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海外留学の準備を日本のキャンパスで
「Super IES プログラム」がめざすもの。

海外留学の準備を日本のキャンパスで「Super IES プログラム」がめざすもの。

夢や目標を持つ
計画性を持って行動する
仲間と共に乗り越える

高校生の皆さん、こんにちは。Take Action編集部です。本日は、関西外大と海外協定校が協働開発した英語教育プログラム「Super IES プログラム」のなかの、関西外大&ノーステキサス大学IESプログラムでディレクターを務めるAlex, Harris先生にご登場いただきます。本学の学生の多くがめざす、海外留学。その準備を日本にいるうちに、1年生のときからしっかりと行うために設置された「Super IES プログラム」は、先生たちの学生に対する親身な指導で知られます。Alex先生に「Super IES プログラム」の魅力と学びについて、お聞きしました。

自分の「殻」を出るためのカリキュラム

私は2021年から、英語キャリア学科で展開している「関西外大&ノーステキサス大学IESプログラム」のディレクターとして働いています。このプログラムは、10年以上にわたり続いてきた本学のIES(Intensive English Studies)プログラムを、海外協定大学で実践されている英語教育と融合させて、さらに進化させた教育カリキュラムになります。

関西外大&ノーステキサス大学IESプログラムの担当教員はすべて、協定大学であるノーステキサス大学の外国人教員で、英語を母語としない人への英語教育に特化しています。つまり、関西外大にいながら、ノーステキサス大学の英語教育プログラムに留学した場合と同じレベルの授業を受けることができるのが、最大の特徴となっています。

高校を卒業して間もない新入生の英語のレベルはさまざまです。しかし1学期が終わった頃には、ほとんどの学生が大きな成長を遂げています。去年の1年生のある女子学生も、最初の頃は教室の中で大人しい学生でしたが、2学期になる頃にはオフィスアワーになると先生たちのところに来て、積極的に会話をするようになりました。ここでの勉強によって、まったく別人のように成長してくれたのです。

そうした成長を英語では「come out for their shell like a turtle.(亀が甲羅の中から出てくる)」と言います。私たちのクラスに参加し、先生やクラスメートと交流することで、最終的に内気な自分の殻から出て、より積極的な、まったく違う人間に開花してほしいと願って、私たち教員は教えています。
多くの日本人学生はどちらかといえばシャイですし、最初のうちは英語を話すことをためらいます。彼らが「殻」を破るのに必要なのは何よりも「自信」です。外国語を勉強している人なら誰でも感じることですが、自分にとって母語ではない言葉を話すとき、最初のうちは自信をなかなか持てません。

大切なのは「言語学習において間違うことは恥ずかしいことではない」という意識を、教室内にいる全員が持つことです。むしろ間違うのは自然で、成長にとって必要な経験であるということを、教員は学生に繰り返し教えなくてはなりません。教員が「君の発言は間違いだ」と指摘するよりも、他の学生と一緒になって助け合いながら学ぶことが、語学の修得を速め、自信を持って話せる力につながるのです。そのようなやり方で授業を行っていますので、私たちのクラスで学んだ学生たちは、友情とともに仲間意識を育みます。1年生のときに知り合った学生が、4年間のキャンパスライフを通じて親友となっていく姿を見かけることは珍しくありません。

海外大学と同じスタイルで授業を実施

私たちが教える学生の多くは、海外留学の準備のためにこのクラスを受講しています。そして、その先には外資系企業や世界を舞台として働くキャリアを目標に見据えています。そうした将来を考えている学生のために、私たちは常にカリキュラムをブラッシュアップしています。

私たちのクラスでは、授業の90分間、教員が一方的に話し続けることはありません。常に学生はペアを組んだり、グループワークをしたり、プレゼンテーションをしたり、質問をしたり、あるいは教員や他の学生からの質問に答えたり、常に能動的に授業に参加することが求められます。それは、海外の大学ではそうしたスタイルの授業が普通だからです。日本にいるときから、海外の大学と同じような形式で、英語のみの授業を受けることで、留学に十分対応できる英語力を身に付けることができます。またそのような学習環境ですので、学生たち全員が授業に積極的に参加する姿勢が自然に身に付きます。

英語で自分の考えや意見を表現できる。ある意見に対して、賛成か反対かを、論理的にきっちりと説明できる。私たちは授業を通じて、学生一人ひとりにその力を身に付けてほしいと考えています。授業を通じて得られるコミュニケーション力や思考力は、学生の人間的な成長と、将来の成功にとっても非常に重要だと考えています。

