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服を作る女性と、服を着る女性。どちらの暮らしも豊かにしたい。

服を作る女性と、服を着る女性。どちらの暮らしも豊かにしたい。

夢や目標を持つ
何でも挑戦してみる
新たな価値を創る

スリランカの女性に、生きがいと収入の得られる仕事を。

―今のお仕事について教えてください。

私は奈良市にあるPUNCHI LAMAI(プンチラマイ)というセレクトショップで店長として勤めています。オリジナルブランドLAILHA(ライラ)のお洋服の接客販売を中心に、イベントを企画したり、出店に出向いたりと、日本での販売業務全般を担当しています。年に1度は自社工房のあるスリランカへ、代表の出張に同行もしています。

―久保さんが考えるお仕事の魅力はどこですか?

LAILHAのお洋服は、スリランカの小さな自社工房で1着1着じっくり愛情を込めて作られています。生地には厳選した天然素材を用い、色はスリランカの伝統医学「アーユルヴェーダ」で使われる木の実や樹皮などの植物で手染めしています。こだわりはお洋服だけではありません。実は10年前、「村のコミュニティの中で、女性が子育て中に活躍できる仕事を作りたい」という代表の強い想いを形にしたプロジェクトから生まれたブランドです。縫製工房には5人の縫製士。染め工房には2人の染め職人。みんな笑顔が素敵な子育て中のお母さんです。

アパレル業界では大量生産のためにスピードを求め、パーツごとに作る分業制が一般的ですが、LAILHAのお洋服は1人1着を担当して仕立てています。とてもスローメイドなものづくり。だからこそ現地スタッフ一人一人が輝き、仕事として服を作る誇りと責任を持っています。着る人の幸せを祈り心ひとつにものづくりをする姿勢から働くことへの喜びや感謝の気持ちを感じます。「服づくりを通じて、スリランカの女性たちの笑顔を守りたい」という代表の想いを一緒に実現していくところに、この仕事の魅力を感じています。

教室の学びと自分の未来がつながった、カンボジアの1週間。

―久保さんは、どういう学生時代を過ごしましたか?

興味のあることには、何でも取り組んだ4年間でした。関西外大を選んだのは「様々な国の人たちと関わり自分の世界を広げたい」という想いがあったからです。1年生のときから海外ボランティアに参加したり、国内では、通訳ガイドクラブI.G.Cに入部し、月に一度清水寺で外国人観光客の案内をしたり…。

通訳ガイドクラブI.G.C 外国人観光客の方との思い出一枚

―いちばん印象に残っている思い出は何ですか?

2年生の夏に参加したカンボジアでの教育ボランティアです。コムルーという村に1週間滞在し、学校で子どもたちに英語や日本語を教えるというプログラムでした。これを機に自分の価値観が大きく変わりました。

私がいわゆる”途上国”を訪れたのはこのときが初めてで、それまでは何となく貧しい国という印象しか持っていませんでした。でも、実際に村で過ごしてみると、確かに裕福ではないけれど、豊かさも感じたんです。電気を贅沢に使えない村では、暗くなれば眠りにつき、鳥のさえずりで目を覚まします。自然と共存した時間の流れは、私にとっては理想的でとても居心地が良かったんです。

村を歩いていても、目があうと微笑み、挨拶が飛び交い、言葉が通じないのに笑顔で話しかけてくれる。授業を受ける子ども達の眼差しは遊ぶ時と変わらず、学びの時間も全力で元気いっぱい。緑溢れる田園風景の中にある人々の暮らしと無邪気なこどもたちの姿に、私は一瞬でカンボジアが大好きになりました。

一方で、学校ではいつもクラスの誰かは欠席している現状。体調でも崩しているのかな?とさりげなくした質問に、子ども達は「家のお仕事のお手伝いでお休みだよ」と。当たり前のように話す子どもたちに返す言葉が見つかりませんでした。この時はじめて貧困問題という文字が私の頭に浮かびました。滞在する中で感じる自分の無力さに「ボランティアの役割って何なんやろう?」と根本的な疑問が湧きました。「村の人も、子ども達も、そして私たちも、もっと皆がハッピーになるために、本当に必要なものはなんなのかな…」と静かな夜に、いろんな考えを巡らせました。

―カンボジアでの気付きによって、その後の学生生活に変化はありましたか?

