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世界的プレゼンターに学ぶ、国際社会で自分を表現する方法。

世界的プレゼンターに学ぶ、国際社会で自分を表現する方法。

自らチャンスを作り出す
多様な価値観と向き合う
新たな価値を創る

高校生のみなさん、こんにちは。Take Action!編集部です。関西外大では、語学はもちろん、実践的なビジネススキルもたくさん学べる環境が整っています。例えば「プレゼンテーションスキル」もそのひとつ。授業を担当するガー・レイノルズ教授は、プレゼンテーションの第一人者であり、著書『プレゼンテーションZen』は世界20カ国でベストセラーになっています。今回は、そんなレイノルズ教授にお話を聞きました。ぜひ最後までご覧ください。

自分を表現する楽しさを、世界中の人に伝えたい。

私はアメリカ・オレゴン州出身ですが、両親の趣味で自宅には日本庭園があり、子どもの頃から日本やアジアの文化を間近に感じながら育ちました。

高校生の頃、映画に夢中で、映画監督を夢見ていました。ある日念願だった35mmフィルムのカメラとプロジェクターを購入し、以来、映画用スライドの作成に没頭。それがプレゼンテーションに目覚めたきっかけです。

一方で私は、日本の文化にも強く惹かれていました。大学で文化や哲学を専攻し、そして大学院生のときJETプログラムを活用して、日本に来ました。

日本での生活が気に入り、大学院を卒業後もしばらく日本で働きましたが、Appleへの就職が決まりアメリカへ戻ります。

80年代にインターネットで見たアップルの創設者スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションに、大きな衝撃を受けました。当時のプレゼンテーションは、スライドにたくさんの情報を詰め込み、長々と説明するのが一般的でした。しかし、ジョブズのプレゼンテーションはとてもシンプルで、アイデアが研ぎ澄まされていたのです。私もこんな風に自分を表現したい。それがAppleに入社して、プレゼンテーションを学びたいと思ったきっかけです。

Appleで働いていた頃は、プレゼンテーションを作成する機会がたくさんありました。その中で私は、Apple流のシンプルなプレゼンテーションに日本の「禅」を融合させた「プレゼンテーション禅」という手法を考えつきました。そして、その手法を当時ブームだったブログで発信すると、瞬く間にフォロワーが増え、出版社からも執筆の依頼が来るなど、大きな反響がありました。うれしかったですし、もっと多くの人に広めたいという気持ちが芽生えて独立を決意。現在も関西外大で教授をしながら、各国の企業や大学でプレゼンテーションのセミナーを行なっています。

自分の考えを相手に伝える力を、基本から。

主に「プレゼンテーション」と「映像制作」の授業を教えています。例えば映像制作の授業では、どう表現すれば、自分の考えが相手に伝わるのか、ビジュアルコミュニケーションやグラフィックデザインの考え方をベースに、コンセプトメイク、三分割法、構成、ストーリーテリングなど基礎から教えています。

「映像制作なんて私には関係ない」と考える人もいるかもしれません。しかし、クリエイティブな発想が求められたり、誰かに何か伝えようとする場面は、どの業界で働くにしても訪れます。そんなとき、私の授業で学んだことがきっと役立つはずです。

また、多くの日本のグローバル企業では、英語でのやりとりが日常的に求められます。プレゼンテーションや映画制作の授業を通じて、英語で自分の考えを表現する力が備われば、多くの企業で必要とされる存在になれることでしょう。

変化の激しい時代を、しなやかに生きられる人になって欲しい。

プレゼンテーションを通じて、踏み出す勇気を持ってもらいたいです。最初は自分の意見を人前で伝えることは怖いかもしれません。でも、踏み出せば新しい学びがあり、経験を重ねることで自信がついてきます。一歩を踏み出す勇気、自分で新しい世界の扉を開けるようになって欲しいですね。

今世の中ではAIなどの新しい技術が次々と生まれ、生活様式も変わり、目まぐるしい勢いで変化しています。そうした時代においては、しなやかに適応する力が求められています。英語では「resilience」といいますが、例えるならば「竹のような人」。激しい雨風に晒されたとき、普通の樹木は固く根を張り踏ん張ろうとして、折れて倒れてしまいますが、竹は風に合わせて揺れることで、耐えることができる。こすり合って鳴る音は笑い声にも聞こえます。学生たちにはあらゆることに果敢にチャレンジして、変化の激しい環境にうまく適応していってもらいたいです。

今日から使える《プレゼンテーション基本講座》

プレゼンのコツ1:「緊張して当たり前」

プレゼンテーションが苦手だという人の多くは、「自分に自信がない」「緊張するからいやだ」と考えています。気持ちはよくわかります。何度もプレゼンテーションの経験がある私でも、発表前は緊張します。でも、緊張することは悪いことではありません。アメリカの有名な歌手グループも、あるインタビューで「人前に立つのはすごく勇気がいる」と言っていました。それでも、大抵の場合はうまくいく。ちょっと緊張しているくらいの方が、案外いいパフォーマンスができるのかもしれません。

プレゼンのコツ2:「伝えたいことはシンプルに」

プレゼンテーションでよくある失敗は、情報を詰め込みすぎてしまうこと。特に日本では、「補足しておいたほうが相手もわかりやすいのでは」という親切心から、情報過多になってしまう事例がよく見受けられます。しかし、あれも伝えたい、これも伝えたいと詰め込むと、結局は何も伝わらなくなってしまうのです。ぜひ、「何を伝えるか」よりも「何を省くか」という意識を持ってください。日本には「禅」という素晴らしい伝統文化があります。それと同じく、ムダを削ぎ落としたものにこそ美があるのです。

プレゼンのコツ3:「情報提供ではなく感情を動かす」

プレゼンテーションの目的は、情報を伝えるだけではない。もし目的が情報提供であれば、メールで済みます。それでもわざわざ相手の前に立ち、話をするのは、感情を動かしたいからです。では、どうすれば感情を動かせるのか。それは「ストーリー」を持たせることです。

実際にあったプレゼンテーションを例にあげると、ある化粧品会社が新商品を出した際、「〇〇という成分が肌をキレイに見せる」「保湿効果が何%アップした」というスペックを並べました。なんだかすごい商品だということは分かるのですが、結局、誰に、どんなメリットがあるのかわかりにくいですよね。それよりも、「この化粧品で、働くお母さんの1日が変わる」というストーリーの元に情報を整理すると、わかりやすく訴求することができるのです。

このように、同じ情報でも伝え方一つで伝わり方が変わることが、プレゼンテーションの難しさであり、面白いところでもあります。

国際社会でリーダーシップをとれる人へ。

関西外大は先生も学生も多国籍で、私は世界の縮図のような環境だと思っています。ここで身に付けて欲しいことは、まず英語。世界で活躍するために必ず必要だからです。しかし、英語はツールにすぎません。大切なことはリーダーシップをどれだけ発揮できるか。自分に自信を持ち「やってみよう」と世界中の人を引っ張るリーダーへと成長して欲しいですね。そのためにも、ぜひキャンパスや留学先の国々で、たくさんの経験を積み自信をつけてください。そして将来、世界という広い舞台で、思う存分に自分を表現してください。

※記事の内容は取材時点(2023年10月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。