ひらかた市民大学 松田健教授が「チェロの歴史に見る社会史」テーマに講義
▲チェロの歴史を語る松田健教授
松田教授は冒頭、チェロについて「音色は人間の声にいちばん近いと言われています。もともと伴奏楽器でしたが、次第にソロとして演奏されるようになり、広い音域と豊かな音色で多くの人に好まれています」などと話し、楽器の概要や弓について解説しました。
▲チェロの演奏を披露する松田教授
歴史に関し、ほぼ16世紀に出現したさまざまな形や大きさの楽器が源流となり、現在の形になったとし、特に、1500年代後半にフランス王妃が息子のために注文した楽器の逸話に触れました。
当初のチェロは、低い音を出すために、弦を太く、長くし、張力を強くする必要があり大型だったが、17世紀に金属巻線が登場すると、弦を短く、細くすることが可能となり、楽器が小型化していき、18世紀初頭にイタリアの楽器ストラディヴァリウスが標準形になったと説明しました。
▲講義を聴く市民ら
弓に多く使われた「スネークウッド」と呼ばれる木材は、中南米に生息するクワの木で、17~18世紀に大西洋を挟む3大陸間で行われた大西洋三角貿易が関係したことに触れ、絶対主義王政、市民革命、市民社会の形成など社会情勢の変化がチェロの製作方法や演奏方法などに影響を与えてきたことを紹介しました。20世紀の動きでは、床に立てて楽器を支えるエンドピンの考案やスチール弦の普及などを取り上げました。
松田教授は、バッハの曲などを演奏する実演も行い、華麗な音色を会場に響かせました。
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