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留学を目指すあなたへ。文化や考えの違う人同士が分かり合うために大切なこととは。

留学を目指すあなたへ。文化や考えの違う人同士が分かり合うために大切なこととは。

世界への好奇心を持つ
多様な価値観と向き合う
他者に貢献する

高校生のみなさん、こんにちは。Take Action!編集部です。みなさんは大学生になったら「留学したい」「海外の人たちとたくさん交流したい」と考えたことはありますか?世界中の人と話せたらきっと楽しいですよね。そのために「英語力を磨きたい」と思う人も多いのではないでしょうか。でも実は、異文化交流において、言語以上に大きな壁が存在します。それは文化や考え方の違いです。違いのある人同士が分かり合うためには、どうすれば良いのでしょうか。異文化交流について指導しているリンド先生に話を聞きました。

「違い=ポジティブ」であることを、多くの人に知ってもらいたい。

はじめまして、リンド・スコットです。私はアメリカのテキサス州出身で、小さい頃からさまざまな人種の人たちに囲まれて育ちました。私にとって「違い=ポジティブ」なもの。文化の違う友人と遊ぶ度に、新しい気付きや刺激を得ることができました。でも、全員が私のような考えではなく、周りには「違い=ネガティブ」にとらえる人もたくさんいました。子どもながらに抱いた「どうしてみんな違いを認め合わないんだろう」という疑問。それがコミュニケーションに興味を持った、私の原点です。

大学と大学院では、心理学とコミュニケーションについて幅広く学びました。そして卒業論文を書くタイミングで、サザンイリノイ大学新潟校で指導員のポジションに空きができたため、私がそのポジションにつくことになり、日本へやって来ました。国が変われば「違い」によるコミュニケーションの壁は一層大きくなる。「違い=ポジティブ」であることを多くの人に知ってもらいたいという気持ちがより強くなりました。そうした経緯から、今こうして関西外大で異文化交流の授業を教えています。

フレームを外して違いを認め合うことが、異文化交流の第一歩。

では、「違い=ポジティブ」にとらえるために大切なことは何でしょうか。例えば私が新潟で指導をしていた頃、こんなことがありました。

それは日本の学生がアメリカに留学したときのこと。その学生はランチタイムにキャンパス近くにあるバーガーショップを利用していました。味もボリュームも大満足。でも、店員の対応が丁寧ではなかったことにずっと違和感を抱いていたそうです。帰国後、その学生は私に言いました。「先生、同じバーガーショップでも、アメリカは日本みたいに親切ではないね」と。果たしてそうでしょうか。

確かに日本ではレジでお客さん一人ひとりに丁寧に話しかけて、お辞儀をしてくれます。でも、アメリカのキャンパス近くのバーガーショップでそれをやらないからといって、不親切だと考えるのは間違っています。なぜなら、ここを利用する学生は急いで授業に戻らなければいけないため、丁寧な接客よりも、少しでも早く列を進めることを望んでいるからです。

異文化交流においては「こうあるべき」だと決めつけたり、「○○人は△△だ」みたいにレッテルを貼ったりしてはいけません。国によって文化も常識も違うし、もっと言えば、同じ日本人でも一人ひとり違います。フレームを外して、お互いの違いを認め合うことが何よりも大切なのです。

違う考えの人同士が協力し合う方法を、体験から学ぶ。

バーガーショップの例で、「フレームに当てはめてはいけない」ということを少しは理解してもらえたかと思います。でも、理屈だけではうまくいかないのがコミュニケーションの奥深いところ。学生が将来、異文化交流で起きる課題に直面したとき、自然に解決へ導くための行動がとれるように、体験を通じた指導を心がけています。

