国際文化研究所・公開講座 第7回IRI言語・文化コロキアム「東南アジア:現在と未来」が開かれました

関西外国語大学・国際文化研究所では、広く市民の皆様にもご参加いただける「IRI言語・文化コロキアム」公開講座を定期的に主催しています。

7回目の開催となった今回のテーマは「東南アジア:現在と未来」。
イベントは122日(土)にオンラインで開催され、基調講演とパネルディスカッションで構成されました。


概要は以下になります。


■司会:野村 亨(関西外国語大学)
■進行:石川 幸一 氏(亜細亜大学アジア研究所)
■基調講演:①「ASEANの経済統合と日本企業」助川 成也 氏(国士舘大学)
      ②「東南アジアの高齢化とデジタル化」大泉 啓一郎 氏(亜細亜大学アジア研究所)




石川幸一氏による東南アジアの現状に関する解説があった後、基調講演がスタート。
最初に、助川成也氏の「ASEANの経済統合と日本企業」が行われました。



2022年1月、ASEAN(東南アジア諸国連合)は自らが中心となり、「地域的な包括的経済連携」(RCEP)を構築しました。
1980年代以降、ASEAN諸国に対して資本の投下、技術移転を継続的に取り組んできた日本企業の海外展開は、RCEPをインフラに新たなステージに入ります。

このRCEPで変わるアジアの事業環境を軸に、その前段として「アジアに生きる日本と日本企業」「不可欠なASEANのサプライチェーンの強靭化」などについて、具体的な事例を元に講演されました。


続いて、大泉啓一郎氏による「東南アジアの高齢化とデジタル化」の講演が行われました。



「ASEANは東アジアの持続的成長へのエンジンとなるか、可能性と課題は何か」をテーマに、

・ASEANの人口動態(少子化・高齢化)
・人口ボーナスに対する視点
・ポスト・コロナ後のASEANとデジタル
・ASEANのデジタル世代と社会


といった構成で講演が行われ、北東アジアと同様に少子高齢化が進むASEANですが、農村に住む中高年の生産性の向上、スマートフォンの急激な普及と高いデジタルネイティブの人口比率などから、「日本も参考になる“新しい知恵”が生まれてくることが期待される」とASEANの可能性に言及されました。


最後に、登壇者によるパネルディスカッションが行われました。


▲左上から時計回りに、石川幸一氏、大泉啓一郎氏、助川成也氏、本学・野村亨教授。

中国ラオス鉄道の開通による東南アジアへの影響は? デジタル化において日本とASEAN諸国で大きな差が出てしまった要因は?といった視聴者からの質問に対し、基調講演を行っていただいた助川氏、大泉氏が回答。
最後に、両氏から日本とASEANのこれからについてのコメントが発せられました。

「政府開発援助や現地での雇用創出など、日本がこれまでに築いてきた『信頼』は大きな財産となっています。今後はこれまでと違ったカタチで、どのような協力が相互的にできるのかを考え、さらに良好な関係を築いていくことが大切です」(助川氏)

「今後もASEANに注目し、政治、経済、社会をつぶさに観察すること。そうするとステレオタイプではない東南アジアが見えてくるはずで、そこに今後の日本が参考になるヒントが見えてくるはずです」(大泉氏)


司会を務めた野村先生の「大きくうごめいている東南アジアの今について多角的に知ることができ、大変有意義な時間となりました」という言葉どおり、東南アジアの今とこれからを知る、最良の機会となるイベントとなりました。

一覧を見る