小学校教員コースが創設から10年を迎えました/コース長・笹野恵理子教授に聞きました

 小学校教員コースが英語キャリア学科に設けられて10周年を迎えました。高度な英語力と研ぎ澄まされた国際感覚を持つ小学校教員を次々と輩出し、全国平均を大きく上回る採用試験合格率を誇ります。

 2023年4月に小学校教員コース長に着任した笹野恵理子教授が「小学校教員養成に懸ける想い」を語りました。

 ※関西外大通信314号の特集「小学校教員コース10周年」の記事を基にまとめています



■絶好の環境持つ外大

 現在の教員は昔と違って、より幅広く、そして深い、多様な専門性が求められます。国際マインドを持ち、文化的多様性を理解し、外国語を学ぶ小学校教員の養成はますます大きな意味を持つようになりました。

 グローバル化の波は、子どもたちが学ぶ教室の様相を大きく変えつつあります。子どもたちには折に触れて「いろいろな文化を持つ人、さまざまなルーツを持つ人がいるよ」と発信していくことが大切になってきます。

 異文化や他民族に対するステレオタイプの見方をなくし、多様性のある社会を実現していくことにつながります。

 高い外国語コミュニケーション力だけではなく、文化的多様性を尊重できる国際理解や多文化共生の意識を持った教員がまさに求められています。外大は絶好の環境にあり、そこで育った小学校教員は、理想的な広い国際マインドとダイバーシティー&インクルージョンの考え方を持つことができるに違いありません。



■アウトリーチとインリーチ

 外大生の強みはもちろん外国語力と国際マインドです。その力を地域と海外につなげていきたいと思っています。

 学外へ出て行って地域の子どもたちと交流する「アウトリーチ」と、子どもたちに学内に来ていただいて交流する「インリーチ」を積極的に進めたいと思っています。学生が自分たちで計画して、子どもたちと接し、失敗したり成功したりすることで、子どもとともに成長することを実感できる貴重な機会になります。


▲地域の小学生と積極的に交流しています(子どもいきいき英語活動から)

 また地域とのつながりとともに、海外の学校の子どもたちとのつながりも持ってみたいと思っています。海外には、日本語や日本文化を学びたいという日本にルーツを持つ子どもがたくさんいます。そんな子どもたちは、〝補習校〟と呼ばれる学校で勉強しています。現地の学校にいきながら、週何回か補習校に通って「日本」を学んでいます。

 海外の子どもたちと日本の子どもたち、そして外大生をオンラインで結び、国際マインドとソーシャルインクルージョンの意識に磨きがかかればと考えています。


▲アウトリーチとインリーチを進めていきます(子どもいきいき英語活動から)

■多様性を尊重できる教員を

 今、日本社会に求められているのは、多様性を尊重し、公正な共生社会を築いていける人です。文化的多様性を知識として理解するだけではなく「自分ごと」として考え、コミュニティーを変えていく力を持つ教員を育てることは大きな意味を持ちます。

 外国語の学びを武器にして子どもと外大生がつながり、さまざまな国の留学生と交流できる外大は、教員養成大学・学部にないフィールドの魅力にあふれています。外大だからこそ培える国際感覚の魅力と、多様性に配慮できる実力にあふれた教員を社会に送り出していきたいと思います。


▲多様性を尊重できる教員の養成を目指します

 
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