例えば、先日は椅子を使ってこんなゲームをしました。まずクラスを3チームに分けます。そして、教室中にある椅子をAチームは「教室の中央に」、Bチームは「窓側に」、Cチームは「入り口付近に」それぞれ集めます。3チームとも考えていることがバラバラなので、当然うまくいきません。はじめは自分たちのことばかり考えて、相手の見ていない隙に椅子を動かしたり、ちょっと気を散らして椅子を盗んだり、本質的ではない行動に走り始めます。そして、不毛な争いにそのうち疲れてしまうんですね。でも、ちゃんと立ち止まって考えると、みんな違う目標を与えられていることを理解する。そして、例えば、全員で協力しあって、まずは入り口に全ての椅子を持っていって、その後に教室の真ん中、窓側に置くことで、全員のゴールを達成しようという解決方法が生まれます。

私はこのゲームを通じて、「違う考え方を持つ人同士が協力し合うためには、共通の目標を持つことが大切だ」ということを伝えたかったのですが、きっと私が言葉で説明するよりも深く理解できたことでしょう。

今すぐ実践できる、異文化交流力を高める習慣。

異文化交流力を高めるために、高校生のみなさんでも今すぐ始められることはたくさんあります。

例えば、いろいろな文化に触れて、興味を持つこと。海外で出版されている本を読むのもいいですし、SNSやネット動画などで、海外の同世代の人たちが関心を持っている動画を観てみるのもいいでしょう。ちなみに私は今、韓国ドラマに日本語のサブタイトルをつけることにはまっています。文化的な背景の違いに気付けるのでオススメですよ。

それから、年齢や国籍など、自分と違う価値観を持っている人と話す機会があれば、ぜひ共通点を探してみてください。その際に大切なことは、その人を「国」「文化」「民族」というフレームにはめこむのではなく、「個人」として話すこと。先入観を捨てて、挨拶からお互いの関係を始めるのです。ちゃんと目をみて「こんにちは」と言って、例えばその人の趣味を聞いてみる。「読書が好きですか?」「どんな本が好きですか?」「どうしてその本が好きですか?」。その人に好奇心を持ち続けることで、「なるほど、そういう考え方もあるのか」と相手のことを理解できたり、「その本、僕も読んでみようかな」と新しい好奇心がわいたりします。そうすると、「違い」は自分の世界を広げてくれるポジティブなものに変わっていきます。

世界が抱える課題の解決は、異文化を理解することからはじまる。

ロシアとウクライナの間で起きている戦争、アメリカの民主主義崩壊、LBGTQに対する理解不足など、国際社会はいろいろな問題を抱えています。これらの問題を解決することは決して簡単ではありませんが、乗り越えていくためには異文化を理解し合うことが欠かせないと感じています。

そうした中、学生の慣習に縛られない自然で公正な感覚は、私にとって希望です。関西外大のキャンパスにはいろいろな国の学生がいて、お互いについてとても好奇心を持っています。あちこちで会話や交流が生まれ、違いを認め合う光景を日常的に見ることができます。異文化交流を学びたい人にとって、関西外大は恵まれている環境だと思いますね。若い世代の人たちが違いを認めることの大切さに気づき、卒業後に企業や公務員、あるいは教師など、いろいろな分野で活躍し、それぞれの立場から違いを認め合える社会を作ってくれることを期待しています。

2023年4月。異文化交流をリードする人材を育てる「国際共生学部」新設。

いかがでしたか。異文化交流では、違いを認め合う気持ちが大切なんですね。将来の留学に備えて、今後みなさんが国籍や文化、年齢などの異なる人と話す機会があるときは、ぜひフレームに当てはめるのではなく、その人個人に興味を持って会話をしてみてはいかがでしょう。

さて、関西外大では2023年4月に国際共生学部が新しく開設されます。グローバル化や情報化がどんどん進み、情勢も目まぐるしく変化する国際社会。世界が抱えている課題の答えがひとつではないからこそ、異なる文化背景を持つ人々が協力し合うことが、これまで以上に求められています。そこで必要になってくるのは、高度な英語運用能力はもちろん、違いを認め合い、同じ目的に向かって協力し合えるコミュニケーション力。国際共生学部では、そうした力を実践的な学びと体験の中で身に付けていきます。