関西外大の海外協定校であるテネシー大学ノックスビル校(UTK)が主催するオンライン文化コミュニケーションプログラム「Friends Across the Sea」が開催されました。
期間は春休みを利用した1月31日~3月11日で、本学の学生7名を含む、神戸大学、学習院大学の全21名の日本人学生に加え、テネシー大学の現地学生21名が参加。
プログラムは、Gather.Town(ギャザータウン)というオンラインビデオ通話スペースを利用して行われました。
オンライン文化コミュニケーションプログラム「Friends Across the Sea」

イベントの概要はこちら。
- 主催:テネシー大学ノックスビル校 University of Tennessee at Knoxville(UTK)
- 参加校:関西外国語大学、神戸大学、学習院大学(各大学7名が参加)+UTKの学生(21名)
- 期間:1月31日~3月11日
- プログラムを通じて国際交流を深め、語学力やプレゼンテーションなどのスキルを磨く
期間中の月~金 9:00~9:50、10:00~10:50(日本時間)の2コマで、
1限目に全体での英語運用能力向上のための授業が行われ、2限目は参加学生が2つのグループに分かれ、プレゼンテーションに向けてのグループワークに取り組みました。

申主任
プレゼンはUTKの学生と日本人学生がペアとなり、テーマを決めてプログラム最終日に発表を行うという流れで進められました。
Gather.Town(ギャザータウン)を活用したオンライン国際交流

関西外大では、IEP(Intercultural Engagement Program)をはじめ、これまでに数多くのオンライン国際交流に取り組んできました。
今回、テネシー大学が主催した「Friends Across the Sea」では、Gather.Townというオンラインビデオ通話スペースを活用したことが特徴のひとつになっています。
(※オープニングセレモニーほか、一部特別プログラムはZOOMで開催)
と説明されてもイマイチわかりにくいかもしれませんが、上の画面のようにロールプレイングゲーム風の画面上に表れるアバターを動かし、
- バーチャル上の同じ空間にいる人
- 近くにいる人
とビデオ通話やチャットができる仕組みになっています(通話可能な相手は、画面上に顔が出てきます)。

上の画像の場合、教室を模した空間に全員が集まっているので、スピーカーが話す言葉を全参加者が聞くことが可能です。
一方、下の画面は、右下のワイプのユーザーのPC画面で、アバターは赤丸で囲んだ5番の部屋に入っています。
同じ部屋に自分以外の3つのアバターが入室しており、そのユーザー3人が画面・上のワイプに出てきて、彼らと通話ができるというわけです。

申主任
部屋の出入りは自由で、リアル空間と同じように、特定の空間や近くにいる人とオンラインで会話することが可能です。
UTK教職員らによる特別イベントも

2コマ目は主に学生同士の対話の時間として設定されていましたが、週に1回「特別イベント」としてさまざまなプログラムが開講されました。
例えば、
- テネシー州についての紹介
- Super Bowl(スーパーボウル)観賞パーティー
- UTK職員(日本人)によるアメリカでの働き方について
といったプログラムで、楽しみながら現地の文化や習慣、キャリアのことなどについて学ぶことができる内容となっていました。
参加者の声

参加者の声として、芝田美梨さんのインタビューをお届けします。
日本の東西/アメリカの南北の文化やマナーの違いについて発表

今回のプログラムのメインとなる取り組みである日本人学生とUTKの学生ペアによるプレゼンテーション。
芝田さんは、最初のレクリエーション時に近くにいてお話をしたことがあったBrentさんとパートナーを組み、毎週2回、1対1で授業中に発表する内容についてミーティングを行いました。

当初は「食べ物」をテーマにしようと考えており、そのなかで「アメリカと日本の食事マナー」の違いについて取り組もうかという話になりました。

申主任
最終的には、アメリカの南北、日本の東西の文化(マナー)の違いについてというテーマで発表されましたよね。

食事のマナーの話題になったときに、パートナーのBrent君が「アメリカは北と南でマナーが違うんだよ」と話てくれて、そういえば日本も東西で文化の違いがあるなということを思い出し、そんな話をしているなかで、東西・南北の文化比較というテーマに取り組むことになりました。
当初は各々が自国ではない国のことを調べる案もあったが、時間的な制約などもあり、それぞれが自国の東西/南北の文化比較を行うことに。
例えば、東西のパーソナリティの特徴、生活上のルールなどについて発表。

関西の人はフレンドリーで、関東の人は物静か。
関西の人は安い値段で商品を買えたときに自慢するが、関東の人は高価(高品質)なものを買ったときに自慢する。

パーソナリティの特徴については、すべての人がそうではないと前置きしたうえで、例えば関西人がフレンドリーという話題の際に「コンビニで知らないおばちゃんに声をかけられた」など、具体的なエピソードを交えてプレゼンしました。
テネシー大学のパートナー学生の感想

