コメントの有無によっても点数が変わります。つまり、「悪目立ちして、ひどいプレゼンだった」と書かせても良い点数に繋がったりします。私が重視しているのは情報伝達よりも、他人を動かせる能力です。それでも毎学期、期待通り、または予想をも超えるプレゼンを持ってくるチームが必ず1チーム以上はあります。│授業で、学生の反応、授業態度はどうですか。実習など授業の様子をお聞かせください。具 テーマへの関心度によって授業態度も異なりますが、マンガやアニメを中心に社会、表現、言語、メディア、歴史、経済など様々なことを考える授業なので、マンガやアニメに関心がなくても、それを手掛かりに他のことを調べ出す学生がいたりします。例えばマンガで使われる日本語をめぐる授業の後に、「小説や映画などで使われる日本語についても考え始める」「原文が英語の本の日本語訳について考えだす」という感じです。完全に迷走する場合もありますが、それでこそ研究なので、とにかく考えるきっかけを与えられればと思っています。 別科の実技の授業は学期末に本を発行するというPBL形式の授業なので、かなりハードな授業になっています。入稿締め切り間近だと夜9時頃、C. I. Eの教室の電源が落とされるまで学生も私も作業し続けることもしばしばです。その代わり、本が出来上がると苦労した分、嬉しいので大変人気のある授業でもあります。│留学生別科では、海外からやってきた留学生にも日本文化としての「Manga」について教えていますが、反応は。具 留学生の中には、最初からマンガやアニメで日本に関心を持った人が多いです。ただし、日本の文化財産としてマンガを取り上げる日本学Bとは違い、ここでは表現スタイルとして教えています。つまり、「外国人である私たちが描いたものもMANGAである」ということです。苦労はしますが、学生たちはよく一番楽しかったと言ってくれます。1回しか取れないのと、人数の制限で履修できなかった学生たちが自主的にマンガサークルを立ち上げ、プロジェクトを開始することもよくあります。その時は日本学Bの学生も参加したりします。今学期も前学期の学生が始めると言っていたので、関心がある日本人の学生さんは連絡くださいね。│2015年のマンガ学会で留学生とマンガのかかわりについて発表されています。どのような内容でしょうか。 グー・ボンウァン 1980年、韓国生まれ。92年、ドイツへ移住。高校卒業後、ボン大学で日本学専攻。2005年、京都精華大学芸術学部ストーリーマンガ学科入学、同大博士前期課程修了、14年博士後期課程満期退学。13年から関西外大非常勤講師として留学生別科MangaDrawing 担当、15年から助教(特任)として日本学Bと留学生別科Manga Drawing 担当。プロフィル研究室からVol. 42イツで日本学専攻ドンガ学会でも発表マンガを通じて様々な繋がりマ学生別科では本の発行も留人を動かせる能力を重視他外国語学部具 本媛 助教グーボンウァン具 私の研究フィールドは「マンガ表現論」です。表現論ではよくマンガ・リテラシーという言葉を使います。すなわちマンガは記号で構成されており、それらを読み解くリテラシーがあるからこそ私たちはマンガが読める、という考え方です。しかし、例の留学生は普段、日本のマンガはおろか、自国の漫画であるアメリカンコミックスも殆ど読まなかったようです。つまり、彼には表現論でいうマンガ・リテラシーがなかった、とも言えるでしょう。その為、彼の作品は吹き出しがあったりなかったりと、独自のルールで作られていました。それでも、彼のマンガはちゃんと読めます。マンガの記号とマンガ・リテラシーとは何かを改めて考えさせてくれる作品でしたね。│先生は今後、マンガとどう向き合っていきますか。具 私は時々、作品も手掛けたりしますが、マンガは業界で関わるのと、研究で関わるのとでは、今のところ全然違います。完全には無理でも、その間を少しでも埋められれば幸いですね。また、私が関わってきた、また関わっていくであろう様々な国や社会を、研究であれ、作品であれ、マンガを通じて繋げていくのも夢の一つです。文化交流こそお互いを理解する最も有効な手段だと感じていますし、その中でもマンガはかなり有効だと信じています。しかし、正直に言うと、どんな形であれマンガと関わることさえできれば幸せなくらい「マンガが好き」です。 大阪府豊中市にある在大阪ロシア連邦総領事館で12月10日、関西地域でロシア語を学ぶ大学生を対象とした「ロシア語の夕べ」が開かれ、本学のロシア語履修生8人(担当=柚木かおり・外国語学部講師)が参加した。5回目の開催となった今回は6校から70人が参加。 今回は「祝祭日」というテーマが与えられ、本学は最近ロシアの若者の間で流行するようになった「アニメパーティー」というサブカルチャーの祭りを選んだ。日本のアニメのロシア語カバーをしているペテルブルクのロシア人歌手の助けも借り、「ワールドトリガー」「東京喰種」の2曲をロシア語で披露し、拍手喝采を浴びた。 また、「祝祭日」を題にしたクイズ大会では、本学履修生の考えた問題が最優秀賞を受賞した。会場からは、歌にせよ、クイズにせよ、本学学生の思い切りのよさと文化への関心の高さは、わずか3か月しか履修していないとは考えられないとの賛辞が寄せられた。 冒頭の挨拶で外交官のショールコヴァ氏が日露首脳会談直前に本会が行われることの意義について触れた。新年のツリーであるヨールカを囲んでのお茶とピロシキつきの交流会ありで、未来を担う若者たちの日露交流となった。(外国語学部講師 柚木かおり)ロシア総領事館「ロシア語の夕べ」参加クイズ大会で最優秀賞ショールコヴァ氏を囲んで記念撮影