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変化の速いデジタル時代を生きるあなたへ。
国際社会で求められる人になるためのヒント

変化の速いデジタル時代を生きるあなたへ。国際社会で求められる人になるためのヒント

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みなさん、こんにちは。Take Action!編集部です。本日は2023年4月に開設した国際共生学部の基盤となる英語プログラムの開発を担当した、テポ先生にご登場いただきます。世界で活躍するためには、英語だけでなく、デジタルリテラシーの修得が不可欠です。国際共生学部で開講されているデジタルの授業と国際社会で求められる人材について語ってもらいました。

国際教育によって育まれた、グローバル市民としての意識

国際共生学部の基盤となる英語プログラム、「English for Global Citizens(EGC)」の開発を担当した、サビーン・テポです。私はフランスで生まれ育ち、中学校に入学した11歳の時に英語を学び始めました。つまり、私の母語は英語ではありません。まず皆さんにお伝えしたいのは、ネイティブスピーカーでなくとも、英語を流暢に使いこなせるようになるということです。

フランスの大学で国際コミュニケーションを学んだ後、アメリカの大学院に進学し、TESOL(英語教授法)の修士号を取得しました。それ以来、教員として30カ国以上の学生に英語を教えてきました。思い返すと、私は11歳の時から、「将来は英語の先生になる」と両親に話していたのです。

英語教育と同時に、国際教育にも情熱を注いでいます。というのも、フランスとアメリカのほか、スペインでも教育を受けたことがあり、さらにこの3カ国に加え、日本、ドイツ、サウジアラビア、タイに住んだこともあります。合計7カ国で暮らした経験から、グローバル市民として、異なる文化的背景を持つ人々と交流する重要性を、深く理解するようになりました。

私は今教えている国際共生学部の学生たちが大好きです。彼らは世界が抱える諸問題や異文化コミュニケーションに関心を持ち、自分から学ぶことの大切さを理解しています。このような学生たちを教えられるのは光栄なことです。

EGCは、国際社会でのキャリアを見据えた英語プログラム

それでは、EGCとはどんな英語プログラムなのか、その特徴をご説明しましょう。

まず重要なのは、全ての授業が英語で行われる点です。授業開始のチャイムが鳴る前から、すでに英語で会話をしている学生たちもいて、そんな光景を目にするとうれしくなります。また、2年次以降の外国人留学生との共学や、海外留学に備えるため、アカデミックかつ実践的な英語を学びます。

次に、EGC独自の特徴は、「English for Global Citizens」の名前にも表れているように、グローバル市民の育成に力を入れている点です。具体的には、SDGsや国連、人権問題など、地球規模の課題について学び、解決策を模索する「Global Communication Ⅰ・Ⅱ」の授業が挙げられますが、この他の科目でもグローバルな諸問題を扱います。学生たちはこうした探究を通じて、自分がさらに詳しく学びたいことは何かを見つけていきます。

課題解決型授業(project-based learning)もEGCの大きな特徴です。これは、実際に行動しながら学ぶということ。先生の講義をただ座って聞くのではなく、積極的な授業参加が必要です。YouTubeビデオの作成やポスター発表、オンライン会議でのプレゼンテーションなども行います。つまり、EGCは英語を学ぶだけでなく、学生たちが学問でも将来のキャリアでも成功できるよう、実践的なスキルを磨くプログラムなのです。

ここからはEGCのもう一つの特徴であり、私が教える科目でもある、デジタルリテラシーの授業について、詳しくお話ししていきましょう。

世界で活躍するために、デジタルリテラシーの修得が不可欠

「Digital Literacy Ⅰ・Ⅱ」では、デジタル化が進むグローバル社会でのキャリア形成に不可欠な、デジタルスキルを身に付けます。ありとあらゆる面にデジタル技術が入り込み、相互のつながりを深める今日の世界。デジタルリテラシーの修得はもはや必須事項です。雇用市場で競争力を保つ助けとなるどころか、それなしには、仕事を見つけることさえ難しいでしょう。

授業では、実際にやりながら学ぶ、アクティブラーニングの手法を取り入れています。例えば、「Digital Literacy Ⅰ」では、デジタル技術の基礎や情報保護について理解した後、WordやPowerPointなど、オフィスソフトの使い方を学びます。ですが、「文字を打ち込んでみましょう」なんてことはやりません。Wordの授業では実際に履歴書を作成し、自分の考えをまとめる必要があります。インターネット検索を学ぶ授業では、海外でのインターンシップ先を探したり、ソーシャルメディアについての授業では、世界最大級のビジネス特化型SNSであるLinkedIn(リンクトイン)のプロフィールを作成したり。企業に向けて自分を売り込むための、自己紹介動画の制作も行うため、私はこれらを「就職パッケージ」と呼んでいます。

