関西外大と協定を結ぶカナダのハンバー大学。
同大学の大学院で英語教授法を専攻するChantel Mcknightさんが来日し、TESL実習生として本学で開講される英語の授業のサポートなどを行いました。
(実習期間終了後は、インターンシップとしてTOEFL対策をはじめ、課外で英語学修支援活動も担当)
この記事では、実習やインターンの具体的な活動の中身や、ご本人の感想などについて詳しくご紹介します。
実習生プロフィール

実習生プロフィール
- Chantel Mcknightさん(愛称:シャンテルさん)
- ハンバー大学(Humber College)大学院
- 専攻:英語教授法(Teaching English as a 2nd Language)
- 滞在期間:2023年3月30~6月25日
2023年度カナダ・ハンバー大学大学院TESLプログラム実習生として来日。
約3カ月間にわたって、本学での活動に取り組みました。
実習受け入れの経緯について

カナダ・ハンバー大学大学院のTESLプログラムが2021年よりスタートし、同プログラムに在籍する大学院生の実習先として、関西外大が選ばれています。
このTESL教員の育成にカナダで定評があるのがハンバー大学で、その教育の一環として大学院のTESLプログラムを開設。
2021年、2022年はオンラインで行われ、入国可能となった2023年度の今回が、初めての対面での開催となりました。
併せて、ハンバー大学とのつながりを紹介しておくと、2020年度春学期よりSuper IESプログラムの新規大学として契約を締結。
ハンバー大学の教員が同プログラムの授業を担当し、留学に向けたオールイングリッシュの授業を展開しています。
ハンバー大学大学院TESL実習生シャンテルさんインタビュー

――TESLの実習先として、関西外大を選ばれた理由は?

日本に在住したことがある弟をはじめ、周りの人から日本に関してのいい印象を聞いていたので、興味をもちました。
また、関西外大にはハンバー大学のオフィスが学内にあったことも大きかったです。
――大学院では英語教育の分野を専攻されているのですか。

そうですね、第二言語として英語を学ぶ人に英語を教える方法などについて研究しています。
日本は英語教育の観点からも熱心と聞いていたので、その点も魅力に感じました。
TESL実習では短大とSuper IESプログラムの授業をサポート

期間中のシャンテルさんの日程は以下の通り。
- 4月3日(月)~4月21日(金) TESL実習(Super IESプログラム、短大)
- 4月24日(月)~6月23日(金) インターンシップ(英語教育支援)
実習では、ハンバー大学のノールズ先生と、本学・短期大学の村上裕美教授がメンターとして活動を支援した。
TESL実習では、
- 最初の1週間は授業の見学
- 2週目より授業のサポート
などを担当し、メンターの先生と共同で参加学生の指導やサポートを行った。
――授業のサポートについて、具体的にどのようなことをされていたのですか。

例えば、学生同士のディスカッションの輪の中に入り、質問などを投げかけることで意見を促すなど、授業全体が円滑に進むように授業を支援していました。
――TESL実習では、Super IESプログラム、短大の授業を担当されましたが、それぞれ中身は違った感じでしょうか。

短大は一年生が対象で、英語がSuper IESのクラスほどスムーズじゃなかったので、教科書中心の授業になっていました。
でも、それだけじゃあまり楽しくないので、Icebreaker(参加者がリラックスして望めるように行う簡単なアクティビティー)を取り入れて、積極的に学生から発言してもらえるように工夫したりしました。
――取り組まれたアクティビティの中身について教えてください。

シートを作って簡単なクイズを出したり、お互いが質問し合って回答する時間を設けたりして、発言しやすい雰囲気をつくりました。
また、発言した人にPrize(賞)をあげるなど、より意見を言いやすい環境を整えることを意識しました。
――Super IESプログラムの方はいかがだったでしょうか。

オールイングリッシュで行われるクラスなので、みなさんの英語力は高かったです。
原住民にフォーカスを当てた授業では、ハンバー大学のあるカナダの原住民に関する講義が行われていました。私はそこにJapaneseの話題も入れ、Japanese Canadian(日系のカナダ人)といった話をしたのですが、メンターの先生にも好評でした。
TESL実習の感想&フィードバック

3週間のTESL実習を終え、シャンテルさん自身は手応えを感じ、メンターを務めたハンバー大学のノールズ先生からも「Great!」と好評を得る。
特に原住民のテーマのところで「Japanese Canadian」の挿話を入れたことが新鮮だと褒められた。
短大に関しては、今回のような実習で欧米のネイティブスピーカーがアシスタントとして入るのが初めてだったそうで、学生たちにとって有益な時間になったのはもちろん、担当教員の村上先生からも「大いに刺激を受けた」といったお言葉をいただけたという。
シャンテルさん自身も、日本での英語教育の実際に触れられて、さまざまな気づきもあった。

日本ではテキストのreading(読み上げ)をきっちりやっていきますが、そこが欧米との違いで、私だったら隣同士でペアを組み、読み合いをさせたりするんですけど、その違いが興味深かったです。
――なるほど。実習を受けるに際して、先生からは何かアドバイスなどはありましたか。

教科書を使って講義をする際に、「このキャプチャーにおいて学生たちがディスカッションできるようなアクティビティを作っておいてください」とった指示をいただきました。
あとは教材として利用するパワーポイントで強調する文字の指定など、事前にいろいろと教えてもらいました。
――3週間の実習を終えての感想は?

