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より良い世界をつくりたいあなたへ。
グローバルに活躍するために必要な力とは

より良い世界をつくりたいあなたへ。グローバルに活躍するために必要な力とは

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多様な価値観と向き合う

みなさん、こんにちは。Take Action!編集部です。本日は2023年4月に開設した国際共生学部でアカデミック英語習得プログラム(EGC)を担当しているヘザー先生にご登場いただきます。国際共生学部での授業とグローバルに活躍するためのヒントについて、先生にお聞きしました。

英語を学ぶことで、グローバルなアイデンティティーが得られる

はじめまして、ヘザー・オースティンです。2023年4月に開設した国際共生学部で、アカデミック英語修得プログラム「English for Global Citizens(EGC)」を担当しています。

私は小さい頃から文章を書くことが大好きで、言葉に興味を持って育ちました。文の中のたった一語を変えるだけで、意味が大きく変わり、より力強い文ができあがる。そんな言葉の力に魅了されたことが、英語教育への私の情熱につながっています。

しかし、アメリカで生まれ育ち、英語が母語である私は、大学に入学するまで「英語を教えるキャリア」が存在することを知らなかったのです。ジャーナリズムを勉強し記者になろうと考えたこともありましたが、調べれば調べるほど、やりたい仕事とは違うと感じました。何をすべきかわからないまま、大学入学当初はビジネスを専攻したものの、情熱を見出せませんでした。ですから、大学のアカデミック・アドバイザーの先生から英語教授法の学位について教えてもらったとき、どんなにうれしかったことでしょう。 そこから、英語教育や応用言語学へと進路を切り替えたのです。

大学卒業後はトルコの大学で10年間勤務し、アカデミック英語の指導や、カリキュラムと教材の開発に携わりました。そして、2022年から関西外大で教えています。このグローバル化が進む世界で英語を学ぶことは、自分自身をアップグレードさせるようなものです。世界中の人々と関わり、新たにグローバルなアイデンティティーを手に入れることができます。私は教員として、そのプロセスへ学生たちを導くことができるのをうれしく思っています。

今世界で起きている地球規模の課題に向き合う

国際共生学部では、国際情勢に興味を持ち、世界に変化をもたらしたいと願う学生が大勢学んでいます。それでは、EGCプログラムで私が教えている科目の一つ、「Global Communication Ⅱ」についてご紹介しましょう。

このコースでは、地球規模のさまざまな課題をテーマに取り上げます。具体的には、人権や難民問題、平和維持・紛争解決、危機にさらされている世界遺産、持続可能な開発のためのビッグデータ、そして、こうした課題に対して国連が果たす役割などです。

これらのテーマを今世界で起きている出来事と結びつけるため、毎週学生たちは最新のニュース記事を探して分析します。何について書かれているか、主要な「登場人物」は誰か、記者はどこから情報を得たのか。それらを特定し記事を要約します。しかし同時に、記者の見解に先入観や偏りがないかも検討しなくてはなりません。つまり、ニュースから情報を得るだけでなく、その情報に偏りがあるかもしれない、鵜呑みにすべきではないかもしれない、といった思考も学ぶのです。学生たちは授業に記事を持ち寄り、互いに発表し合います。一人ひとりが積極的に参加する、インタラクティブな授業なのです。

EGCプログラムの学生は大半が日本人ですが、海外経験のある学生もいれば、両親のいずれかが外国籍の学生も共に学んでいます。さまざまな背景を持つ仲間とのグループワークを通して、学生たちは多様な考え方を学びます。もちろん、授業はオールイングリッシュです。

大切なのは、学んだ知識を実際の世界に応用すること

授業の一例を挙げてみましょう。例えば、平和維持・紛争解決のテーマでは、「トーマス-キルマン コンフリクト・モード検査」を取り上げました。これはアメリカの心理学者、ケネス・トーマスとラルフ・キルマンが提唱した理論で、対人関係で衝突(コンフリクト)が起きた際に人が取り得る態度を、「競争する」「協調する」「妥協する」「回避する」「受容する」という5つの対応スタイルに分類したものです。30の質問に答えることで、自分が取りがちなスタイルを調べることもできます。授業では、まず理論を理解したうえで、各自が自分のスタイルを調べ、グループに分かれて発表し合い、なぜ自分はそのスタイルなのか、違うスタイルで対処する場面はないだろうかと、ディスカッションを行いました。このように、学生たちは新しい知識を学ぶだけでなく、実際に自分自身や外の世界に対して、学んだ知識を応用していくのです。

