現代中国研究センターからのニュース
特別講演会「私の50年間の中国での事業体験」を開催しました
2015/5/25
5月23日(土)、福山大学の大久保勲名誉教授(中国経済経営学会顧問・名誉会員)をお招きし、「私の50年間の中国での事業体験」をテーマに特別講演会を開催しました。銀行マンとして長年中国事業に携わってこられた大久保先生には、国交正常化前の時代における中国事業の立ち上げの模様や、その当時の中国の様子や日中関係について、世界の政治・経済情勢を交えながら活き活きとご講演いただき、日中を取り巻いた激動の一時代と両国の発展のために困難な時代に立ち向かった先人たちの思いと業績を知ることができました。
大久保先生のご講演は具体的なもので、「新聞の字面だけを追うのでなく行間を読むこと、そして中国の指導者らが何を考えているかを知ることが大切である」との思いから、パーティーの場では通訳をはさむことなく直接言葉を交わし、先へ先へと動くことを心がけ、また信頼関係から得た友の存在もあって、他の日本の銀行に先駆けて駐在員事務所を開設することができた経験や、そして中国の周恩来首相との出会いを勝ち取った経緯や、バンドン会議(1955年4月)に日本代表として出席した高碕達之助氏、日中覚書事務所代表や日中経済協会常任顧問などを歴任した岡崎嘉平太氏らとビジネスを通じて中国との関係改善に取り組んだ日々についてお話を伺うことができました。
特別講演会に参加した皆さんは、紆余曲折のあった日中友好の歴史に思いをはせたり、初めて聞く話に目を輝かせたりとその反応は様々でしたが、日中友好関係の構築に命がけで努力した先人たちの話を聞くにつけ、大きく肯く姿が見受けられました。
講演会の最後に設けた質疑応答では、中国人留学生からの「日本でビジネスをする場合に大事なことは?」との問いには、「企業は人であり、日本のビジネス界でも中国と同じように自分を磨くことが大切。そして、人も企業も人の役に立つようになってはじめて儲かります」と答えられ、また「日中間の貿易や友好が順調にいくためのアドバイスは?」には、「声高に友好を叫ぶのではなく、誠実に付き合うことです。さらに企業であれば、これから何が大事になるかを見極める必要があります。現状維持に固執せず、10年後、20年後を見据えて動くことのできる柔軟さも必要です」と話されていました。
穏やかな語り口の中にも熱い気持ちを感じることができた大久保勲先生の特別講演会。「これからの日中の懸け橋となることを皆さんに期待しています」との結びの言葉に惜しみない拍手が送られていました。