学生たちもとても意欲的で、私自身学ぶことも多かったし、皆さんとの交流はすごく楽しかったです。
指導していて手応えもあったので、「もっと長く続けたい」という思いも強くなりました。皆さんの今後の英語学習に何かしらのいい影響が与えられたらうれしいですね。
インターンシップ(英語教育支援)でTOEFLとIELTSの対策講座を担当

TESL実習が終った後は、関西外大での英語教育支援のインターンシップとして、
- TOEFL
- IELTS(アイエルツ)
といった英語テストの対策講座(課外)を担当した。
IELTS(アイエルツ)の詳細について、以下の記事を参照ください。
対象は留学をめざす本学学生で、週二回開講し、誰でも自由に参加が可能。
前半はTOEFL、後半にIELTSの講座を行い、各回ごとに「reading」「writing」などのセクションを設け、サンプル問題を解きながら、具体的な解説を行った。


私自身、TOEFLとIELTSについて調べ、各テストで何を求めてるのかを研究しました。
その傾向と対策を皆さんにわかりやすく伝えることを心がけました。
――実際に対策講座を担当してみての感想は?

これまでは短大、Super ESプログラムと、同じクラスの学生を継続的にサポートしてきましたが、対策講座は学科なども違う多様な学生が対象です。
英語教授法を専攻している私にとって、各学生が「個別の問題に対してどういったプロセスで回答してるのか」を知れたことは、すごく興味深い体験でした。
――そうした各学生に対して、その人に合わせたアドバイスを行っていくわけですね。

そうですね。例えば、スコアが低い学生には、実際の回答を見ながら「なぜこのように答えたのか」「このポイントがよくないので、こういう解き方をすると点数が伸びるよ」といったことを具体的にアドバイスしました。
――授業全体としては、どんなことを意識しましたか。

IELTS、TOEFLは受験に慣れていない学生も多いので、学生たちが極力ストレスを感じないように、学びのヒントだったり、解き方のコツなどをわかりやすく伝えることを意識しました。
こういう指導は初めてだったので、私自身とても新鮮で、たくさんの刺激を受けました。
TESL実習生 & インターンシップの感想

――今回の関西外大でのTESL実習生、インターンを通じて成長したと感じるところは?

teachingに関しては実践的だったので、教授法に関するスキルが向上したのはもちろん、日本という未知の国に来て視野も大きく広がりました。
新しい価値観が広がり、新しい視点で物事を考えれるようになれたのも貴重な体験となりました。
――日本での生活が視野の拡大につながったとのことでしたが、実際に約3カ月暮らしてみてどうでしたか?

交通の便などもよく快適で、周辺には適度に自然もあって、とても心地よく生活することができました。
私は日本語が話せませんが、お出かけした際にも周囲の人が、こちらに合わせて英語でサポートしてくれたり、皆さんが親切にしてくれたこともうれしい思い出になっています。
――関西外大の雰囲気はいかがでしたか。

なんでも受け入れてくれる雰囲気があるというか、国際交流が豊かなキャンパスなので、日本語が話せない私でも、特に不便を感じることもなく毎日過ごすことができました。
生活拠点としては、前半はセミナーハウスで過ごし、途中から「GLOBAL COMMONS 結-YUI-」へ。セミナーハウスでは畳のある生活が送れ、それも新鮮でした。
※「GLOBAL COMMONS 結-YUI-」の詳細については、以下の記事を参照ください。
さいごに
2021年にスタートしたカナダ・ハンバー大学のTESLプログラムで、初めて関西外大にやってきたシャンテルさん(前2年はコロナ禍によりオンラインで実施)。
来年以降、同プログラムでハンバー大学からやってくる実習生のために、
- 来日するまでの準備でやっておいた方がいいこと
- 現地(関西外大)で求められること
- 空港から関西外大まで行き方
といったことをまとめたレポートを作成する予定だという。
――最後に、将来の目標について教えてください。

具体的な進路はまだ決まっていませんが、日本か韓国で英語教育の指導者になれたらと考えています。
――こんな先生になりたいという目標像は?

英語力の向上はもちろん、学生に寄り添える先生になるのが目標です。
授業中だけではなく、授業が終わった後も心地よく話ができるような関係性を築き、学生たちの夢を叶えるための手助けができる指導者をめざしたいと思います。