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夢がなかなか見つからなくて立ち止まっているあなたへ。自分らしく生きるためのヒント。

夢がなかなか見つからなくて立ち止まっているあなたへ。自分らしく生きるためのヒント。

何でも挑戦してみる
自らチャンスを作り出す
多様な価値観と向き合う

高校生のみなさん、こんにちは。Take Action!編集部です。「大学でやりたいこと」「将来の夢」はもう見つかりましたか?さて、関西外大には、自分らしく成長していく力を身に付けるための授業がいくつかあります。その中のひとつ「Management and Leadership」の担当であり、さまざまな企業の経営に携わった経験を持つイクバル・アリフ教授に、自分らしく生きるためのヒントを聞きました。みなさんの進路選びの参考になるとうれしいです。

迷ったっていい。人生はまっすぐじゃないから。

はじめまして、アリフ・イクバルです。みなさんに自分らしく生きる方法をお伝えする前に、少し私のことを話しましょう。私の母国はパキスタン。子どもの頃から飛行機が好きで、17歳のときに航空機のメンテナンスを学ぶためにアメリカの大学へ進みました。しかし、いろいろ考えた末に卒業後は自動車メーカーのフォード・モーターに就職。エンジニアの道を歩みました。

フォードには9年間在籍していましたが、その間に、当時フォードが筆頭株主を務めていたマツダの経営状況が悪化し、立て直しチームのメンバーとして広島へ滞在したこともあります。この経験がきっかけで、企業の運用や事業戦略に興味を持ち、働きながら大学院へ通いMBA(経営学修士)を修得。その後フォードを退職し、化粧品メーカー、医療機器メーカー、広告会社などで経営に携わり、ベネッセコーポレーションではCFO(最高財務責任者)を務めました。そして50歳を過ぎ、これまでの人生を振り返ったときに「人の成長を支援することが一番好きだった」ということに気付いて教育の道へ。縁あって関西外大の教授になり、今に至ります。

17歳で航空会社のエンジニアを夢見てアメリカに渡ったパキスタンの青年が、日本の大学で教授をしているとは、人生は不思議ですよね。私がまず、みなさんに言いたいことは「人生は真っ直ぐではない」ということです。だから、いきなり完璧な地図を描く必要はありません。大切なことは、迷いながらでも、進んでみること。そしていろいろな経験の中で、やりたいことを決めていけばいいのです。

自分の人生を生きるために、身に付けてほしい3つの力。

さて、ここからは自分らしく生きるために大切なことについてお話しします。私が担当している授業の1つに「 Management and Leadership」という科目があります。自分の人生をコントロールして、希望するキャリアを築くための学びです。その授業のなかで、私が大切にしているテーマが3つあります。

1つ目は「セルフ・アウェアネス(自己認識力)」。

“自分は何者なのか”“どんな価値観を大切にしているのか”をきちんと理解する力です。人はつい、自分がどうありたいかよりも、他人からどう思われるかという視点で物事を判断しがちです。あなたも、「みんなが良いというから」「“こっちのほうが○○さんらしいよ”と言われたから」という理由で大切なことを判断していませんか。そうではなく、自分がどうありたいかという判断軸をつくるのです。

2つ目は「セルフ・デザイン」。

自分の人生を設計する力ですね。将来どうありたいのか。そのプランは複数あっても良いと思います。しかし、その将来を実現するために、大切なポイントを見極める必要はあります。何が重要で、何が重要でないか。重要なことを増やしていき、そうでないものは減らしていくことを習慣化していくことで、自分の理想とする人生を設計するのです。

そして3つ目が「セルフ・リーダーシップ」。

自分の目標や成長のために、主体的に行動する力です。私の経験上、日本人はリーダーシップを取ることに対して逃げ腰になる人が多いように思います。しかし、人生で必ずリーダーシップをとらなければならない時がやって来ます。将来働いて大きな仕事を任されたとき、親になったとき、あるいは、自分の親を介護するときも、あなたがリーダーにならなければなりません。そのときに自然にリーダーシップがとれるように、習慣をつくるきっかけを提供したいと考えています。

自分をよく知る。自分の人生を設計する。そして自ら実行する。この3つの力が備わることで、自分らしい人生を歩むことができるのです。

自分らしく生きるヒント①:自分をなるべくオープンにしよう。

いきなり自分の人生を切り拓く力が身に付けることは難しいでしょう。だから毎日訓練をするのです。これからみなさんに、今日から始められることをいくつか紹介します。できることから少しずつチャレンジしてみてください。

まずはオープンマインドを持つこと。自分をオープンにすることは、自分のことを知る上でも、相手に知ってもらう上でもとても有効です。まずは気の許せる友人に「私はこう思っている」「こんな悩みを抱えている」ということを話し、意見をもらうことから始めてみませんか。

私の授業では、最初は「恥ずかしくて無理」と言っていた学生が、講義の最後には人前で堂々とプレゼンをするまでになっていることがよくあります。また、いじめられた過去や親の問題、心の問題など、いろいろな経験を打ち明けた学生もたくさんいました。

自分をオープンにするには、共有するための安全な場所も必要です。関西外大の学生がオープンマインドを持っているのは、お互いの価値観の違いを認め合いながらディスカッションする機会がたくさんあるからかもしれません。

自分らしく生きるヒント②:So What?(だから何?)の精神でいこう。

2つ目は、過去の不安を断ち切ること。多くの人が、過去にとらわれて生きてしまっています。「あのとき、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」「また同じ失敗をしたらどうしよう」そうした妄想で不安になり、なかなか次の一歩が踏み出せないという経験はありませんか。そんなときは心の中でこの言葉を唱えましょう。 “So What?(だから何?)”

言ってみれば、開き直るということですね。

失敗は怖いかもしれません。でも、たいていの失敗は取り戻せる。今悩んでいることも、よくよく考えてみれば大したことではなかったりします。自分がやってみたいと思ったら、“So What?”の精神で試しにやってみる。うまくいかなければやめたらいいし、別のやり方を考えて、また挑戦してみたらいい。そうやって得た経験や知識は、すべてあなたの人生の糧になります。

自分らしく生きるヒント③:自分の取締役員を持とう。

大きな企業では、会社の重要な方針などを決めるときに取締役会という会議が開かれ、複数の人の意見によって、会社の進む方向を決めます。その優れた仕組みは、人生にも有効です。私は学生によく、「パーソナル・ボード・オブ・ディレクター(自分の取締役員)」を持つことを薦めています。ただし、“自分の取締役会”に、家族や友人を入れてはいけません。単に居心地のいい集まりになってしまっては意味がないからです。家族や友人以外に、自分の未来についてアドバイスをくれる人を探すのです。例えば、関西外大では客室乗務員や接客業を希望する人が多いのですが、その業界で働いている先輩に連絡をとってみる。その人は今どういう人生を過ごしているのか。どうすればその人みたいになれるのか。いろいろな話を聞くことで、新しい気付きが得られるはずです。

毎日の出来事や気付きを日記に付けよう。それが人生の地図になります。

そして最後に。行動して終わりではなくて、毎日の出来事や気づきは日記に書き残すようにしましょう。今日は誰に会いましたか?何をしましたか?どういう出来事があり、どういう感情になりましたか?

行動すればするほど、学びがあり、気付きがあり、それがあなたを希望する未来へ導いてくれるはずです。ぜひ、立ち止まらずに前へ進み続けてください。

自分の人生に迷っている人はよく、「自分にはまだ何か足りない」と言いますが、それは思い込みです。足りないのではなく、気付いていないだけ。どんぐりが木になるように、人生を切り拓く力はすでにあなたの中にあるのです。