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概要

外大通信デジタルブック

「ヘリを使った企画をどんどん提案していきます」と意欲を示します航空会社から得た信頼は宝物ですファーストクラスでフランスへ飛んでいたころです23 | THE GAIDAI No. 303 Autumn, 2020始めた。仮想通貨などのサイトを作って広告収入を稼ぐのだが、これが当たった。 副業できる時間帯は午後11時から翌朝5時半まで。「寝るより稼ぐ方が楽しかった」と言う。年収1億円を達成した。 「フランス行きたいなと思い立ったら、JALのファーストクラスの往復航空券を買って次の日に出掛けました」 「自転車で御堂筋を走っていたら、テスラ(米・自動車メーカー)の前を通りかかり、その場で買いました。2000万円で」 フェイスブックやインスタグラムに華やかな生活をアップし続けた。ところがある日、急に虚しさに襲われた。 「行きたいところにいつでも行ける。欲しいものは何でも買える。そんなことの何が面白いんやろって。幸せの定義が分からんようになってしもたんです」 場合によっては稼ぐのと同じぐらいだまされることがあった。「儲かるよ」が日常語となり、その言葉に人が寄ってきた。 「信頼できる仲間がまったくいないことにハッとさせられました。幸せの定義は〝自分が信頼されていること?〝信頼できる相手がいること?じゃないかって」 そして、自分が本当にやりたいのは、ただお金を稼ぐことではなく、事業を興すことだったと改めて気付かされた。 新たに目を付けたのが「映像」だった。これからは映像の時代。動画のニーズはますます高くなると、2019年10月、PR映像制作会社「アリラ」を設立した。 最初は全く発注がなかった。いくら高いクオリティーを打ち出しても、最後は価格競争で敗れた。「他の業者にない付加価値を付けなければジリ貧になる」と模索する中で出会ったのがヘリコプターだった。 PR映像の仕事とは別に、ヘリの遊覧客の誘致を依頼され、毎月50人程度を集めていた。客は乗りたいだけではなかった。乗っている映像をSNSで見てもらいたいという人が多いことが分かってきた。 「ヘリを付加価値にしたら、企業もユーチューバーも飛びついてくるに違いない」とカメラマン付きの飛行を思い付いた。 しかし、刺激のある映像を撮ろうとすると、少ながらずリスクが伴う。「ドアなしで撮影したい」「足を空中に投げ出して撮りたい」という要望は普通なら通らない。 「安全な撮影方法を細かい点まで詰めて航空会社の信頼を得ました。アリラに頼めばこんな映像が撮れるというのが売りになります」と話す。 そして「映像で世界を変えられます。ヘリを使って、世界に打って出る準備をしています」と現状に決して満足していない。 ビジネスの基盤になっているのは、外大での4年間の「学び」だ。 授業を受けるときは、最前列の真ん中が指定席だった。「語学だけでなく、マーケティングとか経済とか法律とか、さまざまな授業を受けて得た知識や考える力が、今に生きています」と力を込めて語る。 「大切なものは何か」との問いに対して、「あきらめないでやり抜く力」と迷いなく答えた。 目指すものははっきりしている。 「ここまで来たらやらなあかんやろという信念を持ち続けることです」基盤は外大での学び幸せの定義が分からない?映像で世界は変えられるヘリとクルーザーを組み合わせた映像にも挑戦しています