国際日本学科(外国語学部)/2024年4月スタート/英語を核に〝日本〟を学ぶ

※関西外大通信314号の記事を基にまとめています


■壁越え発信できる人材は圧倒的に不足
 
 日本国内で生活する外国人は約300万人にのぼり、過去最多を数えます。地域コミュニティーや企業で欠かせない存在となっており、彼らと共生する日本社会を創っていくことが必然となっています。

 一方で、日本語を教えている日本語教師などは約3万人です。ことばや文化の壁を越え、日本の文化や習慣を発信していく人材は圧倒的に不足しています。

 英語を駆使しながら、日本語を専門的・体系的に教えることができる人材を育て、日本の文化や伝統、社会的な習慣を発信できる人材の養成こそ、外大の目指すところです。

 2024年4月にスタートする「国際日本学科」は、実務的で高度な英語力の育成を核に、「日本学」「日本語学」「日本語教育学」を通して、さまざまな立場で活躍できる人材を生み出します。

■やさしい日本語のつくり方
 
 日本で生活する外国人とコミュニケーションを取るにはどんな方法があるでしょうか。

 まず英語が思い浮かびます。

 しかし、在留外国人は中国を最多にベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル、インドネシア、ネパールと国籍は多様化しています。英語が通じない場合が少なからずあり、多数の言語に即座に対応するのは不可能です。

 そこで有効なのが〝やさしい日本語〟です。

 6月のオープンキャンパスで、国際日本学科の説明として「やさしい日本語のつくり方」の模擬体験を実施しました。


▲オープンキャンパスの体験授業に大勢の高校生が参加しました

 福池秋水准教授は「簡単な日本語なら理解できるという在留外国人が6割以上いるという調査結果があります」としたうえで「英語などと合わせて、やさしい日本語を使ってコミュニケーションを図ってはどうでしょうか」と提案しました。

■母語話者も努力が必要

 福池准教授はやさしい日本語のつくり方として、次の5点を挙げました=吉開章「入門・やさしい日本語」。



 ▽文は短くする

 ▽単語と文法はやさしくする

 ▽尊敬語と謙譲語は使わない

 ▽「です」「ます」を使う

 ▽不要な情報はカットする

 高校生たちは、エレベーターの日本語の貼り紙を素材に「意味が分からずに困っている外国人にやさしい日本語で説明してみましょう」という課題に挑戦しました。


▲高校生が課題に挑戦しました

 福池准教授は多文化共生社会における日本語のあり方について「外国人は母語話者並みの日本語を話すべきでしょうか。お互いにやさしい日本語を使うことで、早い段階から交流することができます。母語話者も努力が必要です」と指摘しました。


 
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