KANSAI GAIDAI UNIVERSITY VISION

世界を変えるのは、
人間力だと思う。

相手も自分も、同じ一人の人間。

私は関西外大を卒業後、主に東南アジアや太平洋の島々、アフリカ等で開発援助に取り組んできました。そこで実感したのは、まずは一人の人間として信頼していただくことがいかに大切かということ。現地の方々にとって、私たちは「外からやってきた人」なので、最初は少し警戒されることも少なくありません。そんな中で、農村・地域開発支援など、現地の状況をよりよくする取り組みを、現地の人たちと力を合わせて進めていかなければなりません。心の壁を取り払うため、私はいつも、相手に対して先入観を持たず、自分自身もオープンに接することを心がけていました。例えば現地の村長に対して、真面目な仕事の話をする前に、自分のことや家族のことを、ユーモアを交えて話してみたり。自分の体験を面白おかしく話したら、大きな笑いが起き、一気に距離が縮まったこともありました。どんなに大きくて複雑なプロジェクトも、まずは一人の人間として心を開くことから。些細なことかもしれませんが、海外・国内関係なく、どのような仕事においても大切な姿勢なのではないかと思います。

すべては、留学生との交流から学んだ。

「先入観を持たず、一人の人間として向き合う」という姿勢は、関西外大時代に培われました。大学に入学するまで海外の人とほとんど接したことがなかった私にとって、外国人留学生と毎日のように交流できるキャンパスライフはとても新鮮でした。授業の後は、留学生たちと一緒に飲みに行ったり、遊びに行ったりすることも多かったです。その中で、「みんな面白い時は笑うし、悲しい時は泣く。国や言語は関係ないんだ」という当たり前のことを実感。交換留学(※)でアメリカに行き、アメリカ人と1年寮生活を共にしたこともよい経験でした。机に向かって勉強するだけでなく、さまざまな国の人と毎日をともに過ごし、時には思いっきり遊ぶことが、幅広い視点や人間力を養うことにつながりました。
(※2020年 現在は「リベラルアーツ留学」。)

日本だけでは身につかない視点を、
次世代へ。

海外で計16年過ごした経験から感じるのは、日本がいつまでも「先進国」ではないということ。開発途上国とされている東南アジアやアフリカの国々の成長はめざましく、今では東京と変わらないぐらいに進んでいる地域もあります。世界が急激に変化を遂げる中で、先入観を持たず幅広い視点を持つことは、ますます重要になってきます。これからは、私のライフワークである難民支援に携わり続けながらも、フラットで幅広い視点を持った、次世代の人材の育成にも関わっていけたらと思っています。

Profile

芳島 昭一

外国語学部 英米語学科 卒業
勤務先:特定非営利活動法人 国連UNHCR協会

小学校5年生の時にテレビで見た、泥水をすするエチオピアの難民の子供の姿が忘れられず、難民支援・開発援助の仕事をめざす。留学プログラムが充実している関西外国語大学が夢の実現に近いと感じ、入学。1992年卒業。日本大使館勤務、青年海外協力隊、国際協力機構、国際NGOなどの仕事を経て、2017年より現職。現在は、日本にいる難民の方々への奨学金支援や、難民問題に関する広報啓発事業を主に担当している。