日本歌謡学会の創立60周年記念秋季大会が開幕しました。3日は公開講演のほか新作能の一部を公開実演します

 記紀神話の時代から現代まで、文学や民俗、芸能などの分野を問わず幅広く日本の歌謡を研究する「日本歌謡学会」の創立60周年記念秋季大会が12月2日、中宮キャンパスのマルチメディアホールで開幕しました。3日は公開講演のほか、午後2時から新作能「大和椿」の一部を公開実演します。


▲創立60周年記念大会が開幕しました

 大会冒頭で、会場校を代表して谷本和子・短期大学部学長があいさつし「時代や地域に応じて、さまざまな姿を見せてきた歌謡の研究は、日本人の文化的ルーツ・アイデンティティを認識するうえで 欠かせないものと存じます」と歌謡学会の業績を讃え、活躍に期待を寄せるとともに、学会の会長を25年間にわたって務めた真鍋昌弘・関西外大名誉教授の功績を紹介しました。


▲会場校を代表して挨拶する谷本学長

 続いて第1部では、最初に関西外大の鵜島三壽教授が「京都府内の風流踊-休止芸能を中心に-」をテーマに講演しました。鵜島教授は「少子高齢化や新型コロナウイルスの影響で、多くの民俗芸能が中止されました」と指摘し、京都府北部を中心に見ることができなくなった振踊などの風流踊を映像を交えて紹介しました。


▲風流踊について講演する鵜島教授

 次に、獨協大の飯島一彦名誉教授の司会で、真鍋昌弘・日本歌謡学会名誉会長が60年の歴史を振り返りました。創立当時について「さまざまな分野の学者から注目を集めていて、大きな講堂が曇って見えるくらいの多くの人が参加していました」と話し、多くの研究者の業績や思い出話などを交えながら学会の軌跡をたどりました。

 真鍋名誉会長はさらに、今後力を入れていく分野として「東アジア文化圏の民謡」を上げ、日本をはじめ中国や韓国で歌われてきた「船曳歌」の情報を集めていることを紹介しました。「日本の船曳歌は掛け声が多く、民謡として取り上げられているのは数少ないが、海外ではきちんと民謡として取り上げられています」と指摘しました。


▲60年を振り返る真鍋名誉会長

 第2部では、「先陣を語る、我が師を語る」をテーマに、歌謡学会の会員4人が講演しました。


▲講演に耳を傾ける皆さん

 3日は次のような講演と実演を予定しています。いずれも一般の方も参加できます。

▽第3部(9時~)3号館3101教室

講演③ 「私の歌謡研究とこれからの課題」
飯島一彦 (獨協大学名誉教授)
藤原享和 (立命館大学教授)
遠藤耕太郎(共立女子大学教授)
牛承彪 (関西外国語大学教授)
植木朝子 (同志社大学学長)
佐々木聖佳(甲南大学)
井口はる菜(関西外国語大学准教授)
小野恭靖 (大阪教育大学教授)

▽第4部(14時~)マルチメディアホール

講演 関西外国語大学 米山敬子教授
「歌謡から見た大和舞」

解説 羽衣国際大学 泉紀子名誉教授
「新作能『大和椿』について」

実演 新作能「大和椿」
岡本知子 貞光訓義 高安美帆 岸本昌也

 
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