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概要

外大通信デジタルブック

英語国際学部 安田 真穂 准教授「人間力」を鍛える時万代池は、大阪市住吉区にある池。周辺は万代池公園として整備されている。本学は1953 年、近くに関西外国語短期大学を開設。草創の地として受け継がれている。やすだ・まほ/大阪教育大学教養学科文化研究専攻(日本・アジア言語文化コース)卒業。大阪市立大学大学院文学研究科(中国語・中国文学専攻)前期博士課程修了。同(中国文学専攻)後期博士課程を単位取得満了。関西外国語大学国際言語学部講師、准教授を経て、2014年4月より英語国際学部准教授。専門は中国古典文学・日中比較文学。著書に『中国古典テクストとの対話』(研文出版、2015)、『『夷堅志』訳注 乙志下』(汲古書院、2018)など。万 代池 授業はライブだ、と常々思っている。クラス毎、一人一人の反応によって、授業で使う例文や内容を変えているからである。中国語を話せるようになる為には、中国語の発音に慣れることと、中国に興味を持つことが不可欠であるが、特に中国への興味は、人によってそのツボが何処にあるのか分からない。だから、やみくもに押してみる。中国語の文法以外の色んな話をすると、学生の反応は正直で、話によって様々な表情の変化が見られる。 たまには、私の専門研究分野の話も混ぜてみる。例えば、日本と中国は古くから交流があり、日本の言葉や風習、文化には中国文化に根付いたものがたくさんあること。「干支」とは十干と十二支を組み合わせた言葉で、古代中国に起源があって日時や時間、方角なども表せること。更に派生して、安倍晴明の陰陽五行思想の話や、鬼の話、桃太郎はなぜイヌ・サル・キジを連れて行ったのか…なんていう話をしていると、「先生すごい!」「面白い!」と興味を持ってくれる学生がいる。学生の反応が良いと、こちら側もワクワクしてくる。 以前、私が初級中国語を4クラス分担当していることを知った学生から「先生、同じ授業を4回もやって厭きへん?」と聞かれたことがある。とんでもない。毎回真剣勝負だ。教える文法は同じでも、相手が違うと全く違う授業になる。飛んでくる質問も違えば、個人の興味の先も違う。それでも学生が楽しそうに盛り上がった瞬間に、ライブの楽しさを感じる。 現在、新型コロナウイルスの感染拡大という状況下で、対面授業ができない。学生の顔や反応を見ながら授業が出来ないのは、非常に残念である。ただ、学問も大切だが、今は人を思いやる気持ちと想像力、情報分析力、思考力をフルに使って、今なすべき行動を考える「人間力」を鍛える時かもしれない。この事態が一刻も早く終息し、安寧な日々が戻ることを心から願っている。The G a idai 関西外大通信 No.301 Spring, 2020 2020年5月22日発行 発行:関西外国語大学 〒573-1001 大阪府枚方市中宮東之町16-1 http://www.kansaigaidai.ac.jp/