帰国後は、もやもやの気持ちを抱えたまま、国際ボランティア論や開発学関連の授業は積極的に受講しました。ボランティア以外にも色々な解決方法があることを学ぶ中で”ソーシャルビジネス”というビジネススタイルを知ったんです。「寄付金や善意に頼るのではなく、ビジネスとして問題を解決することは、大人の雇用を生み出し継続的な支援につながる。その結果子ども達も安心して学校に通える」。授業中の先生の言葉と、カンボジアの経験が頭の中で結びついて、自分の大切にしたい軸が一つ見えた瞬間でした。

またこれは偶然の縁なのですが、私の英語クラス必修科目の担任だった先生はよくソーシャルビジネスをテーマにディスカッションの授業を行なっていました。そこで「TABLE FOR TWO(以下TFT)」というソーシャルビジネスに出会いました。先進国でヘルシーメニューを食べると、アフリカの子供達の給食1食分20円が贈られるという仕組み。先進国の肥満による健康問題とアフリカの給食が食べられない子ども達の問題を同時に解決するビジネスです。このwin-winなスタイルにとても感銘を受けました。私と友人は担当していた先生に相談しながら同志を集め関西外大にTFTの学生団体を立ち上げました。

同時に児童労働や搾取なく正当な価格でビジネスをすることで世界の格差問題を解決するフェアトレードについても強く関心を持つようになりました。ぜひそういう活動に取り組む仕事を経験してみたいと「枚方、フェアトレード」でネット検索。そこで出会ったのが、Punchi Lamaiなんです(※当時は、枚方に店舗がありました)。インターンシップとして約2年程、店舗業務の経験を積ませていただきました。

カンボジアでの経験を機に関西外大のプログラムを通して学んだことが、自分の世界を広げ、そして導かれるように今の仕事につながっているなぁと実感しています。

服を売るのではなく、つながりを作っている。

―お仕事のやりがいを教えてください

LAILHAの服には、作ったスタッフがタグに小さくサインを入れています。誰が作った服かひと目でわかるんです。お客さまにはスリランカの工房の写真を見せながら、「この服は、このスタッフが作ったものなんですよ」と人柄やエピソードを添えて紹介しています。デザインや着心地を気に入って頂けるのはもちろん、一枚が生まれるストーリーからもお洋服の価値を感じていただける嬉しい瞬間です。そしてスリランカの工房にも、「こんな方が選んでくれたよ」とお客様の素敵な着こなしのお写真を送ったり。単に服を売るのではなく、スリランカの作り手と、日本のお客さまの双方の喜びをつなげられる。これ以上に贅沢なポジションはないと思うくらい私自身も幸せな気持ちになります。これは、PUNCHI LAMAIだからこその一番のやりがいだと感じています。

今後は工房とお店をオンラインでリアルタイムにつないで交流会をするなど、より双方の繋がりを感じられる新しい取り組みにもチャレンジしていきたいですね。

迷ったら、直感を信じてみることも大切。

―最後に、これから関西外大をめざす高校生にメッセージをお願いします。

私が関西外大を選んだのは、ズバリ直感(笑)。参加したオープンキャンパスで、グローバルな校風を肌で体感し、「大学生になったらやってみたいなぁ」となんとなく自分が描いていたことができそうで、「ここなら成長できる」とビビっと感じるものがありました。もちろん、具体的に考え行動することはとても素晴らしいことだと思います。でも自分の五感で掴みとった情報というのも理屈を超越するときがある。実際に関西外大での4年間は「やってみたい!」と言う自分の直感を信じて素直に行動を重ねた結果、周りの仲間や先生にも恵まれ、今も何にも代えがたい私の貴重な糧となっています。なので最後は直感に従うという選択の仕方も間違ってはいないと思うんです。 受験にしても、その後の大学生活にしても、「大多数の人がこっちでも、私はあっちのほうがいい気がするなあ」と迷うときがあるかもしれませんが、そんなときは直感を信じてみてください。そのほうが、きっと後悔のない人生を歩めると思います。

編集後期

自分と関わる人を幸せにする生き方

服を作る人や地球環境に負荷をかけないファッションを「エシカルファッション」と言います。安価なモノを使い捨てるのではなく、自分の関わる人やモノをずっと大切にする。それはPunch Lamaiのベースであり、久保さんの生き方そのものだと思いました。カンボジアでのボランティアで途上国の現状について知り、PUNCHI LAMAIに巡りあった久保さん。今後は、ファッションの力で、さらに多くの人を笑顔にする方法を見つけたいと夢を膨らませていました。語学の先にあったもの、それは、“自分と関わる人を幸せにする生き方”なのかもしれません。