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日本のために働くやりがい、
外交官に必要な資質と力は関西外大で身に付けられる

日本のために働くやりがい、外交官に必要な資質と力は関西外大で身に付けられる

夢や目標を持つ
計画性を持って行動する
他者に貢献する

こんにちは、Take Action!編集部です。この記事では関西外大の卒業生で、現在、外務省に勤務する石田嵩人さんをご紹介します。「もともと国連で働くことが夢だった」という石田さんは、アメリカ留学をきっかけに「日本のために働こう」と決意し、外交官の道をめざすことにしました。「外大生にこそ、ぜひ外交官になってほしい」と語る石田さんに、その理由について伺いました。

日本という国家に貢献できる誇り

 私は今、東京・霞が関の外務省で勤務しています。2015年に入省し、1年間、北米局の部署で研修生として働いたあと、2016年からワシントンDCにあるジョージタウン大学に研修の一貫で留学しました。

 外交官としてデビューしたのは2018年、アフリカのザンビア共和国の日本大使館に書記官として赴任したときです。それまでザンビアについての知識は何も無かったので、赴任する前に、同国の歴史、政治、経済、文化についてよく勉強しました。2年間のザンビアでの赴任期間中、日本から来た外務政務官とザンビア大統領との間で通訳を務め、出張でナイジェリアへ行った際には、日本から来た総理特使の通訳も務めました。

 そうした話し合いの場では、お互いの言葉を正確に伝えなければいけません。また仮にどちらかが、相手の国について何かしら誤解して発言したとしたら、通訳の私が気づいて未然にトラブルを防ぐ必要もあります。そのためには、ザンビアと日本について深く広く、専門的な知識を身に付けておくことが必須です。

 外交官には非常にハイレベルな語学力が求められます。首脳会議や閣僚会議などの外交において交わされるトピックは、政治・経済・文化など、多岐にわたります。英会話や通訳の能力だけでなく、幅広い知識が求められるので、入省してからも勉強の継続が欠かせません。大変ではありますが、「日本という国家に貢献できる」という誇りを胸に、日々仕事に取り組んでいます。

「国連で働く」という夢

 大学生の時は、国連で働くことが夢でした。私の父は外科医で、幼い頃から、医療を通じて人を助ける父の背中を見て育ったことで、自分も将来、人の役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。国際関係に興味を持つようになったのは、小学6年生のとき。当時私は父の仕事の都合でイギリスのロンドンに住んでいたのですが、2001年9月11日にテロリストがジェット機を乗っ取り、アメリカの世界貿易センターに連続して突っ込むという悲惨な事件が起きました。

 この「アメリカ同時多発テロ事件」はイギリスでも大きなニュースとして取り上げられ、報道を見るうちに「いったいどうして、こんな事件が起きたのだろう」とその背景を知りたくなりました。国際関係に興味を持った私は、やがて「将来、英語を使って人を助けたい」と考えるようになり、国連で働くという目標ができました。関西外大に入学後、ニューヨークに一人旅をし、国連本部のツアーに参加した時、その目標が明確になりました。国連の見学では、さまざまな国籍の人が、共通の言語を用いて、世界の問題を解決すべく働いている姿を目の当たりにし、「ここで働きたい」という想いがより強くなりました。

 国連のような国際機関で働くには、大学院の修士号を持っていることが必要条件です。そこで私は関西外大のダブルディグリー留学プログラムを活用し、まずはアメリカの大学で学位を取得することを目標にしました。2010年から2年間、アメリカのパシフィック大学に留学し、国際関係学について現地の学生とともに勉強したのも、国連で働くためです。ところが勉強するうちに、少しずつ自分の気持ちに変化が起こりました。

外大生は外交官に向いている

 アメリカ留学中に東日本大震災が起きました。留学先の大学のクラスでは、日本人の学生は私ひとりでしたので、震災後、多くの教授や学生から、日本の政治、経済、国際的な立場について説明するよう求められました。私の説明がクラスの中で「日本を代表する意見」として受け止められる、聞く人の日本に対する印象を決める。そんな経験を重ねるうちに、「日本人として日本のために働きたい」と思うようになったのです。

 決定的なきっかけとなったのは、ボストンのキャリアフォーラムで外務省の説明会に参加したことでした。そこでお会いした外交官の方に、「君は外務省に向いている」と言われたのです。日本は年々、世界の中で経済面での力が弱くなり、存在感も低下し続けています。これからも少子高齢化はますます進み、労働人口が減っていくことが確実で、日本の国力低下は避けられません。しかしそのような危機的な状況にあるからこそ、「外交官として、日本のために働くことには意味がある」と感じました。

 外交官になることを決意した私は、2012年に日本に帰国し、外交官試験に合格するために猛勉強し晴れて外交官となることができましたが、その経験から言えるのは「関西外大の学生こそ、ぜひ外交官を目指してほしい」ということです。

 外交官には、大きく分けて、官僚としてゼネラリスト的に仕事をする「国家総合職」と、各言語・地域・分野の専門家として働く「外務省専門職員」の2種類があります。私自身も外務省専門職員ですが、後者になるための試験は、憲法、経済、国際法からの専門試験と、英語、フランス語、スペイン語、中国語など、10か国語以上の言語から一つを選んで受ける外国語試験が課されます。試験に合格するには語学力が必要ですが、語学という科目は、一朝一夕で身につくものではありません。大学入学時点から「使える語学」を徹底的に学ぶ外大生は、語学力の点で他の総合大学出身の受験生に比べて、大きなアドバンテージがあります。

日本は「質」で勝負する時代になった

 また、外交官に求められる「資質」という点でも、関西外大の学生はこの仕事にとても向いています。学生時代からキャンパスで日常的に、アメリカ やヨーロッパ、アジア、アフリカ などの多様な人種・国籍の留学生たちと触れ合い、一緒にご飯を食べたり、遊んだりした経験をたくさん持っている外大生は、自分と違うバックボーンを持つ人とどうすれば一緒に共生できるか、肌感覚で理解することができています。

 私自身、外務省で働いている中で日々感じるのは、「いわゆる偏差値的な学力と、外交力というのは比例しない」ということです。いくら勉強ができても、初対面の異国の人と上手にコミュニケーションができなければ、外交の現場では相手に信用されません。語学力はもちろん、人間としての魅力や、異文化理解、国際的なユーモア感覚といったものが大切で、関西外大にはそうした力を磨く土壌があります。

 ワシントンDCに留学しているとき、大学の授業で「JAPAN」という名前が出てくることがほとんどなく、日本の相対的な国力が落ちていることを強く実感しました。経済的なトピックに関しても日本の高度経済成長はすでに大昔の話で、それよりも中国やアジアの国々の台頭のほうが、ずっと外国の学生たちの興味を引く話題となっています。これから人口が減り続ける日本は、諸外国に対してこれまでのように「数」や「量」で勝負することはできません。日本が今後も、国際社会の中で高いプレゼンスを示していくには、国際社会で活躍する日本人一人一人の「質」の面で勝負していく必要があります。外交官は、そうした日本の「質」を国際社会の最前線で発揮していく重要な職業だと考えています。日本の国民全体に奉仕できる、この非常にやりがいのある仕事に、一人でも多くの外大生がチャレンジしてくれることを願っています。

※記事の内容は取材時点(2023年4月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。