学期末には、学んだ知識やスキルをすべて活かし、グループに分かれてニュースレターを作成します。私は学生たちにこんなふうに話しました。「想像してみて。これからEGCプログラムを紹介するニュースレターを作って、高校生に配ります。じゃあ、彼らに何を伝えるべきだと思う?」と。学生たちはニュースレターの中にグラフや映像も盛り込み、すべて自分たちで作り上げます。

「Digital Literacy Ⅱ」では、表計算ソフトExcelの使い方やオンライン会議の進め方を学ぶほか、架空のクラウドファンディングも実践します。これは、学生たちがグループごとに支援したいNGOを決め、その資金を募るためのウェブサイトを作成するというプロジェクトです。あるグループは途上国の少女の自立を支えるNGOを選んだり、他のグループは海洋生態系の保護を行うNGOを選んだり。どのグループも地球規模の課題解決に取り組むのです。

このように、デジタルスキルからグローバルな課題まで扱い、グループワークも多く盛り込まれた「Digital Literacy」の授業。学ぶことに意欲的で、進んで仲間と協働できる、柔軟性を持った学生たちに、ぜひ受講してもらいたいと思っています。

デジタル化が進む国際社会で求められる人材とは?

では、デジタル化が急速に進む今、国際社会で求められるのはどのような人材でしょうか。具体的に挙げてみましょう。

1.変化に適応できる人

社会はつねに変化するため、それに適応できる人材が求められます。特に、新型コロナウイルスの世界的流行を経験したことで、私たちはみな、今まで当たり前に行っていたことが、明日には当たり前でなくなる可能性がある、と気づきました。例えば、コロナ前は対面で人と会うのが普通でしたが、今はオンラインという選択肢があり、デジタル化はますます進んでいます。変化に対応する力が重要なのです。

2.デジタル技術とソフトスキルを備えた人

デジタル技術に精通していることはもちろん、「ソフトスキル」も兼ね備えた人材が求められると思います。中でも、リーダーシップスキルは特に重要。ほかにも、時間を効率的に使うタイムマネジメントのスキルも欠かせません。

3.クリティカルシンキングができる人

クリティカルシンキング(批判的思考)のスキルを持つ人材も必要です。これはアイデアや情報を鵜呑みにせず、批判的に分析し、本当にそうだろうかと問い直す能力を指します。情報にあふれる現代社会において、非常に重要なスキルです。

デジタル時代の学修に必要なのは、好奇心を持ち続けること

皆さんの中には、国際共生学部への進学をめざし、高度な英語力やデジタルリテラシーの修得にワクワクしている人もいることでしょう。「好奇心を持ち続けよう」。これが私からのアドバイスです。世界やテクノロジーは急速に変化します。自分の興味を見つけて、学び続けることが大切です。

皆さんの英語学修の参考になるように、私自身の実体験をお話ししましょう。英語力を高めるには洋書を読むのがおすすめですが、最初は難しいかもしれません。実際、私がアメリカに進学した時も、英語で論文を書いたり教科書を読んだりはできるのに、小説を読むのはすごく難しいと感じました。そこで、小説の代わりに、ファッション雑誌を読んでみました。当時、私はファッションに興味があったからです。しばらく雑誌を読み続けるうちに、同じボキャブラリーが何度も出てくることに気づき、より速く読めるようになりました。読むスピードは重要ですからね。次第に雑誌から簡単な小説へと移っていき、深い内容ではなかったけれど、一冊丸ごと英語で読めるようになったのです。そこから自信がつき、どんどん小説を読むようになりました。

重要なのは、自分が興味のあるトピックを見つけること。そうすれば、もっと知りたいという気持ちから、本や雑誌だけでなく、インターネットで情報を探して読んだり、映像を見たりできるでしょう。英語力の向上はもちろん、何を学ぶうえでも役立つはずです。

グローバル市民の自覚を持って、行動できる人になってほしい

国際共生学部がめざすのは、「グローバルエンゲージメント」。私にとって、それは国際社会に積極的に参加し貢献すること、自分とは異なる文化を理解し尊重することを意味します。ですから、世界の人々とコミュニケーションをとり、協力し合うことが重要です。

グローバルエンゲージメントをめざして、学生たちには責任あるグローバル市民としてのあり方を学び、自分の行動が世界にどんな影響を及ぼしうるか、自覚を持って行動できるようになってほしいと願っています。

※記事の内容は取材時点(2024年2月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。