海外生活体験記(7)日本人の英語発音--藤田由美子

2010/8/16

 

 

日本の学生は、中学から始まり(昨今では、小学校から)、かなり十分な時間、「英語」を学習しています。なのに、未だに英語でコミュニケーションを取ることに困難を感じる人が結構いるのも事実です。理由は様々、全てを挙げることは出来ないけれども、一つ、私が言えるのは「発音のひどさ」そして、それは、結構致命的である、ということ。

発音がきちんと確立されていないと、「聞けない」(人の言っていることがきちんと捉えられない)、「発信できない」(人に伝えたいと思っていることがそのように伝わらない)という状況を引き起こしてしまいがちです。

ある時、私が客室乗務員として日本路線に乗務していた時のことです。

となりの通路で飲み物サービスをしていたオランダ人乗務員からヘルプを頼まれました。その同僚が対応していた日本人乗客の欲しいものが判らない、ということ。私は、また、「お薬を飲むときのお白湯」とか「特定の銘柄のビール」とかややっこしいモノなのかなあ、なんて想像しながら、そのお客様に日本語で聞いてみました。

そうしたら何と!返ってきた答えは「コーヒー」。

ええええ―ッ、「Coffee」の一体何がどうしたら「通じない」のか。でもこれが現実。簡単なCoffeeでさえ、Coffeeだと受け止められていない。

人は、何を言っているのか判らない人のことは、普通ならばさっさと放っておかれるのが関の山。もちろん、その人が重要な情報を持っている・利益になる・お客様 なんて云うシチュエーションならば、我慢強く聞いてもくれるけれど。(その昔、日本が一番の経済大国だったころは、何を言っているのか判らない日本人の英語も、我慢強く聞いてもらえたものです。)

日本人は、自分たちの「発音」がヒドイことは十分承知していますが、聞いている方にとっては、私たちが思うよりも理解するのが「大変」だと感じられているのが実情です。

シングリッシュは「変な英語」「変な発音」と笑われたりすることもありますが、悲しいかな、日本人の発音はincomprehensive「理解不能」らしいのです(これは私の友達談)。

でも、逆に言えば、「発音」さえ上達すれば、格段に「英語コミュニケーション能力」が伸びる、とも言えます。私は、英語のコミュニケーション力をつけたい、と思って英語を勉強している日本人の学生さんがいるのなら、是非、まずは「発音」に磨きをかけることをお薦めしたいと思います。