日本の学生だけでなく、アメリカや他の国の学生も同じですが、現代を生きる若者は、かつてない大きな環境の変化に直面しています。AIのような新しい技術が日進月歩で発展することで、安定していると思われている仕事も、10年後にはどうなっているかわかりません。就職した会社でずっと安定した収入を得られるのか、将来は結婚して家族の生活を支えることができるのか、多くの若者が心配しています。

しかしそんな変化の時代だからこそ、私たちの教育プログラムでは語学力だけでなく、世界のどこでも成功できるスキルを身に付けられるように、最善を尽くしています。どの国の企業であっても採用面接では、「この学生は、大学でどれぐらい努力して勉強を続けてきたか」を確認します。このプログラムで学んだ人は、企業の採用面接において、他のライバルとなる学生に比べても、きっと最も学業をがんばった学生であると評価されるでしょう。

学生一人ひとりの「心」もサポート

また、現代の多くの若者が抱えているもうひとつの悩みとして「メンタルヘルスの問題」があります。私たちが若い頃には、スマートフォンもありませんでしたし、インスタグラムやフェイスブックのようなソーシャルメディアも存在しませんでした。しかし今の学生たちは、友だちがどのような日々を過ごしているか、ネットで見るのが日常となっています。自分に比べて楽しそうな毎日を送っていたり、あるいはネットで友だち同士がトラブルとなったり、そうしたソーシャルメディアのあれこれが、若者の心にかつてないストレスを与えるようになりました。

私たちのプログラムでは、教員たちが一人ひとりの学生に注意を払い、気持ちが落ち込んだ様子が見えたり、授業を続けて休んだりした人には、メールや電話でコンタクトをとるようにしています。「最近、教室に姿を見せないけれど、大丈夫? 何かサポートできることがあれば、なんでも言ってね」と、声をかけるのです。
学生のメンタルヘルスの対策は、私たちがとても力を入れていることの一つです。心の問題が大きくなる前に、私たち教員が心配していることを伝え、力になることで、学生たちも不安が小さくなり、安心してキャンパスに戻ることができるようになります。
私たちは毎週、オフィスで一人ひとりの学生について、「彼のプレゼンテーションはどうでしたか?」「先週の金曜日が締め切りの、彼女のエッセイは面白かったですか?」といったような会話をしています。

文化というのは「氷山」のようなもの

最後に、私のキャリアについて少しお話したいと思います。私が生まれ育ったアメリカ合衆国バージニア州ノーフォークは、世界最大のアメリカ海軍の基地があることで知られています。私の父は、ノーフォーク海軍基地で技術者をしている軍人でした。仕事の関係で、父はフィリピンと日本に滞在経験を持っており、幼い私にその2つの国のすばらしさを度々語ってくれました。私が成長してから、国際的な教育者になりたいと思うようになったのは、父の話がきっかけの一つだったといえます。

日本への関心が芽生えた私は、大学に進学してから日本人の留学生と友だちになり、日本語コースを履修しました。それが私にとって初めての外国語の学習体験でした。初めて訪日したのは、90年代なかば、大学を卒業した後のことです。群馬県で、英会話学校の教員を2年間勤めました。その後は、多国籍企業の営業部門に転職し、仕事でヨーロッパやアジアの国々や、アメリカの20以上の州を訪れる機会を得ましたが、「教育者になりたい」という思いが強くなったことから、大学院に入って教育学を学ぶことにしたのです。

その大学院の学びの中で、今でも忘れられないのが、エドワード・T・ホール先生という文化人類学者が述べた「文化というのは氷山のようなものだ」という言葉でした。北極や南極の海に浮かんでいる氷山は、海面の上に見えている部分はほんのわずかで、9割以上は海の中に沈んでいます。それと同じように、一つの国の文化も、表面を見ただけで理解できるのはほんの少しで、本当に理解しようと思うなら、水面下に沈んでいる部分を知る必要があります。私も日本に来てからそれなりの年月が経ちましたが、日本文化についてまだまだ知らないことだらけです。でも、だからこそ、日本についてもっと知りたいと思います。

グローバルな環境、グローバルな仕事をするためには、自分と異なる人や国の文化について理解し、リスペクトすることがとても大切です。「Super IES プログラム」のクラスで、ディスカッションや学生同士の話し合いを重視するのは、その文化に対する理解力を深めてほしいと考えているからです。このプログラムをとった多くの外大生が、将来、世界で大きく活躍してくれることを願っています。

※記事の内容は取材時点(2024年2月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。