ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

外大通信デジタルブック

MALAYSIA29 2011年、「ルック・マレーシア・プログラム」が始まる。マハティール元首相が提唱した「ルック・イースト政策」では、多くのマレーシア人が日本で学び母国の発展に貢献した。今度は、日本の大学生を夏季にマレーシアへ派遣し、研修してもらおうとの試みだ。5年間で50余校の約3000人を送り込んだ。 「東日本大震災で痛手を被った日本に何か恩返しできないかとの思いがあった。一人でも多くの日本の若者が世界に出て、外から日本を見て国の将来像を描く手助けになればと。英国植民地だったマレーシアは英語が通じ、複数の民族・宗教をもつ多様性も学べる。教育はマレーシアの強みです」 こうした取り組みの根底には、コミュニケーション力の重要性を痛感した経験がある。大使館勤務時代、日本に招いたマレーシア人青年と日本の若者とのグループ交流会を催した際、積極的に質問する相手側に対し、日本側からはなかなか意見が出ないことにもどかしさを感じた。 学生時代、英語サークルの顧問をしていた米国人教授の言葉が心に残る。「英語はあくまでもツールに過ぎない。英語でも日本語でも対話することが大切です」 日本が再び活力を取り戻すためには何が必要か。グローバル化の中、日本の若者がアジアに行き、日本を見つめ直す。互いに母語ではない英語を通じて交流を深めれば、多様性など学べるものは多いはずだ。著書には、そんな思いを込めた。 「学生の特権は思い悩むこと。本を読んだり、議論をしたり、それが成長の糧になる。1年ぐらい世界を見てきてもいい。失敗を恐れず、雑草のように打たれ強い学生になってほしい」。とことんアジアを見てきた先輩からのエールである。 同窓会関東支部副支部長を務める。「学生時代、外大には留学も含め、豊富な経験をさせていただいた。その恩返しがしたい」。学生を支援するサテライト・オフィスのようなものを東京に作れないか模索中という。ルック・マレーシアプログラムを推進日本が活力を取り戻すためにマレーシアでの研修について東京都内の大学生に説明する徳永さん(マレーシア政府観光局東京事務所で)「学生の特権は思い悩むこと」アジアに魅せられて40年日本人が学べるもの多いとくなが・まこと/ 1959年大阪府生まれ。85年関西外国語大学外国語学部英米語学科卒、在日マレーシア大使館広報担当書記官補佐に。91年マレーシア観光開発公社(現・マレーシア政府観光局)に移り、マーケティング・オフィサーなどを経て2005年から現職。関西外大同窓会関東支部副支部長。東京都在住。Profile