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概要

外大通信デジタルブック

外国語学部 山﨑 のぞみ 准教授「だまし絵」の教え万代池は、大阪市住吉区にある池。周辺は万代池公園として整備されている。本学は1953 年、近くに関西外国語短期大学を開設。草創の地として受け継がれている。やまさき・のぞみ/1997年京都大学文学部文学科英語学英文学専攻卒業。英ウォーリック大学大学院英語教育センターで修士、京都大学大学院文学研究科文献文化学専攻英語学英米文学専修博士課程を修了。文学博士(京都大学)。関西外国語大学外国語学部講師、助教授をへて2007年准教授。専門は英語学、英語教育学。「Introduction to Academic English」「Introduction to Humanities」などを担当。Profile 一枚の絵が二通りの図像に見える「だまし絵」を知っていますか。私はその類が苦手です。有名な「ルビンの壷」は、見方によって壷にも見えるし、向き合った人の顔にも見えますが、いったん壷に見えたら最後、なかなか人の顔が浮かび上がってきません。これは図と地の反転を利用したものですが、「見方を変える」「視点を変える」というのは、案外、難しいものです。 人間は、一つの見方をするとそれに固執してしまうものなのでしょうか。視野が狭くなると、思い込みや先入観に支配されるだけでなく、存在するものまで見逃してしまうかもしれません。ヘレン・ケラーも「私たちは閉じられた扉ばかりに目を奪われ、幸せの扉がもう一つ開いているのに気付かない」と言っています。 異文化に触れると、馴染みの物事に異なった方向から光が当てられるのを経験します。昔イギリスに留学した時、「日本人はあいづちが多い」と指摘されたことがありました。過剰なあいづちは「話の邪魔をしている」「適当に聞いている」と思われることがある、と。一方、当時の私はイギリス人があまりあいづちを返してこないことに不安や違和感を覚えていましたが、それは逆に「話の邪魔をせずに、真剣に聞いている」と解釈されるのです。 物事を違った角度から眺められる力は、生きていく上で大きな武器になるでしょう。勉強や進路、人間関係に悩んだ時や困難にぶつかった時、一呼吸置いて意識的に違った見方をしてみると、思わぬ活路を見出せるかもしれません。学生の皆さんが大学での学びを通して、社会や人間について様々な視点を獲得していくことを期待しています。万 代池The G a idai 関西外大通信 No.299 Autumn, 2019 2019年11月29日発行 発行:関西外国語大学 〒573-1001 大阪府枚方市中宮東之町16-1 http://www.kansaigaidai.ac.jp/