FDワークショップ 3教授が学研都市キャンパスで発表

 ベストティーチャー賞の受賞者が発表する第8回FDワークショップが10月29日、学研都市キャンパスで開かれ、教員ら約50人が参加した。発表者は英語キャリア学部の丹羽隆昭教授、英語国際学部の中野誠教授、外国語学部の井尻直志教授。それぞれ、約25分の持ち時間で発表し、質疑応答もあった。

▲ 約50人が参加したFDワークショップ


  丹羽教授の発表は、「地域研究A(欧米)」の春学期21回目の授業で取り上げたヘンリー・フォードを主題とした「自動車王フォードと『アメリカの夢』」がテーマ。この授業のテキストはブラックボードを使って事前配布し、受講生は内容を読んでおくことが求められる。スライドや動画を織り込んだ、そのファイルをスクリーンで紹介し、板書もしながら授業を進める。フォードについて学ぶ狙いは、「アメリカンドリームについての知識を徹底的に身に付けること」。一方、T型フォードに固執したため、GMやクライスラーに追い抜かれた事情も説明、「ヘンリー・フォードが追求した『平等主義』は、時に『独裁主義』にもなる」と語った。


▲ ヘンリー・フォードについて語る丹羽隆昭教授
 

 中野教授は「英語国際学部・国際言語学部におけるPBL授業をめぐって」と題し、4年目を迎えた学研都市キャンパスのPBL(課題解決型授業)について語った。「目標は2つ。提携する企業や団体に対する提案(プレゼンテーション)と学生の就業力・基礎力のアップ」と説明。学生同士の議論、企業人との意見交換、企業現場でのフィールドワークなど、受講生にとってプラスになり、就職活動にも直結する点から、PBLの授業導入を決め、時間をかけて考える必要があるため、通年制の科目にしたという。過去3年間の実績や効果として、提携した企業に就職した学生が誕生したこと、立ちはだかる壁をいかに突破するか考える力がついたこと――などをあげた。


▲ 学研都市キャンパスが先行したPBLについて語った中野誠教授
 

 井尻教授のテーマは「スペイン語文学と私」。大学でスペイン語を専攻してセルバンテスの『模範小説集』を卒業論文に選び、スペイン語文学の研究に足を踏み入れたことや、ラテンアメリカ作家の作品研究にのめり込んだ道筋を語った。文学との出合いは大江健三郎の文学評論『小説の方法』(1978)だったという。大学院では、「スペイン語で小説を書いた初めての人間だ」と自負したセルバンテスについて研究し、修士論文は『ドン・キホーテ論』。その後、ラテンアメリカ文学の代表的作家、マリオ・バルガス=リョサ(2010年ノーベル文学賞)の駆使した自由間接話法について考察するようになったという。この話法は日本語には存在せず、「直接話法なのか間接話法なのか悩ましく、翻訳には苦労する」などと語った。

▲ 「スペイン語文学と私」について話す井尻直志教授

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