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概要

外大通信デジタルブック

7 | THE GAIDAI No. 303 Autumn, 2020考古学資料が充実している大学博物館を見学しました週末は米国人家庭を訪れて交流を深めました午前中はほぼ毎日、語学研修で英語を学びました「月探査」の講義に続き、大学の化学実験室を訪ねました海外雄飛への大きな一歩期大学第1回姉妹校訪問アーカンソー大学夏期セミナー」には、在学生23人と教員5人の計28人が参加しました。前年の68年8月にはアーカンソー大の教授と学生計19人が来日し、外大で講義を受け、日本の文化や芸術を体験しており、2年がかりの相互交流となりました。月面着陸成功もテーマに 引率した村田重俊教授が詳細な記録を残しています。 飛行機の故障で出発が7時間遅れる幸先の悪いスタートになりました。2回の乗り継ぎを経て36時間かけて現地に到着しました。 アーカンソー大では、寮で寝泊まりしながら、19日間にわたり語学研修と特別講義を受けました。毎朝午前8時半から夕方まで、びっしりと詰まったカリキュラムをこなしていきました。 午前中はほぼ毎日、SpokenEnglishで「テキストを使って会話、文法、風物などを教えてくださった。大そう有用であったと思う」(村田教授)。米国のキャンパスでの語学学習に臨んだ学生たちは、さぞかし緊張し、強烈な刺激を受けたことでしょう。 英語で行われた特別講義は、社会科学、人文科学、芸術と多岐にわたりました。ちょうど2週間前に、アポロ11号が人類初の月面着陸に成功していたことから、「月探査」をテーマにした講義が組まれているのが目を引きます。講義はすべて録音 教員は当時とても高価だったテープレコーダーを持参し、ほとんどすべての講義を録音しました。テープは帰国後、だれでも聞くことができるようにLL教室に備えられ、学生に人気の教材となりました。 学外への見学も魅力にあふれていました。原子力研究の最先端施設としてアーカンソーに完成したばかりの実験用高速増殖炉を見学し、大規模牧場を訪れて米国式の経営手法にも触れました。時代に合わせた現場研修が存分に織り込まれました。 地元のテレビ局が取材に訪れ、ニュースとして放映されるなど、現地でも関心が高かったようです。海外渡航者は現在の2% 当時は1ドルが360円。海外旅行に際しての外貨の持ち出しは1人700ドルに制限されていました。 1969年の海外渡航者は49万2880人で、2019年(2008万人)の2%強に過ぎず、多くの日本人にとって海外はまだまだ遠い夢の世界でした。 当時の大学生にとって海外渡航がいかに貴重な体験だったかがわかるとともに、69年の外大生の米国派遣がどれだけ大きな第一歩であったかが分かります。