語学+SDGs留学で豪州に派遣された英語国際学部2年の伊藤陽香さんの小論文が優秀賞に輝きました

 語学+SDGs留学でオーストラリアのクィーンズランド工科大学に派遣された英語国際学部2年の伊藤陽香さんの小論文「Leave No One Behind」が、第4回SDGs「誰ひとり取り残さない」小論文・クリエイティブコンテストで優秀賞に輝きました。


▲留学先のクィーンズランド工科大学で(右から5人目が伊藤さん)

 SDGs「誰ひとり取り残さない」小論文・クリエイティブコンテストは、SDGsの基本理念である「誰ひとり取り残さない」をテーマに、25歳以下の若者の声を社会に発信するのが目的で、高校生や大学生を中心にした実行委員会が運営しています。


▲中央が伊藤さん

 伊藤さんは2023年度に始まった語学+SDGs留学の第1回の参加者として、2023年9月にオーストラリアに派遣されました。語学+SDGs留学では、留学先でSDGsが定める17のゴールのいずれかに沿ったテーマでのフィールドワークに取り組み、グローバルスピリットやイノベーション力を育てます。伊藤さんは17のゴールの4番目の「QUALITY EDUCATION(質の高い教育をみんなに)」に取り組み、その成果を小論文にまとめて応募しました。


▲インフラについての授業で作業をする伊藤さん(右)

 伊藤さんは「SDGsを学んでいて興味があったことと、この留学プログラムが始まったと聞いて新しいことに挑戦したい」とSDGsを課題にした留学への参加を決めました。そして「オーストラリアで実際に取り組まれていることを見たり、聞いたり、体験することでより深いSDGsの知識が身に付きました」と話しています。


▲裁判所で裁判を見学した伊藤さん(後列の左から3人目)

 深い知識に加えて、自分の意見を伝える力や深い思考力を伸ばすことができたといいます。「留学先の授業では発表する機会がたくさんあり、解決策や自分の意見を英語で発表しました。最初はとても緊張しましたが、回数を重ねるごとに1日に何回も発表できるようになりました」と大きな成果を挙げました。


▲ブーンダル湿地環境センターでその取り組みを学びました(後列の左から4人目)

 伊藤さんは、4月4日午前10時から御殿山キャンパス・グローバルタウンの谷本ホールで開催する英語国際学部の「秋学期語学留学説明会」で、今回の体験についてスピーチします。


 伊藤さんの受賞作品の全文を紹介します。

   ◇    ◇    ◇

 想像してみよう。もしあなたが学校に行けなかったら。想像してみよう。みんなと同じ教室で勉強したいのに、耳が聞こえないという理由でみんなと違う教室に行かなければならなかったら。このようなことを考えることなく教育を受けてきた人たちなら、想像するのは難しいだろう。しかし、教育を受けたくても受けることが出来ない人がいるのが現状だ。教育の場において、取り残されている人たちがいる。

 私は今年、約3ヶ月間、オーストラリアのクィーンズランド工科大学に留学に行った。そこで学んだのはSDGsだ。元々少し興味があったSDGsの留学があると知り、英語で学べるならと思い、すぐに応募した。学内の選考を通過し、留学に行けることになった。この留学プログラムは、教科書を使って各ゴールを勉強し、週の終わりに実際に見て学んだり、ボランティアをされている方々のお話を聞いたりした。また、3ヶ月かけて1つのゴールについて深く調べ、レポートを書き、プレゼンテーションをした。そこで私が選んだゴールが、4番の「質の高い教育をみんなに」だ。私はSDGsの中で鍵となるのは教育だと考える。教育の大切さを多くの人に知って欲しいと思い、この作文・小論文コンテストに応募した。

 私のレポートやプレゼンテーションのテーマは「Leave no one behind」だ。日本語にすると「誰1人取り残さない」となる。授業で教育について学んでいるうちにあることに気づいた。学びたくても学べない人が沢山いる。その人たちに教育を受けて欲しいと思い、「誰1人取り残さない」をテーマに、約3ヶ月間取り組んだ。レポートの中で調べたのは障害についてだ。

 周りの施設や設備をよく見てみよう。車椅子を使っていても使いやすいか。耳が聞こえなくても授業を受けることが出来るか。私はそうは思わない。学校の机には椅子が固定されている。耳が聞こえない人が他の人と一緒に授業を受けることの出来る設備が整っていない。留学先であるクィーンズランド工科大学は、障害者もみんなと同じ教育を受けることの設備が整っていた。図書館の机は、車椅子を使っていても使えるようにカーブしていた。教室には先生の声を拾い、文字としてプロジェクターに表示される設備が整っていた。今ある設備をすぐに全部変えることは難しい。少しずつ誰もが使いやすい設備に変えるべきだ。私たちができることは、困っている人がいたら助けてあげることだ。開けにくいドアがあったら開けてあげる、運びにくいものがあったら手伝ってあげるなど、今すぐできる小さな優しさが、誰1人取り残さないための手助けになる。

 障害には、身体的なものだけでなく精神的なものもある。精神的な障害を持った人たちも、周りの人に理解して貰えなかったり、特別教室に行かされたりなど、同じ教室で教育を受けたくても受けることが出来ないことがある。このような人たちを減らすために、インクルーシブ教育を行っていくべきだ。インクルーシブ教育とは、「障害がある子どももない子どもも、その子の特性に応じた学習環境や配慮を行っていき、一緒に学ぶことが出来る教育理念」のことだ。教育の質が高いと評価されているフィンランドを例にあげてみよう。フィンランドは、インクルーシブ教育を積極的に使い、教育の質を維持している。インクルーシブ教育を取り入れることによって、障害の有無に関わらず、同じ教室で学ぶことが出来る。障害がない人は、障害について理解し、困っていたら助けてあげることで、より同じ教室で学習しやすくなるだろう。また、世界中の教育に関わる組織は、フィンランドを参考にインクルーシブ教育を取り入れ、みんなが同じ教室で学べるようにするべきだ。

 SDGsの一つである質の高い教育をみんなが受けることが出来るようにするために、まずは現状を理解し、周りの人に手を差し伸べることから始めよう。今、教育の場で取り残されている人たちがいる。勉強したくても出来ない人がいる。あなたの小さな優しさがSDGsを達成するための鍵となる。



 
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