一方、アメリカの南北のマナーの違いについて発表したBrentさん。
「時間厳守」をはじめ、北部に比べ南部の人は日常のやり取りにおける礼儀正しさが特に強調されると紹介しました。
Brentさんに、今回芝田さんと協働で取り組んだプレゼンテーションの感想を聞いてみると。
発表の中身について
日本の東西の違いを知り、大変興味深かった。また、アメリカ以上に日本には不文律(暗黙のルール)があることを知り、自分が訪日した際は、それらのルールを破らないように気をつけたいと思います。
パートナーへのメッセージ
ミリはいつも笑顔で、プログラムの雰囲気を楽しくしてくれました。彼女との対話はいつも楽しく、すばらしい時間になっていました。
日本人学生全体の印象
ミリ以外の日本人学生もみなさん親切で、楽しく会話してくれました。また、コミュニケーションを通じ、同じ大学生として、国は違えども似たような苦労があることを知り、それを共有できたのもよかったです。

私自身も、海外の学生と1対1でやりとりをする貴重な体験となり、楽しい時間を過ごすなかで英語力も高めることができました!
ギャザータウンを使ってみた感想

関西外大ではこれまでIEPをはじめ数多くのオンライン国際交流プログラムを実践してきましたが、ギャザータウンを活用したものは今回が初めての試み。
参加者の一人として、芝田さんにギャザータウンを実際に使ってみた感想をうかがいました。

人間(アバター)を自由に移動させられるのが面白く、リアルな教室にいるのと同じような感覚で授業を受け、友だちなどともコミュニケーションを取ることができました。
例えば、最初は大きな教室に集まり全体での講義があったあと、先生から「教室を出て、1~6番の好きな部屋に入ってください」と指示があれば、各学生が自分のアイコンを動かして移動。
特定の人たちだけでのミーティングや会話を行うことができ、必要に応じて部屋を出たり入ったりもできるので、「〇〇さんの話を聞きたい」と思ったら移動して、その場で直接話をうかがいにいくといったこともできます。
あとは、学生が1対1で話し合いをしている際に、担当の先生が各部屋を訪問し、対話を聞くなかでアドバイスを送るということも。

実際に、プレゼンのテーマ決めをしている際に先生が部屋に入ってきて、日本とアメリカの東西/南北のマナーの違いに興味を示してくださり、その案を採用するといったこともありました。
また、アバターの髪型や服装などを自由に選ぶことができ、その特徴が、特に最初の頃は話題のきっかけにもなるようです。

女の子だけどアバターがスキンヘッドの子がいたり、そういったことも面白く感じました。
ギャザータウンは今回初めて利用しましたが、空間があることでより現実に近い感じで人同士がやりとりができるのが快適で、楽しかったです。

申主任
関西外大では、ギャザータウンに本学独自のスペース(空間)の作成を検討しているほか、同サービスを活用したイベントも今後手がけていく予定です。
他大学の日本人学生の存在もいい刺激に

他の学生ペアのプレゼンテーションでは、
- 食事(朝・昼・晩ごはん)
- スウィーツ
- 小学校での過ごし方
- 人気のアニメゲーム
といったテーマなどが取り上げられ、それぞれのテーマにおける日米による違いについての発表が行われました。

内容はもちろん、プレゼン資料などもそれぞれ個性的で、勉強になりました。
また、他大学の日本人学生の英語が本当に流暢で、いい刺激になりましたし、UTKの先生・学生を含め、みなさんとのコミュニケーションを通じて、英語力をさらに高めることができました。
それ以外では、特別イベントのなかのUTKで働く日本人教員の話が印象に残ったそうです。
その先生いわく、
いまやりたいことがあれば全力で取り組み、一方で、その夢や目標が途中で変わってもぜんぜん問題はない
次にやりたいことが見つかれば、それに向かって取り組めば大丈夫
アメリカはそうしたことに対して柔軟で、転職がしやすい環境が整えられている
といった内容のお話をされました。

海外で働きたいといった志向は特に持っていませんでしたが、お話をうかがって、そういった道もあるんだなと選択肢が広がり、キャリアを考えるうえで参考になりました。
さいごに
コロナ禍となって以降、関西外大ではオンライン国際交流を推進し、これまでに数多くのプログラムを開講してきました。
一方で、海外協定校によるプログラムへの参加やコラボレーションにも取り組み、今回もその一環としてテネシー大学ノックスビル校が主催する「Friends Across the Sea」に学生たちが参加しました。

申主任
ギャザータウンという新しいツールを用いた取り組みに、私たち職員も今後のプログラム作成につながるいい刺激を受けました。
今後も海外協定校とのオンラインプログラムの参加を活性化されるとともに、本学主催のプログラムも拡充させていきます。ご期待ください!