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概要

外大通信デジタルブック

27――日本に興味を持たれたきっかけは何ですか。 大学時代、ビジネスを専攻していました。当時、ビジネスと言えば日本。今でいう、日本と言えばアニメ、マンガのような感じでしょうか。日本のビジネスは進んでおり、多くの研究者がリサーチしていました。ビジネス専攻だったこともあり、日本を見てみたいと思い、在学中に2カ月間の短期留学をしました。大学卒業後は大学院に進み「国際ビジネス」「日本の経済」を専攻。その後、ロータリの奨学金制度を利用し、約2年間、再び日本へ留学もしました。日本と関わる仕事がしたい気持ちが強く、アメリカに帰国後、安田火災海上保険(当時)ニューヨーク支社へ入社し、人事部で採用や研修を担当していました。――ビジネス界から教育界へ転身されました。 世界のビジネスの中心地、ニューヨークで働く中で「他に何かやってみたい。自分が本当にやりたいことは何だろう」と考えはじめるようになりました。教育界へ転身するきっかけになったのは、妹の卒業式。ステージに座っている教授たちを見て、「私がしたいのは、これだ!」と感じ、再び大学院へ進学。日本の言語や歴史はもちろんのこと、日本社会について学びました。その後、母校のプリンシピア大学の教授になり、ビジネス、日本史を担当。フィールドトリップで日本へ学生を連れてきたこともあります。――ご専門は日本史のどの分野ですか。 日本史の中でも現代史が専門です。授業では、明治時代からの日本の転換期について教えています。歴史を学ぶことは、視野を広げることに繋がります。歴史を学ぶ時、何が起こったか、ではなく、なぜ(Why)、どのように(How)起こったかを学ぶことが大切です。例えば、今日も残るヒエラルキーやロイヤリティの制度。これらの考え方は、奈良時代に中国から来た孔子の思想に基づいています。つまり、現代と歴史は繋がっており、ヒエラルキーの制度においても、なぜ、どのようにして出来たのかといった見方で見ると、自分たちの日常生活にとけこんでいる文化が紐解かれてきます。――ビジネスもご専門とのことですが日本人が国際的な舞台で活躍する上で何が大切でしょうか。 日本の教育は、「覚える」ことが中心になっているような気がします。しかし、グローバルな環境では、「クリティカルシンキング」つまり物事を色んな角度からみて、分析するスキルが必要になります。また、意見を求められる機会も増えるでしょう。例えば、日本で「あなたは、どう思う?」と聞くと、周りを見回す人が多くいます。しかし、グローバルな環境で活躍しようと思うと「私は、こう思います」と自分の意見を発言することが大切です。そのためには、日頃からニュースを見たりして、世の中の出来事に関心を持つことから始めると良いと思います。 「関西外大グローバル人材育成プログラム」では、外大生と留学生が混じったクラスを担当しています。外大生の中には、大学までの教育の習慣で受動的学習者が多くいます。しかし、海外留学を視野に入れると、能動的に学ぶ姿勢を身に付ける必要があります。授業で「どう思う?」「その通り!いいね」と少し後押しするだけで、学期が終わる頃には、能動的に学ぶ姿勢が身に付き、自信を持つようになっています。――外大生へメッセージをお願いします。 「Life is a journey」人生は旅のようなものです。大学の4年間は、自分に向き合う大切な期間。自分は「何が好きなのか」「何が大切なのか」「社会に貢献するために何ができるのか」考えてください。身近なことで言えば、「どんな友だちを作りたい?」「将来はどんな人と結婚したい?」大学の4年間は、その答えを見つけるのに大切な期間です。是非、自分にとって何が大切かをみつけてください。アメリカ出身。アメリカ・プリンシピア大学卒業(経営学・政治学)、タフツ大修士(法律外交)、ワシントン大修士(東アジア学)。安田火災海上保険(のちに損保ジャパン日本興亜)のニューヨーク支社で6年間勤務。その後、母校のプリンシピア大学で20年、ビジネスと日本史を担当。2016年から関西外国語大学外国語学部教授。経営管理、マーケティング、日本史などの授業を担当。Profileフィールドトリップで日本を訪れたとき