このほか、人権の授業では、ニーズ(need)、欲求(want)、権利(right)の違いについて考察したり、ビッグデータの授業では、『Coded Bias(邦題/AIに潜む偏見:人工知能における公平とは)』というドキュメンタリー映画を見て話し合ったりしました。難しい内容に見えるかもしれませんが、実はそうではありません。学生たちが取り組んでいるのは、正解が一つではない課題で、彼らに求められるのは、さまざまな視点から考えることなのです。

クリティカル・シンキングを通して、自分の意見を形づくる

授業を通じて学生たちは多様なスキルを身に付けますが、とりわけ重要なのは、クリティカル・シンキング(批判的思考)です。自分の知識や常識を問い直し、人の意見を鵜吞みにせず、本当にそうだろうかと疑問を持つことが大事です。私たちの授業は、「〇〇がテーマで、これが答えです」というものではありません。一つの課題に対し、さまざまな解決策が考えられ、唯一の正解は存在しないかもしれない。では、どれが最善だと思うか、なぜそう考えるのか。つねに問い続ける好奇心が必要です。学生たちは一つの意見を分析して終わり、ではなく、多様な意見を分析しながら自分の意見を形づくることを学ぶのです。

さらに、自分の考えを英語で明確に伝える表現力も身に付けます。例えば、世界で起きている紛争を調べる「紛争分析」というプレゼンテーションがあり、私はこれを「おばあちゃんに話すプレゼンテーション」と呼んでいます。学生たちはリサーチした内容を、国際情勢を知らない「おばあちゃん」でも理解できるよう、かみ砕いて易しく説明する必要があるからです。その過程でリサーチスキルはもちろん、より分かりやすい表現へ言い換えるコミュニケーション力も磨かれます。

グローバルに活躍するために、今から実践できる3つの習慣

皆さんの中には、将来グローバルな環境で活躍することをめざし、国際共生学部への進学を考えている人がたくさんいることと思います。そこで、その目標に向けて、皆さんが今すぐ始められる3つの習慣をお教えしましょう。

1. ニュースを読む

まず、ニュースを読むことです。日本国内のニュースだけでなく、世界のニュースも読みましょう。必ずしも英語である必要はなく、とにかく読み始めることが重要です。今世界で起きている出来事の背景知識を多く持っていれば、大学に入学してからも、積極的に議論に参加でき、内容をより良く理解できるはずです。また、同じニュースを英語と日本語で読み比べてみるのも面白いでしょう。

2. 日本人の友だちと英語で話す

英語のスピーキング力を高めるために、日本人の友だちと英語で話す練習をするのもおすすめです。もしネイティブスピーカーの友だちが周りにいたら、それは素晴らしいことですが、日本人同士の練習も効果的ですよ。つい日本語をはさみたくなりますが、英語で話し続けましょう。例えば、「ランチタイムだけ英語で話そう」「これから1時間は英語だけ」など、計画的に行うといいですね。

3. タイムマネジメントを意識する

知識や英語力だけでなく、ライフスキルも重要です。大学生になったら、また社会に出たら、マルチタスクをこなす必要があり、生活のバランスを取らなくてはなりません。そのためには、タイムマネジメントのスキルが役立ちます。カレンダーやスケジュール帳を使って、時間を管理する習慣を今から身に付けておきましょう。

「国際共生」とは、互いの共通点を見つけ、つながり、助け合うこと

私が考える「グローバルエンゲージメント(国際共生)」とは、より積極的に世界に関与することです。世界の人々と会話をして、単に情報共有するだけでなく、地域や文化の違いを越えて、有意義なつながりを築くことです。違いではなく、共通点を見つけること。友好関係を築き、互いに助け合うことです。

国際社会は今、かつてないほどに結びつきを強める一方で、近年の紛争により、「団結」という点では後退を見せています。国際共生学部の学生たちは、将来、その担い手となり、世界により良い変化をもたらすことでしょう。

私は彼らを「未来」そのものだと思っています。10年後、20年後、彼らは前の世代からバトンを受け継ぎ、企業経営や国政を担う存在へと、次の世代を育てる存在へと成長するでしょう。国際共生学部で身に付ける知識やスキルは、日本だけでなく世界においても、彼らを際立たせる強みとなるはずです。

※記事の内容は取材時点(2024年2月)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。