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概要

外大通信デジタルブック

19 | THE GAIDAI No. 298 Summer, 2019MDRTに仲間入り「待ち」の姿勢と「足で稼ぐ」営業スタイルプレゼンテーションの授業が今に役立つ仕事が楽しい 凄腕の営業マンと聞くと、口が達者で、押しが強くて、パワフルで…というイメージがあるが、住友生命保険の営業職として働く国田真理子さんは口数が少なく、控えめで、柔らかな雰囲気の女性だ。そんな国田さんが、高い業績を上げた生命保険・金融サービスのプロフェッショナルのみが加入できる国際的な組織「Million Dollar Round Table(MDRT)」に、入社わずか5年目で仲間入りするほどの凄腕セールスウーマンというから恐れ入る。住友生命に在籍する約3万人の営業職員のうち、MDRT加入者は国田さんを含めて33人。社内で毎年表彰される「成績優秀者100人」にも3年連続で選ばれている。 社内でも抜群の成績を誇る国田さんに、その秘訣を聞くと、「(顧客に)聞かれたことにすぐ答えられるようにする、きちんとメモを取ってすぐに対応する…、でしょうか」と答える。国田さんは弁舌家ではない。それどころか、自他ともに認める口下手だという。国田さんが所属する東大阪支社れいめい緑橋支部の支部長は「こちらから積極的な売り込みをかけるのではなく、相手から相談を持ちかけられるのを『待つ』営業スタイルのようです」と話す。国田さんの場合、その「待ち」の姿勢が功を奏しているのは明らかだ。 むろん、それだけではない。精力的に企業訪問する。1日で20?30社を訪ねる日もあるという。「時間を無駄にしたくないから」と2台の自転車を別々の駅に置いて効率的に移動する。「足で稼ぐ」地道さ、真面目さも好ましい。朝から寸暇を惜しんで企業を回り、オフィスの端末が落ちるまでに帰社して猛スピードで入力処理するというのが日課だ。 国田さんは2010年に本学を卒業後、銀行勤務を経て、住友生命に転職。昔から人見知りで消極的な性格だったというが、保険商品のセールスという職種に不思議と不安を覚えることはなかった。「プレッシャーより、1日の目標を定めてそれをこなしていくことの充実感が勝りました」と話す。 国田さんは本学のプレゼンテーションの授業を振り返る。「私は本当に口下手で人前で話すのが苦手だったので、とても緊張して大変でした。それは今の仕事に役立っています。もちろん、今でも決して得意というわけではありませんが…(笑)」と感謝の気持ちを表した。 MDRT入りは、世界が認める生保のスペシャリストかつ業績優秀者という名誉な称号だが、本人は特に意識していないという。周囲から「すごいね」と声をかけられることも多いが、「私にとっては毎日の目標をクリアしていくことが第一で、MDRTが目標ではありません」と淡々としている。現在、メディアからの取材依頼だけでなく他業種からの講演依頼まで舞い込んでいるが、「その時間があれば、1社でも多く回りたい」と仕事優先、顧客優先の姿勢を崩さない。 「仕事が楽しい」と笑顔を見せる。顧客からの「頼りにしているよ」「辞めんといてな」という言葉を受け、必要とされていると感じる瞬間が何よりうれしいと話す。国田さんの真摯さや誠実さは、仕事への姿勢から十分うかがえる。 「自分の決めたことはやり遂げる」「自分に限界を決めない」ということをモットーとしている。「一度崩してしまうと、楽な方に流されてしまうかもしれないから」と自身を律する。また、他人に「無理」と言われると挑戦したくなる性分でもあるという。そんな、負けず嫌いの一面も垣間見せた国田さん。それは他人との戦いではなく、自分との戦いであることは言うまでもない。猛スピードで端末を入力支部長の言葉に熱心に耳を傾けるMDRTのプレートとバッジ全国税理士共栄会の表彰旅行でイギリス・ロンドンへ(2017年4月)自分に限界を置かない、目標をやり遂げる強さ【MDRTとは】世界中の生命保険と金融サービス専門家6万6000人以上が所属する独立したグローバルな組織で、一定水準以上の業績を納めている人のみが加入できる。入会基準は毎年変動(2019年度は、保険手数料ベースで約1100万円など)する。現在、国内には約23万人の生保業界の営業資格者がいるが、MDRT加入者は約6300人。