中国語教員養成センターからのニュース

 

距離“ゼロ”の接触―「第5回西日本地区漢語教師培訓講座」を実施

2010/9/26

 

 

去る9月26日、西日本地区の漢語教師約20名が第5回西日本地区漢語教師培訓講座に参加しました。参加者たちは、関西外国語大学・戸毛敏美教授と大阪大学・杉村博文教授の素晴らしい講義に興味尽きぬ様子で耳を傾けていました。

戸毛先生は「第二外国語としての中国語教学」と題し、具体的な教授法から発音・語彙・語法・文化といった分野にまで論及しました。その方法論はユニークかつ実用的なものでした。

杉村先生が講義した「語法基礎」は、語義の問題から語彙教学へ展開し、“動結”の観点から連語教学を考え、コンテクストの中で文章を考察し、文化の中で語法を観察しようとするものでした。こういった視点は非常に斬新で、大いに納得させられました。

今回の講演は、次の三つの意味から「距離“ゼロ”の接触」という共通点がありました。

講師のお二人は長期間にわたり中国で生活し、日本人に対する中国語教育と中国人に対する日本語教育の両方に長年従事された経験をお持ちです。従って意識的に日中両言語を距離“ゼロ”で対比させる事ができるわけで、その共通点・相違点の中から中国語の特徴を浮かび上がらせて、日本人向けの中国語教学の近道を探し当てたのです。戸毛先生が提案された日本語の発音を利用した中国語の発音練習法と、杉村先生の中国語・日本語の二種類の受身文の選択傾向に関する分析は、その好例であると言えます。

またお二人は教学経験豊富な中国語教師であり、講義は非常に高いレベルのものであったにも関わらず、決して空虚な理論ではありません。全ての理論は地に足が着いたもので、漢語教学における具体的な問題に根ざしています。マクロの視点とミクロの視点、理論と実践が距離“ゼロ”で共に関連しているのです。日本語の「できる」と中国語の“会”、“能”、“可以”に関する戸毛先生の研究、中国語の補語の教学に関する杉村先生の研究は、どちらもこの特長を表していました。

二人の先生の講義を通じて中国語教学の現実に距離“ゼロ”で接触し、参加者たちは大いに関心を深めたようです。従来の講座は、講師と参加者の質疑応答などの交流は講義の最後に設定していましたが、今回は演台とフロアが終始熱心な討論を行う中で講義が展開されました。講師と参加者の垣根が取り払われ、ここでも「距離“ゼロ”の接触」が実現したのです。

 
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