第5回授業実践研究フォーラム開く FD委員会が主催

 FD委員会主催の第5回授業実践研究フォーラムが16日、中宮キャンパスのICCで開かれた。ICCホールで開会式に続いて、尚絅学院大学の合田隆史学長が「結果を出すアクティブ・ラーニングの実現のために」と題して、基調講演を行った。この後、5教室に分かれ、ネイティブ4人を含む本学教員20人が、授業での工夫などを盛り込んだ発表を行い、授業改善への意識を高めた。

▲基調講演では質疑応答も行われた

 

 基調講演の合田氏は文部科学省出身。文化庁次長や同省生涯学習政策局長などを経て20144月から現職。文科省では高等教育局大学課長も務めた。副題に「改めて、今なぜアクティブ・ラーニングなのかについて考える」とあるように、アクティブ・ラーニングが強調されるのは大学の社会的使命が変化してきたから――という観点で歴史的背景から説き起こした。
 

 合田氏によると、1112世紀に成立した大学は学者や学生の同業者組合的存在だった。時代は下り、中等教育が普及するにつれて大学の大衆化が進展。20世紀前半までには、学生の多様化、産業との結びつきが目立つようになる。そして近年、進学率が上がり、大学が拡大するにつれて、学生が大学を選ぶ時代に突入。環境の変化に直面し、今は各大学がそれぞれ未来をめざし、それぞれの大学像を模索しているという。

 さらに、現在は知識基盤社会で、新たな大学のあり方が求められ、従来の学問体系に根ざした組織としての大学から、目標実現のプロセスを達成する機能が重視され、可視化も必要だ。これは大学だけでなく、中等教育でも世界的な潮流となっていると指摘した。


▲ 「結果を出すアクティブ・ラーニング……」がテーマの基調講演
 

 問題は、高等教育が社会の必要とする人材育成の役割を果たしているのかどうか。その指針が必要となり、世界共通の評価システムとして生徒の学習到達度調査(PISA)や国際成人力調査(PIAAC)が登場。能力観も変化し、単なる知識や技能だけでなくコンピテンシーを重視するのが世界的に主要な流れとなっているという。

 

 グローバル化が進む中で、従来型の授業も転換を余儀なくされた。ルーティンの手作業や課題に取り組むよりも、ノンルーティンの課題を分析し、方向性を探る力が求められ、アクティブ・ラーニングと結びついた。大学が職業教育機関化する中で、アクティブ・ラーニングが脚光を浴びている。

▲ 歴史的背景から説き起こした尚絅学院大学の合田隆史学長
 

 そのうえで、合田氏はアクティブ・ラーニング(AL)への批判・課題も紹介。単なるALから結果を出す、DAL(ディープ・アクティブ・ラーニング)への進化が必要とされていると指摘した。そのために必要とされることとしてFDを挙げ、教員力の開発や学内の研究授業の実践などの手法を挙げた。

▲ 研究発表には、多くのネイティブ教員が参加した

 

 この後の研究発表は、第1室(ネイティブ教員)=Teaching Practices▽第2室=言語学と言語教育▽第3室=授業の充実▽第4室=経済学・経営学・会計学と教育▽第5室=教養教育の充実――のテーマ別に行われ、各室4人ずつ1人約30分の持ち時間で発表した。

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