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「ホスピタリティ」の発揮によって幸せな人生を!
ホスピタリティ=心×感知力×表現する力

「ホスピタリティ」の発揮によって幸せな人生を!ホスピタリティ=心×感知力×表現する力

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多様な価値観と向き合う
他者に貢献する

航空業界をはじめとするサービスの世界でよく耳にする「ホスピタリティ」という言葉。その本当の意味とは何なのか。日本航空(JAL)で客室乗務員の育成や機内販売の企画などに携わった後、現在、関西外大で「ホスピタリティ」の講義を担当する長井聖子教授。授業でどのようにホスピタリティの真髄を学生たちに教えているのか。「ホスピタリティは、自分が幸せになる生き方でもあります」と語る長井先生に、取材しました。

「置かれた場所で努力する」ことの大切さ

私は大学を出て日本航空(JAL)に入社し、それから長い間、さまざまな部署で働いてまいりました。最初は客室乗務員として勤務しましたが、やがて企画を担当したり、機内販売の部署でも働くことになり、マーケティングや会計の知識など、仕事を通じて学ぶことにもなりました。そうしたキャリアを積む中で、倉庫の在庫管理のノウハウや契約に関する知識も身に付ました。そうしたこれまでの私のキャリアを振り返ると、自分で「こんなことがしたい」と希望した道を進んだというより、上司や同僚から「長井さんにこの仕事をやってほしい」と頼まれ、その期待に一生懸命に応えられるよう努力してきた日々の連続だったと感じます。

そんな私が今、大学で受け持っているのは、「ホスピタリティ」の授業です。1年生から4年生まで、毎年約200人の学生が履修しています。日本でホスピタリティというと、お客様に対する「おもてなし」や「サービス業の人が身に付けるべきマナー」と一般的に考えられています。しかし本来の「ホスピタリティ」は、おもてなしやサービスにとどまらない、もっと広くて深い概念であると私は考えています。

感知力とは

例えば感知力には知識や経験が必要ですが、それがどういったったことかを理解してもらうために、自分が、ファミリーレストランの店員の一人のアルバイトだったとして、重度のアレルギーを持ったご家族が来店されたら、どのように接客するのが良いか、と言ったことを考えてもらいます。食品アレルギーを持つ人が、アレルギー成分を持つ食べ物を食べると、ときに生死に関わるほどの症状を引き起こします。食に関わる企業にとって、お客様の健康と安全はもっとも重要です。そのため食品アレルギーは絶対に起こしてはならない問題です。だからこそアルバイトといえども、食品アレルギーについての知識や、提供する食材についても知っておく必要があります。

ほかにもイスラム教徒の方に、宗教上、食べてはいけないものをおすすめしてしまうような失敗は、知識をしっかり身に付けておけば防ぐことができます。私はCAの仕事をしていたとき、何度か政府の要人の方が外遊するフライトを担当しましたが、そのときには何のための外遊か、訪問先の国と日本はどのような関係なのか等々を勉強して臨みました。そういう意味でホスピタリティを発揮するには、知識を身に付ける必要があります。

自分を大切にすることがホスピタリティの基本

そして学生のみなさんにいつも授業で言うのは、「ホスピタリティの基本は、自分を大切にすること」だということです。みなさんがどこかのホテルやレストランに行ったとき、ヨレヨレのみすぼらしい服装で、汚れた靴を履き、見るからに不健康そうな人が接客してくれたとしたら、どうでしょうか。サービスを受ける前に、その人のことを「大丈夫ですか?」と心配してしまうでしょう。

自分の生活をしっかりと整え、心身ともに健康でいて、心に余裕がある状態だからこそ、相手のことを考えてホスピタリティが実践できると私は考えています。今の学生たちと接していてよく感じるのは、「ありのままの自分に、自信を持てていない人が多いのではないか」ということです。
インスタグラムのようなSNSでは、自分の知り合いや同年代の人が、充実した楽しそうな日々を投稿しているのを、毎日のように目にします。それを見ると「私なんて……」と落ち込んでしまいがちですが、本当はSNSの投稿をしている人も「輝いている自分」を演じているだけで、自分に自信がないのかもしれません。

だからこそ、表面的なことにとらわれず、本当の自信を身につけてほしい、と学生たちには話しています。大学での学びは、そのためにあります。
私の授業では、ホスピタリティのケースワークを「自分事としてとらえる」ために、学生同士がペアになって課題について話し合い、発表するということを繰り返し行います。授業の度に、毎回学んだことを文章に書いてもらい、それを私が読んで、一人ずつにコメントを返します。毎回本当に大変ですが、大変だと感じる以上に多くのホスピタリティを感じることが出来、私の授業への原動力となっています。

どんなことでも自分が望む結果を得るには、そのためにしっかりとした「準備」が必要となります。大学での学びも、皆さんが望む人生のための大切な「準備」です。そして、人に喜んでもらえる「ホスピタリティ」を実践できるかどうかも、どれだけ「準備」ができているかにかかっています。ホスピタリティの精神は、仕事だけでなく人生のすべてに応用ができます。高校生の皆さんの中で、ホスピタリティに関心を抱いてくれた方がいたら、ぜひ関西外大の門を叩いてみてくれることを願っています。

※記事の内容は取材時点(2023年10月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。