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概要

外大通信デジタルブック

23――法学部のご出身ですが、会社勤めの傍ら、米国の弁護士資格を取られています。髙山 大学卒業時は弁護士になるつもりはなく、川崎製鉄(現JFEホールディングス)に就職しました。工場勤務を経て、本社の法務部門に在籍していたとき、米デューク大学ロースクールへの留学の機会を与えられました。研修期間も含めて2年間滞在し、ニューヨーク州弁護士試験に合格しました。運良く、米国の法律事務所「ホワイト&ケース」の東京事務所が採用してくれることになり、会社勤務8年にして転職しました。――外国法事務弁護士ですね。どのようなことをするのですか。髙山 外国の弁護士資格をもつ者がその国の法律に関する弁護士活動を日本国内で行うことを認めた制度で、日本弁護士連合会に登録して資格をもらいます。日本では1980年代後半に制度が施行されました。大半が外国人で日本人は少数です。私は97年に登録し、米国で企業買収や共同事業をしようとする日本企業に米国の法律や文化の違いなどについてアドバイスしたり、契約書を作成したりするのが主な仕事でした。2006年に開業した台湾高速鉄道への日本の新幹線技術売り込みに際し、JR東海の代理として、台湾側との交渉にも携わりました。――ニューヨーク事務所にも勤務されていますが、日本と米国の弁護士はどう違うのですか。髙山 法律事務所には16年間在籍しましたが、このうち、約4年間は米国で勤務しました。そもそも米国は、人口比で見ると、弁護士の数が日本より圧倒的に多く、「石を投げれば弁護士に当たる」といってもいいほどです。米国は人種、民族構成が複雑で問題が起こりやすい環境にあります。このため、契約書も綿密に書かなければならず、紛争解決の最終的な手段として法律に頼る傾向があるのです。――さらに転身をされますね。髙山 2001年に法律事務所の共同経営者(パートナー)に昇格しましたが、多忙になり、自分の事務所を立ち上げることにしました。同時に顧客でもあった米系医療機器メーカーの日本ベクトン・ディッキンソンから声がかかり、08年に取締役法務部長として採用されました。自己注射針や真空採血管などで高いシェアをもつ会社です。戦略的な法務アドバイスやコンプライアンスの徹底などを手がけました。――大学教員として、自身の経歴をもとに学生に何を伝えますか。髙山 5年前、父の介護のために出身地の大阪に戻りました。地元の弁護士事務所に所属し、米国商工会議所の担当をしたことが縁で関西外大と関係ができ、教員に迎えられました。日本は終身雇用で一つの会社に勤めて出世を目指すといった考え方が一般的ですが、自分のレールを固定しないで、いろいろなチャンスをつかむ生き方もあるということを伝えたい。チャンスをつかむには、日頃からアンテナを張り、努力することも必要です。また、法律についていえば、先進国は法の支配で成り立っているわけで、日常生活はあらゆる面で法律に関係しています。法学部ではなくても、法律を学ぶ意義があるということを訴えていきたいと思います。留学中にニューヨーク州弁護士試験合格レールを固定せず、チャンスをつかむ生き方もある2009年、ベクトン・ディッキンソン本社(ニュージャージー州)で行われたグローバル法務部門会議で第53回大阪杖道大会で